表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】転生した赤ちゃん皇女さまは家族のために暗躍します~冷酷皇帝一家の天才幼女がどんな事件も解決でしゅ!~  作者: りょうと かえ
真夜中の大作戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/29

17.闇から闇へ

 九月に入るとさらに私の魔法の腕は上昇し、皇宮だけではなく夜のお散歩にも出かけるようになっていた。


 不用心なのかもしれないが、今の私は魔力ありならスーパー幼児である。

 指一本で倒立も余裕なのだ……!


『何の意味があるのにゃ、それ』


『強そうでしゅ』


『数十人に囲まれても余裕なのににゃ? よくわからないのにゃ』


『一瞬で強く見せるテクニックというもので――』


 私たちはテレパシーで会話しながら、皇宮北の大公園をお散歩していた。

 ここは夜間立ち入り禁止なので、のびのびとお散歩ができるのだ。


 芝生をぽふぽふ歩きながら秋風を受け、星を見上げる。

 やるべきことはまだあるけれど、色々と変わりつつあるのを実感する。


「みゃー」「にゃーう」


 茂みの向こうから鳴き声がして、猫の集団がやってきた。


 二十匹くらいいるだろうか。

 彼らは帝都周辺の顔役らしく、時たまモナックの元に来るのだ。


 猫ちゃんたちが私たちの前に来たので、挨拶する。


「だう、だぁっー」(こんばんわでしゅー)

「「みゃーっ!」」


 猫ちゃんたちが一斉にお辞儀する。なんて可愛い。

 すりすりと寄ってくる猫ちゃんに囲まれ、もふっと幸せだ。


「にゃーん」(毛並みが整っていて、何よりにゃ)


 モナックはどーんと威厳ありげに周囲を見渡す。


 それからにゃーにゃーと猫ちゃんたちがモナックと話し始めた。

 残念ながら私に猫語はわからないので、後でモナックから説明を聞くしかないのだけれど。


 でも普段は「今年の魚は美味しい」とか「ブラシが壊れて新品を探してる」とか、そんな話しかしていない……らしい。


 いや、それでも猫ちゃんの会話に参加したい……。

 と、三毛猫の頭を撫でている私を横目にモナックがにゃーんと首を傾げた。


『最近、妙な連中が馬車で王都北によく来ているらしいにゃん』


『妙な連中……?』


『この国ではあんまり嗅がない匂いをさせてるみたいにゃ。しかも人目につかないよう、深夜ににゃ』


 モナックの言葉に私はピンときた。

 猫は嗅覚が鋭い。そんな猫があまり嗅いだことのない匂いをさせている……。


『王都の人じゃないんでしゅよね?』


「みゃうみゃう」


『近くで見ていたら石を投げられたらしいにゃ』


『なんでしゅと……!』


 よしよしとモナックがその猫を撫でて慰める。


 ヘイラルでは猫は神聖な動物で、そんなことをする人がいるとは。

 しかも深夜であればとてつもなく怪しい。


『……その人たちが次に来そうな日とかわかりましゅか?』


『間隔からするとちょうど五日後くらいが怪しいらしいのにゃ。ラミリアちゃん、手があるのにゃん?』


『はいでしゅよ』


 答えながら、私はずいっと猫ちゃんを見渡した。


『こういう時こそ、偉い人の出番でしゅ!』



 五日後の夜。私とモナックは再び、皇宮北の公園に来ていた。


 ちなみにひとりではない。ソーニャも一緒だ。

 事の次第を説明し、人を手配してもらったのである。


「しかし、まさか深夜のお散歩の裏でこのようなことを考えておられたとは……」


『あたしも母上を助けたいんでしゅ!』


 私は空中に魔法で文字を書きながら、ソーニャに説明する。


「ええ、ラミリア様の実力も知性もソーニャめは重々承知しております。実家の伯爵家の伝手で信頼できる人を集めました。問題は……その怪しい者らを捕捉できるかどうか」


 私たちの前には、この前の猫ちゃんが並んでいた。

 数十の猫ちゃんのにゃーにゃーという鳴き声をモナックは聞き分け、ふんふんと頷いている。


『大体のエリアは絞り込めているのにゃ。あとはラミリアちゃんの言った、なんにゃ?』


『ローラー作戦でしゅ』


『それにゃ。そのローラー作戦とかいうので見つけるにゃ。早速、作戦開始なのにゃー!』


 そして猫ちゃんが散って、小一時間ほど経過しただろうか。

 一匹の三毛猫がとことこと帰ってきた。


「みゃー」


『にゃっ! 例の怪しい連中を見つけたらしいにゃ!』


『どこどこ!?』


『北西ヘイラル橋にゃ。ちょっと離れてるのにゃ』


 その橋はここから北西、込み入った路地と区画を抜けた先にあるはず。


 猫ちゃんなら苦もなく行き来できるが、人が行くには時間がかかる。

 ちんたらしていたら逃げられてしまうだろう。


「猫様はなんと……?」


「だあっ! あうっ!」(北西ヘイラル橋でしゅ! 先に行っているでしゅよ!)


「ラミリア様っ!?」


 ソーニャに文字で伝えた私は、三毛猫とモナックを抱えて――猛然とダッシュして、飛んだ。


 地上から五メートルほどの高さをムササビのようにすーっと……!

 これぞ今回のために習得した飛行魔法!


「だーっ!」(レッツゴー!)



 行動は素早く、躊躇しないように。

 スパイ映画の主人公はいつもそうだ。


 私は公園をあっという間に横切り、入り組んだ帝都の屋根から屋根を飛び移る。


「みゃうーん!」


『今度はあそこの赤い屋根の家までにゃん!』


『あいでしゅよー!』


 深夜の帝都を一歳児と猫が飛ぶ。

 ぴょーん、ぴょーん……ふふっ、これは楽しい。


『にゃぁぁーーん!』

「みゃあぁーん!」


 モナックも三毛猫も面白がってくれている。


 赤い屋根の家から今度は小さな塔に張りつき、さらに私たちは進む。

 ショートカットの連続で滑空し、ほんの十数分で現場の橋に到着した。


 北西ヘイラル橋はさほど大きな橋ではなかった。

 馬車がぎりぎりすれ違いできる程度の幅しかない、石造りの橋である。


 私たちはすちゃっと近くの茂みに隠れて……。


「みゃー……」


 三毛猫ちゃんが橋のたもとを前脚で指す。

 じーっと視力を強化して暗闇に目をこらすと……見つけた。


 中型の馬車が二台並んで、数人がそばにいて何かをしている。

 動きは遅くて中腰。地面には数個の箱。大当たりだ。


『まさにお取引の最中っぽいでしゅ!』


『でもどうするにゃ? ソーニャが来るまで、まだ結構かかるにゃ』


 モナックの指摘通りソーニャたちの到着まで三十分近くはかかる。

 それまでここにいてくれるのか。連中は行ってしまうではないだろうか……。


 最低限の足止めさえできれば、それでいいのだけれど。


(せっかくここまで来たんでしゅから……!)


『モナック、行くでしゅよ』


『やるのにゃん!?』


『そんな正面から大立ち回りなんてしないでしゅよ。こそっとやるんでしゅ。それはそれで楽しいでしゅよ!』


『確かににゃ……! で、どうするのにゃ?』


 三毛猫ちゃんは連絡係として茂みに残し、私とモナックはこっそり馬車に近寄った。

 極限まで音と気配を消して、ハイハイと伏せながらの接近だ。


 馬車の近くには見張りがひとりいる。


「暇だぜー……」


 でも全然集中していないので楽勝だ。


 ふふん、まさか一歳児と黒猫が迫っているとは夢にも思うまい。

 隠密行動に慣れた私たちからすれば、カカシ同然だ。もしくはトーシローである。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』やポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ