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可愛い〈衣装〉が僕の武器! ~現代ダンジョンのコスプレ攻略記~  作者: 旅籠文楽


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47/61

47. 敢えて近接戦闘の経験を積みます。

 


     [6]



 以降の戦闘は敢えて《戦士の衣装》や《神官の衣装》で行った。

 《学士の衣装》を着て拳銃や散弾銃(ショットガン)で戦うほうが、魔物を楽に倒せるのは間違いないんだけれど。

 せっかく今回はサツキお姉さんが同行してくれているんだから、近接攻撃をメインに戦って、指導を受けたほうがお得だと思ったのだ。


 そもそも僕が着る衣装には『僕が受けるダメージを肩代わりしてくれる』という機能が備わっているから、それを活かすなら前衛のほうが向いてるんだよね。

 もちろんサツキお姉さんやシオリさんのように、前衛として腕が立つ人と一緒にダンジョンへ潜る場合には、《学士の衣装》を着て後衛に専念するほうが良いんだろうけれど。

 例えば、またアリサさんやマナさんと一緒にダンジョンへ潜る機会があれば、その時には怪我を恐れず戦えるぶん、前衛役を担うほうが良いと思うんだ。


 あと、今のうちに《戦士の衣装》と《神官の衣装》の衣装レベルを上げておきたいという狙いもある。

 もし女子の制服で学校に通うことが許されるなら、衣装レベルを維持することも難しくなくなるからね。


 衣装レベルが上げれば衣装の耐久度が大幅に増えるだけでなく、着用中にのみ得られる能力値のボーナス、異能やスキルなどが増えるメリットがある。

 つまり僕は、自分自身と衣装とで、二重にレベルアップができるようなもの。

 それを考えると《学士の衣装》ばかりを成長させるのも、ちょっと勿体ないような気がするんだよね。


 ウッドパペットは人型の魔物で、女性にしては大柄なサツキお姉さんより、更にひとまわり大きな身体をしている。

 武器は持っていないけれど身体が木製なので、その大きな身体から繰り出される攻撃は、どれも巨大な棍棒で殴られるような脅威だ。


 そんな相手に対して――近接戦闘を挑むのは、とても勉強になる。

 《戦士の衣装》を着用しながら、しっかり全身を使ってパンチの衝撃を盾で受け止めたり。

 あるいは《神官の衣装》を着用して、全ての攻撃を機敏に回避したり。

 攻撃に防御にと、様々な戦い方をサツキお姉さんに指導してもらいながら経験を積む時間は、とても自分の糧になっている実感が伴うものだった。


 ――というわけで、第2階層で幾度となく戦闘を重ねていると。

 《戦士の衣装》の衣装レベルはすぐに『2』へと成長して。

 そして程なく《神官の衣装》のほうもまた、青い光を帯びて輝いた。


《おめでた!》

《おめでとう!》

《キマシタワー!》

《おめでと!》

《めでたい!》


 衣装レベルが上がったことがすぐに伝わり、配信を見てくれている人たちから祝福が殺到する。

 すぐ隣で見ているサツキお姉さんからも「おめでとう」と祝って貰えた。


「ありがとうございます! ちょっと確認してもいいですか?」

「もちろんだよ」


 サツキお姉さんから許可を得て、僕はさっそく衣装の詳細を確認する。




+----+

《神官の衣装》/異能


 【現在の衣装レベル:1】


  ・最大耐久度:400

  ・防御力  :5

  ・能力値補正:筋力+1、魅力+1


  ・衣装スキル:〈棍棒術Ⅰ〉

  ・衣装異能 :《聖化》《隙間拡張》

  ・衣装魔法 :【軽傷治療】【浄化】【衝撃波】【祝福】


  ・召喚可能装備:鎚矛(メイス)


 いつでも『神官の衣装』を召喚して瞬時に装着できる。

 衣装レベルに応じて行使可能な魔法が増えていく。


+----+




 衣装の耐久度や防御力が上がるのは想定通り。

 これで、前衛に立っていてもより安全にダンジョン探索ができそうだ。


 残念ながら、使用できる武器の種類は相変わらず鎚矛(メイス)だけみたい。

 『神官』は武器戦闘がメインじゃないだろうから、これは仕方がないのかもね。


 また《神官の衣装》を着用している時には[筋力]と[魅力]が1ポイントずつ増加するようになった。

 [筋力]は多ければ多いほど鎚矛(メイス)を使った戦闘がやりやすくなるし、[魅力]が高ければそれだけ魔法の効果が高まる。

 いざという時には、怪我をした人の治療ができる衣装なので、その効果が上がるのは悪くないと思う。


 他には……衣装を着ている時にだけ《聖化》と《隙間拡張》という、2つの異能が適用されるようになったみたい。

 また、行使できる魔法の種類にも【祝福】というのが増えている。

 とりあえず僕は、その3つの詳細をステータスカードに表示させてみた。




+----+

《聖化》/衣装異能


 召喚武器に『神聖属性』が付与される。


-

《隙間拡張》/衣装異能


 【スカートのスリットサイズが1cm拡張中】


 悩殺力が上がって[魅力]が『+1』される。

 不思議と運気も上がって[幸運]が『+1』される。


-

【祝福】/神聖魔法


 消費魔力:200

 対象者の[筋力]と[強靭]を日付が変わるまで強化する。


+----+




「………………」


 《聖化》は召喚武器――つまり鎚矛(メイス)に『神聖属性』が付与される異能。

 多分だけど『神聖属性』が付与されることで、アンデッドの魔物とかに与えられるダメージが増加するんじゃないかな?

 ……うん、完全にゲーマー的な推測なので、合ってるかは判らないけどね。

 まあ、武器に『神聖属性』が付くっていうのは、なるほど『神官』らしい能力ではあるのかも。


 【祝福】は対象者の[筋力]と[強靭]を強化する魔法。

 これは――かなり便利なんじゃないだろうか。『日付が変わるまで』効果があるみたいだから、1回行使するだけで探索中ずっと持続するのが嬉しい。

 それなりの魔力は消費するみたいだけれど、能力値は1ポイント上がるだけでも結構な違いがあるから、これはかなり使えそうな気がする。


 最後に……《隙間拡張》という、意味不明な異能。

 《神官の衣装》はシスター服によく似た衣装で、黒を貴重にしたわりと地味めなワンピース。当然スカートもロング丈なんだけれど……。

 このスカートには元々、なぜか修道服とは思えないぐらい大胆で大きなスリットが入っている。……まあ、そのお陰で動きやすくはあるんだけどさ。


 《隙間拡張》は、そのスカートのスリットサイズが大きくなる異能らしい。

 ……うん、全然意味が判らないよね。なんで?

 代わりに『悩殺力が上がる』ことで[魅力]が『+1』される?

 不思議と運気も上がって[幸運]が『+1』される?


 うーん……。《神官の衣装》とは一体……。

 というか、神官が悩殺力上げてちゃダメでしょ。何を悩殺するんだよ。

 しかも着ているのは男だよ……誰が喜ぶんだよ……。


「……ゆ、ユー? なんだか陰鬱な表情になってるけど、大丈夫かい?」

「世の中って理不尽ですよね」

「世の中って理不尽⁉」


 僕が吐き捨てた言葉に驚いて、サツキお姉さんがオウム返しにそう問い返す。

 おっと、いけないいけない――理不尽を嘆きたい気分なのは事実だけど、だからといってそれをサツキお姉さんにぶつけるのは筋違いだよね。


「すみません、なんでもないです。【祝福】っていう魔法が新しく行使できるようになったみたいなんですが……」


《おお、当たりの魔法やね》

《その魔法は愛用してるひと多いで!》

《魔力を消費するだけの価値があるからね》

《攻撃と防御を同時に強化できるの便利だよなあ》


「あ、やっぱりそうですよね。じゃあ試しに――【祝福(エビオ)】!」


 魔法の行使を意識すると、『魔語(ネシエント)』と呼ばれる、魔法の真の名前が頭の中に浮かびあがる。

 それを口にすると、僕の身体が一瞬だけ緑色の光を帯びて、すぐに元に戻った。

 今のが強化(バフ)演出(エフェクト)ってことなのかな?




+----+

タカヒラ・ユウキ

 夢魔(サキュバス)/17歳/男性


  〈衣装師〉 - Lv.3 (4015/4120)


  [筋力]  4+4

  [強靱]  4+4

  [敏捷] 11+2


  [知恵]  8+2

  [魅力] 13+2

  [幸運]  9+2


  精気:393


-

異能(フィート)


 [夢魔][夢渡り]

 《衣装管理》《戦士の衣装》《神官の衣装》《学士の衣装》


◇スキル


 〈剣術Ⅰ〉〈棍棒術Ⅰ〉〈盾術Ⅰ〉


+----+




 ステータスカードで能力値を確認してみると、ちゃんと[筋力]と[強靭]の両方が、スミカさんからの投資による『+2』から更に増えて『+4』になっていることが判った。

 一方で衣装の能力値補正や《隙間拡張》による能力値増加は、カード上の能力値の数値には反映されていないように見える。なんでだろうね?


 あと、本来は魔法を行使すると『魔力』を消費するわけだけれど。

 僕の場合は消費を『精気』で代用することができるので、魔力の代わりに精気の側が200ポイントほど減っていることも確認できた。


 魔力を消費した分だけ次のレベルアップは遠のいてしまうので、そのペナルティを精気で帳消しにできるというのは、地味に嬉しい。

 どうせ精気は夢の中でみんなと楽しく時間を過ごしていれば、それだけで勝手に貯まっていくものだからね。積極的に活用していきたいところだ。


「あれ? いつの間にか魔力が凄く貯まってる……?」


 ステータスカードを眺めていた僕は、少し遅れてそのことにも気づく。

 カードには現在の僕の魔力が『4015』と、そして次のレベルアップに必要な魔力が『4120』だと書かれている。

 つまり、あと100点ちょっとの魔力で、レベルが上がるわけだ。


(……早すぎない⁉)


 僕は今日、レベルが『3』に上がったばかり。

 なのに早くも次のレベルが見えているという事実に、驚愕するばかりだ。


「ウッドパペットを倒して得られる魔力は、1体につき『40』だからね。銃でも剣でも鎚矛(メイス)でも倒してるんだし、そんなもんだよ」

「な、なるほど……」


 サツキお姉さんの言葉を聞いて、ようやく僕は得心する。

 確かに、色んな武器での戦闘を経験するため、ウッドパペットやパペットドッグを相手に何度も連戦を繰り返していたから。

 1体あたり『40』もの魔力が得られるなら……これぐらいの量は貯まっていても、おかしくはないのかもしれない。


「ふふ、今から次の衣装が楽しみだねえ」

「流石にもう、何が来ても驚かない気がしますよ……」


 楽しげに笑うサツキお姉さんとは対照的に、僕は嘆息しながらそう答える。

 流石に『実際に僕が通っている学校の制服』を超えるほど、変な衣装が追加されるようなことも無いだろうからね。


 ………………無いよね?





 

-

ローファンタジー日間8位、週間10位、月間17位に入っておりました。

日間総合の181位にも入ってました。


いつも応援くださり、ありがとうございます!

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