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【コミカライズ】異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました【本編完結】  作者: 空地 大乃
第九章 様々なデスゲーム編

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番外編その二 デスデッドシーランドへ行こう

本作のコミカライズが決定してます!月刊コミックREXにて今月号より連載スタートとなります。

「虎ちゃん。こないだはごめんね。そして今日はありがとうね誘ってくれて」

「はは。丁度オープンした遊園地があったからな」


 景に笑顔でお礼を言われ頬をポリポリと掻きながら虎島が答えた。


「照れちゃってか~わいい」

「う、うるせぇぞ杉崎!」


 ちなみに杉崎や花咲も一緒である。黒瀬も海渡も委員長もだ。あのお好み焼き屋で皆で遊びに行く体でとりあえず誘おうぜと提案したのは杉崎だった。


 虎島が一人で誘おうとすると間違いなくあの三人の邪魔が入るからだ。しかし皆で行けばそれはない。


「キラちゃん楽しみだね」

「うむ。勿論どんな場所であっても主君を守ることに変わりないがな」

「ちょっとタイガー。キラの半径五百万キロメートル以内に近づくんじゃないわよ!」

「それ大気圏抜けるだろう!」

「そのまま太陽まで飛んでいけばいいと思います」

「辛辣だなぁ~」


 当然だが――予想通り皆を誘ったのだから件の三人も一緒なのである。おかげで虎島は相変わらず景に近づけない。


「私もお呼ばれてしてよかったのかなぁ」

「問題ないよ。せっかくの休みだもんね。お兄ちゃんだけ愉しむなんてずるいよ!」

「私はこういうところは初めてなのだが……」

「フッ、どうやら遂にこの僕! 鳳凰院と」

「海渡先輩! 俺も呼んでいただきありがとうございます!」


 田中の娘、真弓が近づいてきて海渡にお礼を言った。改めて見るがやはり田中とは似ても似つかない可愛らしい少女である。


「お兄ちゃん私の友達に手を出したら駄目だからね」

「え?」

「ちょ、勇者様それってどういうことですか!」


 真弓の横に菜乃華が立ち釘を差すように言ってきた。もっとも肝心の真弓はまんざらでもなさそうなのだが……そして佐藤委員長と女神のサマヨが今のやり取りに反応していた。特にサマヨは海渡に近づきぐいぐいと体を押し付けてきている。


「女神様。ちょっと近すぎ」

「そうだよ! お兄ちゃんに当てすぎだし」

「当ててるんです~これで勇者様もイチコロ、ていない!?」


 海渡は面倒事はゴメンだと転移で離れていた。ちなみに女神の正体も海渡が勇者であったことも既にバレバレなのでもう隠してもいない。


「やれやれ」

「ちょっと海渡。委員長を泣かしたら承知しないからね!」

「はい?」

「ちょ、スズちゃんってばもう!」


 海渡が一息ついていると、今度は鈴木が近づいてきて声を張り上げた。委員長が慌てているが海渡には意味がわかってない。


「……海渡、あいつも筋金入りだな」

「本当鈍感系を地で行ってるよな」


 海渡の様子に杉崎と虎島が呆れていた。すると別な女の子が海渡の前に立ち指を突きつけて宣言する。


「海渡、いえ魔法少女カイコ! 貴方には絶対に負けない!」


 天童 光だった。彼女はある意味海渡のライバルと言えた。海渡がどう思っているかはともかくだ。


「あいつも複雑だな」

「てか、魔法少女って何だ?」


 杉崎が苦笑い。そして虎島は?顔だ。まさか海渡がかつて魔法少女をやっていたなど知るよしもなかったのだ。


「あまりその話を掘り下げられるのはちょっとなぁ」

「何を今更。解雇しちゃうぞ♪ とノリノリで言っていたじゃないですか」

「何かとても面白そうな話ですの」

「ガウ」


 ミニサイズのアカオを抱きしめながら金剛寺がウキウキとした顔を見せる。


「とにかくさ。もう入ろうよ。このデスデッドシーランドに」

「「「「「「賛成~♪」」」」」」


 こうして全員で新しいテーマパークに向かう海渡達。修学旅行も終わり久々に皆で楽しめる機会だ。これまではどこに言っても妙に不安になることが多かったが今回は実に平和そうなテーマパークである。


「いやいやちょっと待って! 軽く流してるけど名称が物騒すぎでしょ! 嫌な予感しかしないよ!」

『ツッコむなぁ』


 シンキチの定番のツッコミを聞けたところで和気あいあいと入場する。


「おい海渡、杉崎。なんかとんでもない人数になってるけど本当に大丈夫なのか?」


 すると虎島が二人に近づき不安そうな顔を見せた。杉崎も苦笑いであり。


「いや、まさか俺もここまでになるとは思ってなかったんだが……精々他に舞や委員長と鈴木、それに金剛寺ぐらいかなと……」

「俺、つい妹に話しちゃった」

 

 海渡が若干申し訳なさげに言った。

 確かに本来は虎島の告白に協力する筈だったのだが随分な大人数になってしまった。菜乃華絡みでもかなり増えてるので申し訳なく思う。


 尤も女神やその他の面々はどこから聞きつけたのか謎だ。もっともあの三人に関しては景が動けば自然とついてくるので当然だが。


「おう、私こういうところ初めてデ~ス」

「何か知らない外国人までいるよ!」

「……最近クラスに入った留学生のモブ・ザッコだな」

「宜しくデ~ス」

「名前酷くない!?」


 黒瀬が答えすかさずシンキチが突っ込んだ。


「私も楽しみアル」

「ンガムダナンダガワッヒサホッサ」

「ΣπαΑ■○$≒」

「あ、あの子可愛い、てかあきらかにどっかの宇宙から来たようなのも混じってるよ!」

『それが多様性というものだシンキチ』

「多様性ってこういうことなの!?」

「カッパ~カッパ~」

「何か河童もいる!」

「シンキチあいかわらずツッコむな」


 虎島が感心しているような呆れているようなそんな目を向けていた。


「とにかく色々不安はあるが俺は今日こそ決めるぞ!」

「キュ~♪」


 吠える虎島の頭の上でスライムのミラクがぴょんぴょんっと跳ねていた。


「本人真剣なんだろうけどなにか笑えるな」

「もうだめだよ杉ちゃん。しっかり応援してあげないと」


 杉崎を諭すように花咲が言った。大体の事情は彼から聞いていたのだ。


 入場してからはある程度好きに動くことになった。そもそも結構な数なので全員まとめて動いていては乗れるものも乗れない。

 

 その上で本日メインの虎島と景を含めた五人が選んだのは絶叫マシンの代表格ジェットコースターであった。


「よしチャンスだぞ虎島。何とかお前の隣に彼女が乗れるように調整する。後は走っている途中で叫んで告白しろ!」


 杉崎が虎島にアドバイスした。何せ普通に告白しようとしてもあの三人に邪魔されてしまう。しかしジェットコースターとなればそうもいかない。


 絶叫のどさくさに紛れて告白すれば吊り橋効果もあって上手くいくだろうという考えだった。


「上手くいくかこのコインで……」

「いや、それは止めておくわ……」


 黒瀬が運命のコインを弾こうとしたがあまり良い結果に繋がりそうにないので虎島は遠慮した。凄く残念そうな顔を黒瀬が見せた。


 そして杉崎と海渡の協力もあってなんとか虎島は景の隣に座ることが出来た。


「ちょっと何でタイガーがキラの隣なのよ!」

「主君を守るのは騎士の役目。この配置は納得出来ぬ!」

「でも隣が委員長なのは嬉しいです」

「あ、ありがとう」

「ムッ、ここにもライバルが!」


 虎島と景が隣り合っているのが納得できない三人。しかしキャラットに関しては委員長の隣もまんざらではなさそうだ。それが結果的にややこしい嫉妬を生んでもいるが。


「け、景は俺で良かったか?」

「う、うん。それに何かこういうのも久々だよね」


 よっしゃぁ! と虎島はこころの中でガッツポーズを決めた。間違いなくいい雰囲気だ。何ならこの場で告白してもいいんじゃないかと思ったりしたがここで慌てたら上手く行かないかもしれないと必死にこらえた。


 そしていよいよジェットコースターが動き出す。徐々に加速しそして頂上から一気に駆け抜ける。


(あそこだ。あの宙返りする巨大ループで好きだと叫んでやる!)


 虎島の心臓は爆発寸前だった。勿論それは絶叫コースターの恐怖ではなくこれから告白するというドキドキからだ。


 そしていよいよその時がきた。巨大ループに突入し一回転を始め、虎島が叫ぼうとしたその時!


 ピタッ!


「景! す――は?」


 その時、なんとコースターがピタッと動きを止めた。まさに今好きだと叫ぼうとしたその瞬間であり虎島の目が点になった。他の客たちもざわついている。何せ宙返りの途中だった為か、彼らは上下逆さまの状態である。


『はっは~本日はようこそ死のアトラクションデッドコースターへ! さぁこれから皆さんにはそのコースターの上で命を掛けたデスゲームを行ってもらうから存分に楽しんでくれたまえ!』


 かと思えば、どこかからそんな不気味な声が乗客達に聞こえてきたのである――

今月27日発売予定の月刊コミックREX9月号より黒山メッキ先生の描く本作のコミカライズが連載スタート。何と『魔力0の大賢者』と同時連載です。漫画でも海渡の無双が炸裂!デスゲーム運営の運命は果たして!どうか応援頂けると嬉しく思います!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新たなデスゲーム待ってましたあああああああああああああああああああ!(大喜) もう名前からして!(大笑) 今回はどんな絶叫(首謀者のツッコミ)が聞けるのか楽しみにしてます!(期待)
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