風呂場での邂逅 告:これは、テンプレ?
遅くなりました。どんな内容で決めるのか、迷い続けて──こうなりました。
──コードには、引っ掛からないと思うのですが──
俺は、シーネの髪の毛に顔を埋めて、風呂の中で船をこぎ始めていた。いや、異世界に来ているのだが、『風呂は日本人の心』とでも言うのか、『心を洗っている』と表現するのが正しいのかは分からないが──この世界では辛いことが(システム関係で)多い。
それに今日は、『森で、ハッスルし過ぎた』という目を背けたくなる、ある種の暴走を起こしている。
──まあ、後悔はないけどな!
【ロリコン♪ ロリコン♪】
脳裏でシステムが呟いてくるが、俺に反応する元気はなかった。というより、眠気の方が強かったからだ。
【詰まらないですね】
そういうシステムの声に反応することもせず、ただ湯船の温かさと、シーネの温もりが俺の意識を徐々に奪っていく。
眠りの深淵に堕ちかけたそのとき、ガラッと扉が開く音が聞こえた。
しかし、眠気の方が強かったので、無視することにした。
【何でしょう? 見た言葉あるような──】
システムがそんなことを言い出したので、気になってしまった。閉じていた瞼を開け、シーネの髪の毛の中から入り口の方を伺う。
浴室に入ってきたのは、12才──大きく見ても14才くらいの少女だった。そう判断した理由は、彼女の顔は童顔であり、その体は華奢で簡単に折れてしまいそうだ。
胸に関しては、優しく言うなら『控えめ』。正直に言うなら『なだらかな高原』と言ったところだろう。顔の幼さも含めると、実齢が15才を過ぎていても驚かない──と思いたい。
「お邪魔するわねん♪」
聞き捨てならないセリフが聞こえた。この喋り方をする、知っているヤツは1人しかいない。
【──まさか、ガール??】
その言葉には、隠しきれない疑念が溢れていた。それを言うなら俺もそうなんだが……。
俺の知っているガールは、巨漢の男乙である。しかし! 目の前にいる少女? は身長的にはスンと変わりない。はっきり言って小さいくらいだ!!
俺とシステムが悩んでいる中、声を上げたのはルーナだった。
「あら? ガールさん、こんばんは」
「うふふ、ご一緒するわねん♪」
ニシシと言わんばかりの表情で、浴室に入ってくるガールと思わしき少女。その歩き方は確かに、ギルドで見たガールと同じイメージを受けとった。
現在見える彼女は、身長150……は、ないな! 体重に関しては50~55くらいだろう。筋肉質ではないので、あまり重たそうには見えない。
しかし、これが当人だとしたら、驚きのビフォーアフター!
まず、身長が違う! 胸はほぼ無い状態だ。貧乳とペタパイと微乳のどれと判断すべきだろうか?
──俺は、"ひんぬー"を強く押したい!!
理由は、ロリ巨のスンがいるんだ! なら、ロリひんぬーの娘がいてもいい!! いや! そうとしか認めない!!!
【ガールに対する警戒心は、何処に行ったのですかね?】
──ひんぬーの公式ロリは、"文化遺産"です!!
【何を、ほざいているのですか!?】
システムの叫びは、暴走した─変態には届かなかった!
──ひんぬーまたは、無乳でも可!!
アスの心の叫びは、システムの理解を上回った。(今回だけ)
アスの口説いような説明は、脳内時間で3日にも及んだ。そんなことが可能だった理由は不明だ。いずれ解明されると思いたい。
そんなアスの興奮は、ある処にも活性化を促していた!
「(ご主人様が、逞しくなっておられます!!)」
シーネがそのように内心で興奮していた事実は、この浴室内にはいなかった。残念ながら、シーネに興奮したのが「理由ではない」とこの場で世界の神は告げよう。
頭、体と洗い終わったガールは、湯船に足を浸ける。お湯の温度により、体が温まってきたのか透き通るような白に、少しずつ赤みがさしてきた。
ほのかな赤は、白と混じり合うと薄いピンク色に変わる。今まで幼くも引き締まっていた表情は、にへらぁ~と弛む。
俺自身は油断したつもりはなかったのだが、『ビタァ!!』っとガールと視線が合ってしまった。その瞳には、羞恥や気恥ずかしさは皆無で、ただ1つの色に染まっていた。
──そう、"性欲"という色に!!
俺の脳裏に浮かぶのは、ギルドで感じた『恐怖』であり、『身の危険』という信号であった。少し腰を浮かせようとするのだが、シーネを脚の上に座らせている為、身動きが出来なかった!!
プルプルと震える、幼く張りのある肌、欲情に染まった瞳──そして、口の端に見えるキラリ! と光る何か……。
「(野獣というより、"猛獣"だな)」
【私には、猛獣より"珍獣"に見えますが──】
酷い言い様だが間違っていない以上、俺に反論する気はない。
実際に、『ギルドと今のギャップ』は半端無い! 突然の"ツルぺったロリ"に驚喜したくらいだ。
【貴方も段々、珍獣寄獣に近付いてきましたね♪】
──違う! 俺は、"紳士(という名の変態)"だ!!
『背水の陣』ならぬ、『膝上のシーネ』により身動きのとれない俺は、焦らず、慌てず胸を張った。実際に、逃げられるならトンズラを咬ましている。
昔から、逃げることは得意だった!
【──何を、得意気にしているのですか?】
ハ~っという溜め息が聞こえてきそうなほど、呆れているのが分かる。そう言うが、そういうことって結構重要だったりする。
──けど、今は逃げられない!! シーネが重石になっているからだ!!
若さ、否、幼さの弾ける肉体が、水を切り裂き飛沫を飛ばす!
湯船から飛び出すは、ガールの肉体。湯上を飛ぶ幼体。
「にぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
浴室にアスの叫び声が響き渡る。しかしその表情は、喜んでいる。アスの脳内は"ビックバン"を引き起こした。
脳内の無意識領域で、この世界に自身を召還した何かに感謝していた。まあ、元々恨んですらいなかったのは事実だが、感謝自体もしてはいなかった。
──"当然のこと"だと思う。
今までの豊かで、便利な生活が一瞬にして目の前から消え去るのだ。俺のような『夢見る大人』でない限り、突然このような世界に来たら、思い付く限りの"汚い言葉"を叫ぶであろう。
俺の場合は、別のことで叫ばせて貰っているが──。
【照れますね──】
──褒め言葉じゃないよ!!
【寂しくなかったでしょ?】
──…………認めたくないがな。
しかしながら、システムのせいで『寂しい』想いより、『虚しい』想いの方が多くあった気がする。
実は、真面目を装ってこんなことを考えているが、混乱の真っ只中である。
【そろそろ、現実逃避は諦めませんか?】
そうなのだろう。『プニィっときて、ペチっと顔に当たって、スットンっと理性が飛んだ』こんな状況の俺だ。
1つ、あるスキルに対して「ああ、こういうことなのか」と思わせられた。
〈黄金率は、プニ・ペタ・ストン〉
恐るべき、ヤツである!!
【全く違います!】
システムの声は、俺には届いていない。




