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振り向けばそこには── 前編

 ステータスを書くのに、苦労しました。やっぱり、ちょくちょく書いた方が良いと実感です。


 数値の割り振りが難しいですね!

 俺たちは、背後から近寄ってくる存在に気付かないまま、シュラントを探しながら森の中をゆっくりと歩いていく。

 この時点で発見できていれば、俺に起こる悲劇は回避できただろう。しかし、森の中でエルフである俺とルーナを出し抜ける存在がいるとは、思っていなかった。


 少し離れた草むらに隠れている追跡者は、足音を全く立てずに3人の後を付けていく。まあ、"裸足"の彼女たちが『足音を立てる』状況にはなりにくい──なったときは、アスたちの命の危機だろう。


「そういえば、2人の住んでいた場所で『シュラント』に対する話って、あったか?」


 知らないであろうことを前提として、彼女たちに確認していた。俺は、この世界の伝承や昔話(・ ・ ・ ・ ・)を全く知らないからな。本来なら知っているであろうシステムは……


【うひぃっく!】


 こんな状態だ。しかし──何でコイツがこんな状態になっているのだろう?

 現時点で俺は感じていた『気持ち悪さ』が、少ない……いや、軽く……か? ステータスを確認したら納得する以外無くなった。


 ──────────────────


 アスアス

 LV12

 HP:644

 MP:174


 力:164(+83)

 体:158(+68)

 速:344(+268)

 魔:58(+16)


 ユニークスキル

【ヤル気セット】LV2

 システム鑑定LV2

 ヤル気LV2

 ヤってやるぜ!LV2

 黄金比はボン・キュ・ボンLV2

 逝忠気枡いただきますLV2

 黄金率はプニ・ペタ・ストンLV2

 俺のモノは俺のモノ、お前の全ては俺のモノLV2

 君の屍を越えて行くLV2

 ??

 ??

 ??

 ??


 スキル

 〈異種族交配〉LV3 (3/30)

 〈肉体美〉LV3 (3/30)

 〈剣技〉LV2 (18/20)

 〈自慢の上腕筋〉 (1/10)

 〈臭いフェチ〉LV3 (1/30)

 〈負け犬の逃げ足〉LV3 (1/30)

 〈酒盛・泡盛〉LV2 (10/20)

 〈酔いどれ兎の千鳥足〉LV2 (10/20)


 アーツ『飛刃』『強撃』『酔拳?』『尻尾をふる』


 奴隷

 メリッサ

 ルーナ

 ────────────────────


 ──ああ、これが原因か……。システムの不調で、名前が『アスアス』になっているのはご愛敬か?

 『尻尾をふる』については、まだ突っ込まない。


 俺の視線はある項目に向かった。それはスキルに加わった〈酒盛・泡盛〉だ。たぶん単純に、『泥酔・二日酔い耐性』といったところだろう。まともな推測が出来ないのがイタイ。

 それにしても、レベルも結構上がったな。そういえば、ギルドカードにはレベル表記は無かった気がする。


 □■□■□■□■□■□■□■□■□

 アス

 ランク:F


 シュラントの討伐 最低20以上 20/20


 □■□■□■□■□■□■□■□■□


 取り出して確認するが、やっぱりレベル表記は無かった。そうなると、レベル自体があることを知らないのだろうか?

 確かにこう言った異世界転移モノでレベルが無いものもあったと記憶はしている。

 この場で彼女たちに、確認しておいた方がいいか?


「──なあ、変なことを聞くが、冒険者の強さはどういう基準になっているんだ?」


 日本の(ことわざ)にあるように、『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』とある。この場合は聞いておいた方がいいだろう。


「それじゃあ、私を例に話すわね。まず1番の目に見えるのが、『冒険者ランク』なのは分かると思うわ」


 メリッサの講習が始まった。彼女の指の間には、再発行された冒険者カードが挟まっている。そこに表示されているのは、名前とランクのみだ。


「ルーナも覚えて欲しいが、今表示されているのは『表面』の情報だけになる。

 ──表という以上、当然『裏面』もあるの。カードに魔力を流して、『ステータスオープン』で自分のレベル、強さが大まかに分かるの」


 俺もカードを取り出し、メリッサの指示通り試してみる。


 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 アス

 LV12


 力:E+

 体:E+

 速:C-

 魔:F+


 賞罰:なし


 称号:突っ込む人(ツッコミが決まりやすくなる)


 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 ──まて、色々と言いたいが、こんな称号を何時手に入れたの!? 記憶に無いのだが!!


「ちなみに"称号"に関しては、100人以上の認識が必要になり、称号は冒険者にとっての『ステータスの1つ』よ!」


「その認識は……『噂を聞いて、そう理解した』って言うものもあるのか?」


 俺の問に、彼女は笑顔で答えてくれた。出来れば、否定して欲しかった……。そんな俺の心は置き去りにされる。


「私の称号に【称号:ヤル気神の加護】っていうのがあるのだけど、何なのでしょうか?」


 ──なに! そのズバッとした称号って言うより、『加護』は!? 間違いなくアレ(・ ・)だよね?


【ヤル気セット】!! ヤツの仕業以外には、考えられない!!


 そのとき、俺の脳裏には『例の声(インフォメーション)』が響き渡った。


【条件を満たしました。新たなスキルが解放されました。

 〈お前の全てで、知らぬものなど無い!!〉が使用可能になりました】


 ──都合良い。いや、これって『ご都合主義』ってヤツじゃないのか?


 自前のステータス表から、【ルーナ】を押してみる。


 ──反応しない。


 今度は、長押しをしてみる。


 ──反応しない。


 次は、ダブルクリックをしてみる。


 ──反応しない。


 まさか!? と思い、心の中で『ルーナ、貴様の全てをさらけ出せ!!』と大声で叫んだ!!


 ──ピコン♪


 軽快な音が鳴り、ステータス表が開かれた!


 ■□■□■□■□■□■□■□■□


 ルーナ

 LV5


 HP:82

 MP:138


 力:21(+16)【成長値:4】

 体:20(+16)【成長値:4】

 速:22(+16)【成長値:4】

 魔:46(+32)【成長値:8】


 スキル

 〈精霊魔法〉LV2 (1/20)

 〈異種族交配〉

 〈肉体美〉


 称号:ヤル気神の加護……成長の基礎値を2倍にする。HP・MPの回復速度上昇・微

 追記:夜のヤル気も大幅アップ!! やったね!


 ※黄金比は、ボン、キュ、ボン:対象


 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 ──ちょっと待てぃ!! 何なの? チート!?(自分は置いておいて)

 夜も死角なし!! じゃねえよ!! 18禁だろこれ!?


「まだレベルも『5』なので、全てステータスは"F-"ですね」


 残念そうにしているけど、言えないよね……「あと1つレベルが上がれば、『魔力が"F+"になる』って。

 しかし、現状でも強くない?


「私は、止めを指していないので、レベルは少し上がっただけね」


 ステータスを見ていたメリッサは、そう答えたが『細部はルーナより(良い方に)酷かった』のは、俺は誰にも言うつもりはない。

 冒険者カードのステータス表示と見比べる見る限りでは、『1~50までは"-"』が付き、『51~0までは"+"』になるという、曖昧すぎる表現しか出来ないようだがスルーだ。

 1つの例として、『F-』同士の戦いでも、”51”と”99”では力の差は歴然で、まず間違いなく『51』のステータスの持ち主が負ける。──切り札が無い限りはな!


 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 メリッサ

 LV3


 HP:72

 MP:21


 力:18(+12)【成長値:6】

 体:18(+12)【成長値:6】

 速:16(+12)【成長値:6】

 魔:7(+4)【成長値:2】


 スキル

 〈剣術〉LV2 (1/20)

 〈異種族交配〉

 〈肉体美〉


 アーツ 『強撃』


 称号:ヤル気神の加護……成長の基礎値を2倍にする。HP・MPの回復速度上昇・微

 追記:夜のヤル気も大幅アップ!! やったね!


 ※黄金比は、ボン、キュ、ボン:対象外


 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 メリッサの詳細なステータスは、低レベルだからルーナより低いが、それでも悪いわけではない。むしろ白兵戦に向いた、安心できるパラメータの割り振りとも言える。

 このまま成長して、『脳筋』にならないと良いのだが……。


 そんなこんなを、森の中でしていたのは不用心だった!


 ──ガサッ!!


 ルーナとメリッサの背後で音がしたと思ったら、俺も背後から奇襲を受けた。


 ────俺たち3人の意識は闇に沈んでいった。

 前編ということで、次回は間幕を短いですが挟んで、後編に移りたいと思います。

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