番外編⑤ その二 デスゲームスレイヤー
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「ゲームが始まるとその器具のどれかが光ります。その色にご注目ください。器具の色が赤ならば制限時間内に解除しなければ器具が爆発します」
「やっぱりかよーーーー!」
矢島がツッコミを入れつつその場にうなだれた。こんなものにまさか自分が巻き込まれるとはと愕然とした思いだ。
「大体こういうのはいつも委員長の役目だろう! ハッ、まさかどこかに!」
――残念ながら委員長という参加者はいません。
「いないのかよ! なぜ!」
思わず矢島が突っ込んだ。しかしこの場合もっと他にもツッコミどころはありそうなものである。
――ルールはまだ続きますよ。ここからが大事ですが器具が白く光った場合、その方の器具は爆発の解除キーとなります。その場合解除側の器具は爆発しません。一方で赤く光った側は白く光った相手の部位を奪い手に入れなければ解除が出来ない仕様となっております。つまりこのゲームは生き残るために互いの部位を奪い合うそんな公平で平等で素晴らしいゲームとなっているのです」
運営の説明を聞き矢島は頭が真っ白になりそうになった。日給一千万円は確かに魅力的だが、その為に負うリスクが大きすぎる。
――ちなみに武器となる物はあちらこちらに転がっておりますので自由にご活用ください。それでは早速ゲームをスタート致しましょう。器具の色にご注目を。
運営の言葉を聞き矢島はすぐに体に装着された器具を見た。すると右腕の器具が白く光っていた。
つまり放っておいても矢島の腕が爆発することはないが代わりに参加者に腕を狙われてしまう。
「まずいまずい! とにかく逃げないと!」
ここがどこかもわからないが矢島は森の中を走り回った。途中でケースを見つけ開けてみると中にはハリセンが一本入っていた。
「なんでやねん!」
思わず矢島は一人ツッコミを入れてハリセンを振っていた。こんなものでどう身を守れというのか矢島には想像もつかない。
「でも、誰もこないな。もしかして皆ゲームを降りたか?」
そんな呑気なことを独りごちる矢島。確かに暫く経つが今のところ誰にも襲われていない。
だが今いる場所もわかっていない。それなりに広ければみつけようにもそれなりの時間が掛かるのかもしれないが――
「よぉ。ここにいたのか」
その時だった、頭上の梢から何かが飛び降り矢島の目の前に着地した。
「ひぃ――」
情けない声を上げ矢島が尻もちをついた。姿を見せたのは全身真っ黒な服装で赤いマントを羽織った男だった。
一方で髪は完全に色が抜けきったように真っ白であった。つり上がった獣のような目をしており獲物を見つけた肉食獣のような顔で矢島を見てきた。
「探したぜ」
「そ、そんな。俺の腕を奪う気か!」
「腕? あぁそういうことか」
焦った顔で問いかける矢島だが、目の前に現れた男は矢島の器具を見て何かを察したように呟き矢島を見た。
「テメェの腕に興味はねぇよ。それよりお前、助かりたいか?」
「はい?」
謎の男に問われ矢島が目を白黒させた。
「どうなんだ助かりたいのか? 助かりたくないのか?」
「いや、そりゃ助かりたいけどさ」
「よっし。だったら助けてやる――ただし五百万でな」
「ふぇ? ご、五百万ーーーーーー!」
条件を聞き矢島が仰天した。目玉が飛び出んばかりに仰天した。
「そ、そんな、まさか――ペリスか?」
「はっ倒すぞ。円に決まってんだろうが」
「えぇえぇえええ!」
『てかペリスって何だよ!』
何やらツッコミが聞こえてきたが、ペリスとはとあるゲーム系雑誌にのっていたとある博打的な漫画の中で使われたっぽいとある架空の通貨単位的なとある何かである。
『どんだけとある使うんだよ! あと説明ふんわりしすぎだろ!』
ツッコミが続くが世の中はっきりさせないほうがいいこともあるのである。
「どうした? 生き残りたくないのか?」
「いや、でも五百万って」
「お前以外は全員支払うって言ってるぞ。お前だけが断ると全員のヘイトがお前に向くかもな。いいのかそれでも?」
「支払います! なんとかして払います!」
「決まりだな」
矢島から言質を取った男は目にも止まらぬ速さで飛び去ってしまった。
矢島がキョトンっとしていると暫くして先程のようにどこかからアナウンスが聞こえてくるが――
『な、何だお前は!?』
『ハッ、俺はデスゲームスレイヤー。デスゲームは潰す全て潰す! お前ら全員の人生終わらせてやるよッ!』
その後、重静音などが鳴り響くも段々と悲鳴が多くなりしまいには爆発音がして派手な煙が上がった。
『デスゲームはこのデスゲームスレイヤーがぶっ潰したぜ。生き残ったお前ら約束の金を忘れるな。言っておくがバックレようなんて馬鹿なことは考えるなよ。そんな真似したら地の果てだろうと地獄の底だろうと追い詰めてやるからなぁ~ギャハハハハハハハハハハッ!』
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