番外編 その八 その裏に潜むもの
「ん~ん~!」
「ふん。そのまま大人しくしているんだな」
謎の集団はお化け屋敷のスタッフを全員に拘束し、適当な空き部屋に放り込んだ。
これでよし、と口にし、何やら話を始めだす。
「しかし、なんてことだ。折角こうしてわれわれ【デスゲームを通して国民に命の尊さを学ばせよう党】通称DG党が結集したというのにこの体たらく!」
「全くだ、デスゲームを通して国民に命の尊さを学ばせよう党、通称DG党が本格的に指導する記念すべき日だと言うのに」
「何から何まで潰されている。あの妙な高校生共のせいで!」
「ふん。だが所詮これまでのデスゲームなどお遊びみたいなもの。そう、ここで行われる死のお化け屋敷こそが本番!」
「丁度あのガキどもがおまけをつれてやってきたようだしな」
「フフフッ、今こそ我ら、デスゲームを通して国民に命の尊さを学ばせよう党、通称DG党の本気を見せつける時、今にみておれ愚かな愚民どもよ!」
◇◆◇
「もはやただ通称いいたいだけだろう! そもそも通称って皆に認知されてなんぼだからね! 自分たちで勝手に言ってるだけじゃ意味ないからね! 大体凄く長ったらしいわりに通称に引っかかる部分はデスゲームでしかないし、だったらもうデスゲーム党でいいよね!」
「また発作なのか?」
「発作だよ~」
「いつものことだよね~」
『やれやれ仕方ないな~シンキチ太くんは』
「いや、だから語呂悪いし!」
急に叫びだしたシンキチに、もはや心配もせずいつものことで済ませる美狩、菜乃華、真弓であり、ダマルクについては残念な子扱いである。
そんな中でもツッコミを忘れないシンキチはやはりさすがと言えるだろう。
「てか、本当にさっきのは何だったんだ?」
「えっと、じつは自分でもわからなくて本能的なツッコミというか」
『これがシンキチのツッコミセンサー。どこであろうとツッコむべき対象があれば自動でツッコむ最強のスキルだ』
「そんなスキル嫌だよ! どこの誰ともしれない相手にツッコむとかもはやただのおかしな人じゃん!」
「今更だな」
「手遅れね」
「それも個性と思えばありじゃないかなぁ」
「なにそれ! 僕手遅れなの!? てかそんな個性いやだよ! 個性がなくていいからツッコミ癖取ってよ!」
『今更突っ込まないといわれてももう遅い』
全てが手遅れなのだった。
「お前ら馬鹿なツッコミに付き合ってないでほら、とっとと入るぞ」
「馬鹿なって一応私の生徒なんだけどなぁ」
お化け屋敷を前にして矢田が皆を促す。一方で教子はわりと苦笑いだ。
そして一行はそれぞれグループに分かれお化け屋敷に入っていった。
「うぅ、怖いよ怖いよぉ」
「鈴ちゃん大丈夫?」
海渡は佐藤委員長や鈴木、そして光と四人でお化け屋敷に挑んでいた。
「てか女神様も追っかけてきてなかった?」
「あはは、逸れたみたい」
「うぅ、怖いよ怖いよぉ……」
そうサマヨは途中まで一緒だったがどっかで離れ離れになってしまったのだ。
「あ、女神様からメッセージ届いた」
迷った~と泣いてるスタンプ付きだった。相変わらずのポンコツ具合である。
「怖いよ怖いよぉ」
「わ、私も怖い、怖いよ~!」
鈴木がガタガタ震えて委員長にくっついていると光もそんなことを口にして委員長の腕をとった。
「皆、仲いいねぇ~」
「うん。皆大事な友だちだし。でも、光ちゃんもお化け苦手だったの?」
「あ、あぁ実はそうだったのだ! 怖いよ怖いよ~」
実にわざとらしかったが光はお化けが怖いと訴え続けて委員長にひっつき続けた。なお鈴木はガチなのでずっと目を瞑ってガタガタ震えている。
そしてそのまま進み続ける海渡達だったが棺桶の並ぶところで異変が起きた。蓋が開き中から飛び出したおばけたちが各々手に武器を持って海渡達に飛びかかって来たのである――
コミカライズ版が月刊コミックREXにて連載中です。今月号はいよいよ3話目!
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