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可愛い〈衣装〉が僕の武器! ~現代ダンジョンのコスプレ攻略記~  作者: 旅籠文楽


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28. 《筋肉は幸いなり……》

 



 それから、両国国技館ダンジョンの第1階層を探索し、遭遇する魔物との戦闘をこなしていく。

 こちらが1人なので、遭遇する魔物も必ず1体だけ。

 パーティでの狩りに較べると魔力の収集効率はあまり良くないんだろうけれど、数的な不利がないので、常に落ち着いて対処できるのは単身(ソロ)の良いところだ。


 もちろん冷静に戦闘が行えているのは、衣装のお陰でもある。

 流石に1戦目のように、無傷での勝利ばかりとはいかなくて。ヤケイの鋭い蹴爪(けづめ)(くちばし)などに、ちょこちょこと攻撃されているんだけれど。

 ダメージを衣装が引き受けてくれるお陰で、僕は怪我を負うことも痛みを感じることもないから。恐怖を覚える必要がなく、冷静に対処することができていた。


「ごめん、ちょっと休憩します……」


 6度目の戦闘を終えたあと、僕は少し歩いた先にあった、近くに曲がり角がない見通しの良い通路を選び、ダンジョンの床に座り込む。

 この場所でなら休憩していても、まず魔物から不意打ちを受けることはない。


 いや、もちろんヤケイは鳴き声が特徴的だから、どこで休憩しようと大丈夫だとは思うんだけどね。

 ずっとドローンがひっきりなしにコメントを読み上げ続けているから、会話に熱中するあまり、魔物の声を聞き逃したりすると怖いし。

 見通しの良い通路なら、たまに周囲を見回すだけで充分に警戒ができるし。もし僕が気づかないうちに接近してくる魔物がいたとしても、視聴者の人がコメントで教えてくれそうだ。


 実際に、魔物の接近を視聴者が警告してくれるのは、掃討者の配信ではよくあることらしい。

 全周撮影ドローンに対応している『ConTube』での配信は、視聴者がドローンを中心に、360度全ての方向の映像を見ることができるからね。

 掃討者が休憩している時などは、わりと視聴者の人が率先して周囲を警戒してくれたりもするそうだ。


《お疲れですか》

《こっちでも周囲警戒やっとくよー》

《やっぱり戦闘は大変なんかな》

《緊張もするだろうしねえ》


「戦闘が大変というか、衣装がちょっと重いんですよね……」


《そんな重いん?》

《まあ、金属鎧だからなあ。そりゃ重いだろう》


「体感だと20kgぐらいはありそうに思えるんですよね。全身で支えられるので重さのわりに(つら)くはないし、動きが阻害されることも無いんですが」


《20kg⁉》

《そもそも、今のユウキくんの体重どんなもんなん?》


「あー……幾らでしたっけ? 一度アルナさんのお店で計ったんですが」


《★『アルア・アルナ』公式:ユウキくんの体重は31kgだよ!》

《――31kg⁉》

《幼女じゃねーか‼》

《☆貴沼シオリ:   》

《シオリお姉様が沈黙してしまわれたぞ!》

《いや、流石に31キロは女子でも勝負にならんて》

《そうそう、気にしたら負けやで》

《☆貴沼シオリ:私はそのダブルスコア以上なんですが……》

《あっ……》

《(察し)》

《シオリお姉様は上背(うわぜ)がありますから……》

《筋肉も付いてるだろうし、しゃーないっすよ……》

《☆貴沼シオリ:ダイエット……そうだ、ダイエットにオークの乱獲を……》

《ひえっ》

《特に理由のない暴力がオークを襲う‼》

《オークさん にげて》

《そして更に筋肉が増えるんですね、判ります》

《筋肉は裏切らない……》

《筋肉は全てを解決する……》

《筋肉をたたえよ……》

《筋肉は幸いなり……》

《いざ幸の地へ……》


 身体が8~9歳自なみに小さくなっても、なぜか僕の力や体力は姿が変わる以前のまま変わらない。

 つまり、幼女の見た目に反して男子高校生相応の膂力や持久力があるので、鎧の重さが20kgぐらいあっても、わりと問題なく着こなすことができるのだ。


 とはいえ重いものを着て動いていれば、疲れるのは高校生でも同じこと。

 なので、こうしてちょこちょこと休憩を取る必要はある。


「――《衣装管理》」


 視聴者の人たちに聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で、僕はそうつぶやく。

 すると僕の視界に、まるでゲームによくあるようなウィンドウがひとつ現れた。




+----+

《戦士の衣装》Lv.0 - 耐久度:252 / 300

《神官の衣装》Lv.0 - 耐久度:200 / 200

+----+




 《衣装管理》はその名の通り、衣装を管理するための異能だ。

 ウィンドウに記されているのは僕が召喚可能な衣装の一覧。

 現時点だとまだ衣装は2つしか無いので、書かれている内容はコンパクトだ。


 衣装着用中に僕が受けたダメージは、全て衣装が肩代わりする。

 つまり《戦士の衣装》の耐久度が50点ほど削れているのは、それだけ僕がヤケイの攻撃を喰らってしまったということだ。

 衣装は耐久度が『0』になると破壊され、一時的に召喚できなくなってしまう。

 当然困ることになるため、衣装の耐久度はある程度を保つよう心がけたい。


 耐久度を回復するには、その衣装を休ませてあげれば良い。

 というわけで、休憩を終えた僕はその場で立ち上がり、声高に宣言する。


「そろそろ一度着替えますね。《神官の衣装》!」


 宣言と同時に、僕の衣装が『白銀の鎧』から『修道服』へと一瞬で変化した。

 黒を基調にした地味なワンピース。――なのに、どうしてこの修道服のスカートには、大胆なスリットが入っているんだろう。

 下着が見えてしまうんじゃないかと、僕はちょっと心配になる。


 ちなみに僕が履いている下着は、男物のトランクスやブリーフ――ではない。

 かといって、流石に女物のショーツでもない。

 すっかり女装には抵抗がなくなりつつある僕だけれど。まだそこまで攻める勇気は、ちょっと持てそうに無いからね……。


 じゃあ何を履いているのかというと、アルナさんから貰ったドロワーズだ。

 アルナさんの説明によると、ドロワーズは性別を問わず着れるものらしいから、男の僕が着ても全く変ではないんだとか。

 僕はその辺のことは全然判らないんだけど――服の専門家がそう言うんだから、きっとそうなんだろう。


 下着とは言っても、ドロワーズ自体は短パンに近い形状なので、見られてもそれほど恥ずかしくはない……筈なんだけれど。

 アルナさんから貰ったドロワーズは、どれもフリルやリボンが沢山付いていて、いかにも『女の子の下着』っぽいものばかりだから。

 これを見られるのは、男としてちょっと恥ずかしいのもまた事実だった。


《お着替えタイム!》

《可愛い!》

《かわよ……!》

《ほあー、これが神官の衣装かあ》

《シスター服ですわ!》

《お姉さまとお呼びしたいですわ!》

《☆貴沼シオリ:尊い……》

《★『アルア・アルナ』公式:ありがとう、ありがとう……!》

《スリットえっぐ!》

《動いてたら普通にパンツ見えそう》

《みえ……みえ……》

《あかん、戦闘中に凝視してまう》

《これは切り抜き動画が流行る》

《確かに。配信終わった後に沢山出そう》

《むしろ俺が作って投稿しそう》


「……もし見えちゃっても、指摘しないでね。流石に恥ずかしいから」


《了解しました!》

《口には出しません! 録画はしますが!》

《あとで堪能します!》

《心の中でぺろぺろします!》

《★『アルア・アルナ』公式:修道服かあ……。私がデザインしたいなあ》


「しますか? 衣装のデザインは自由に変えることも可能みたいなので」


《★『アルア・アルナ』公式:えっ、そうなの⁉》


「はい。僕の異能の説明文に、そんなことが書いてあった気がします」


 アルナさんに話しかけるつもりで、ドローンに向けてそう答えながら。

 僕はステータスカードを取り出して、自身が持つ《衣装管理》という異能の詳細をカードに表示させてみる。




+----+

《衣装管理》/異能


 召喚可能な全ての衣装を一括管理する。

 一部を除き、衣装のデザインを任意に変更することも可能。


 着用者が受けたダメージは全て衣装が肩代わりする。

 装着中でない衣装は自動修繕され、徐々に耐久度が回復する。


 完全に破壊された衣装は一時的に装着できなくなるが

 耐久度が最大まで回復すれば再び装着可能になる。


 装着中の衣装は魔力を吸収して『衣装レベル』が成長する。

 衣装を何も装着していないと全ての衣装レベルが徐々に低下する。


+----+




 うん――やっぱり『デザインを任意に変更することも可能』と書いてある。

 一部を除き(・・・・・)とも書かれているのが、ちょっと心配ではあるけれどね。


 そのことも含めて説明すると。アルナさんは「じゃあ私がデザインする! すぐに完成させるから、その時にまたお店に来て!」と求めてきた。

 もちろん僕は快諾する。アルナさんがデザインした修道服は、きっととても洗練されていて、しかも可愛いだろうから……。僕としても非常に興味があるからね。





 

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