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【コミカライズ】異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました【本編完結】  作者: 空地 大乃
第九章 様々なデスゲーム編

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番外編② その八 魔剣とカイト

あけましておめでとうございます!

「さぁ魔剣ダラクにより強化された我が魔法を見よ! 超絶破壊極限灼熱獄炎魔法! ヘルインフェルノ!」


 ロイ将軍が右手を広げやたらと漢字の多い魔法を行使した。


――シーン……


 だが魔法は、発動しなかった! 発動しなかった! 発動しなかった!

『MPが足りない! 残念!』


 そのおかげかロイ将軍からはやるせない空気が漂っていた。見ていた兵士の中には笑いを堪えているのもいる。


「ば、馬鹿な! 何故だ! 何故魔法が発動せんのだ!」


 ロイ将軍が戸惑う。一方でカイトは寒い視線を向けていた。


「お、おい! そもそも魔剣なんだからさっさと抜けばよかろう!」


 国王がそう指摘した。将軍がカッ!と目を見開き言い返す。


「うるせぇ無能! わかってるわ!」

「む、無能?」


 将軍の暴言に国王が唖然とした顔を見せる。そしてロイ将軍が剣の柄に手をかけた。


「ぐぎぎぎぎっ!」


 だが抜けないそう抜けないのだ。


「何故だ魔剣ダラク! 何故貴様は抜けないのだ、ウォッ!」


 だがその時、ロイ将軍の鞘から魔剣がすっぽぬけその勢いで将軍が間抜けな転び方をした。


 一方で魔剣はなんとカイトの目の前まで飛んでいき床に突き刺さった状態となる。魔剣グラムからは紫色っぽいオーラが出ていた。


「お、おお! そうか魔剣には意志が宿ると聞く。つまり魔剣が自らの意志で勇者を殺そうというのだな!」


 ロイ将軍のテンションが上がる。なんとも都合の良い考え方な気もするが、確かに魔剣からはただならぬ気配を感じた。


 そして――


『どうも――すみませんでしたーーーーーー!』

「えぇええぇえええええぇえぇええぇえ!?」


 何と魔剣グラムがカイトに謝罪した。持ち出したロイ将軍が驚愕するほどの謝罪っぷりだ。何せこの魔剣ときたら突き刺さった刃の部分をゴムのように曲げ、絶妙な角度にすることで土下座をしてるかのような謝りっぷりを見せたのだ。


『器用にも程がある!』


 そんななんとも卑屈な魔剣を見ながらカイトが問いかける。


「俺を殺しに来たんじゃないんだ」

『滅相もありません! そもそもこっちは地下室でのんびり一人ぼっちの封印生活を満喫してたんですよ!』


 何と遂に魔剣グラムは身の上話まで語りはじめてしまった。


『それをあの野郎が突然やってきて乱暴に抜き去りやがったんです!』


 魔剣が自ら抜き去るというのはどうかと思うがそういうことらしいのだった。


「しかも蓋を開けてみたら貴方のようなとんでもない御方に喧嘩を売るとか冗談じゃない! あっしは自損志願者じゃありませんからね!」


 どうやら剣だから自損らしい。


「まぁ敵対するつもりがないのはわかった。それで今後どうするんだ?」

『勿論再封印をお願いしやす! とにかくあっしは毎日ダラダラ過ごせればいいんで!』

『文字通り堕落した魔剣だったよ!』


 というわけでカイトは本人いや本剣の希望通り転移と封印魔法で地下に再封印してあげたのだった。


「はい終わりと。で、どうするんだ?」

「……フッ、あ~はっはっはっはっは!」


 ロイ将軍を問い詰めるカイト。するとロイ将軍が唐突に高笑いをしはじめた。この余裕まさかまだ何か切り札があるというのか?


「いや見事だ勇者よ。我が魔剣に操られているのを見破るとは。全く危うくこの世界の救世主たる勇者様をこの手にかけるところだったぞ」

「何いってんのお前ーーーーーーー!」


 王様が吠えた。


「ムッ、そういえばこの我に魔剣を持ってきたのはそこの王であったな。実はそこから先の記憶が曖昧なのだが、ハッ、さては!」

「さてはじゃねぇよ! 何ちゃっかり自分は関係ないみたいな顔してるんだよ! 大体この計画練ったのは全ておま――」

「黙れ――」

「「ヒッ――」」


 カイトが凄むと王様とロイ将軍が尻もちを付きその顔から血の気が失せていった。


「茶番はもういい。覚悟はできているのか?」

「ま、待ってくれ! 私は悪くない全てこのロイ将軍が計画したことなのだ!」

「黙れ! 勇者カイトよ。悪いのは全てこの愚王だ。こいつは自分の娘でさえ保身の為に差し出す屑なのだ!」


 将軍と王様は互いに互いを罵り合い自分は悪くないと責任をなすりつけあった。その様子を見ている兵士たちの目が冷たい。


「そんなのはどっちでもいい。俺からしたら同罪だ。二人纏めて――と、言いたいとこだがここから先は俺の仕事ではない」

「え?」

「それはどういう?」

「そのとおりです。勇者カイト様。お膳立てありがとうございます。後はこの私めにお任せを」


 ?顔を見せる国王と将軍だったがそこに姿を見せたのは王女のアイリシアであった。


「お、おう我が娘よ! そうか私の無実を証明しに来たのだな!」

「だまりなさい。さぁ皆の者、そこにいる罪人二人を引っ捕らえるのです!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

『いやどんだけ兵士連れてきてるの!』


 王女はこれだけの兵を従わせる程度にはカリスマ性があったのだった。


「く、くそ何故私まで娘よ裏切るのか私を!」

「自業自得です」

「ふざけるな! 王女よ我の愛を何故受け止めぬのだーーーーーー!」

「絶対ムリです」

「将軍に関してはそりゃそうだろう」


 カイトはわりと冷静に現状を分析したのだった。

 

 こうして国王と将軍は捕まり当然だがどちらも今の地位は全て剥奪となり強制労働送りとなった。つまり王位は空位となったわけである。


「勇者カイト様。この度は本当に申し訳ありませんでした」

「いいさ。別に大したこともされてない。この国の問題はこの国で考えるべきだしな」

「はい。ですが王位が空になってしまいました……これも本来なら――」

 

 アイリシアがちらりとカイトを見やる。声にこそ出さないが王に相応しい相手はカイトしかいないとそう訴えてるようでもあり――


「アイリシアがやればいいだろう」

「え? わ、私がですか!?」

「そうだ。君は民からも慕われている。城の兵たちからも悪い話は聞かない」

「で、でも私なんかが」

「何より次の王に誰を支持するかのアンケートでぶっちぎりの1位だった。自信を持っていいだろう」

「いつの間にそんなアンケートを!」


 勇者カイトに隙はないのだった。


「もっとも世論の人気がそのまま結果に繋がるとは限らないがな――」


 カイトが遠くを見るような目でそう呟いた。


「えっと、それは何の話ですか?」

「いやこっちの話だ」

 

 カイトはつい懐かしい祖国のことを思い出して語ってしまっていた。


「もう……行ってしまわれるのですね」

「あぁ。恐らくもう戻ることはない」

「そんな――こと言わせません。それならカイト様がまた絶対にまた来たくなるような国に、いえ世界にしてみせます。ですから勇者カイト様しばしのお別れですがお元気で、そしてまたきっと――」


 アイリシアがそこまで語ったとことで勇者カイトの姿が消え去った――アイリシアは俯きドレスの裾を掴んだ手をギュッと握りしめる。


 そんなアイリシアに母が近づきそっと抱きよせた。そして何かを決意した目に戻り母娘で城へと戻っていった。


 その後、王国には新しい王が、いや女王が誕生したのは言うまでもない――


 そしてその後、カイトは無事日本に帰還するもののデスゲームに巻き込まれるわけだが、それはまた別のお話――

というわけで別のお話であるデスゲームに巻き込まれた話のコミカライズ版が月刊コミックREXにて連載中です!更にコミック版1巻が好評発売中!日本に戻ってからのカイトの活躍が漫画で見れちゃいますのでどうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m

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[良い点] 鳳凰院凍牙さま、最高!
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