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第76話 交渉術の効果

誤字報告や評価など喜んで受け取ります。感想欄やツイッターなどで!

https://twitter.com/sudounnikuman

ツイッタです

 いつもの大部屋で、俺はもらった母さんの手記を読んでいた。

 すでに2,3回よんだもので、内容については把握している。

 だけど、魔法的な部分に関して詳しくわからない。

 よく母さんは理解できたな~ と軽く尊敬すらしてしまった。


「処刑――か」


 俺が一番きになったのはここだ。

 母さんは納得しているように思える文書があるが、いったいなぜそうなったのかが分からない。


 本によれば、帰還魔法陣の理論構築まではたどりつけたらしいんだけど、そのために必要なものがいくつか欠けていたらしい。

 母さんも、自分がつくった手段は、不完全なものとして認識している。

 それでも待てなくなり、ほとんど力づくで起動させてしまい大失敗。


 問題はここだろう。

 起動させた結果、失敗したことしか書かれていない。

 何が起きたのか?

 どうして処刑される事になったのか、まったくわからない。


 これは俺の推測にしか過ぎないけど、書き残すだけの精神的な余力がなかったんじゃないだろうか? 

 だって、失敗した後の話は、絶望と後悔の言葉しかでてきていない。

 それまでは実験結果データーらしいものが色々書かれているのに、失敗後はまったくない。

 そのまま、最後の文面につながるわけで、ミリアが一番知りたそうな、どういう失敗結果に終わったのかが書かれていなかった。


「ふぅ……やっぱわかんないか」


 誰一人、聞くことのない俺の声。いま現在、この部屋にいるのは俺一人だけ。

 フェルマンさんとイルマは、同盟の件でアグロとエーラムを行き来しているんだけど、どうやら魔力不足らしく、たまに俺にいいにくる。


 何で俺だって?

 どうやらあの魔法陣は、起動時に魔力を使うらしく、必ずしも転移する者が魔力をこめる必用はなかったらしい。

 ただ、タイミングがあって、逃げ遅れると俺も転移しちゃうけどね。

 連日使っている2人が、魔力切れになるのはしょうがないと思う。それに、どうやら俺の魔力はかなり多いようだ。一瞬喜んだけど、魔法を扱えないわけで、あまり意味ないな。と自分で結論だしてガッカリした。


「やっぱり魔法覚えたいな~」


 せっかくファンタジー世界にきたのだし、初級魔法ぐらい扱ってみたいよ。

 どうしてミリアが止めているのかいまだにわからないし、覚える機械があれば習得しちゃいたいんだけど、今は先生となれる人がいない。


 いや? ――いたな。あの魔王カズヤが。

 あれから会っていないけど、魔王というからには、凄いんだろうな。


 そういえば、鑑定してなかった。

 だって、最初に会ったときは、本気で子供だとおもったし。

 あれってたぶん、最初は油断させておいて~ みたいな感じじゃないかな? 同じ異世界人だし、テンプレ手段を扱うあたり近しいものを感じるよ。


 おっと、鑑定の話だった。

 そうだな……ちょとやってみるか。

 ムクリとベッドから上半身だけ起こす。念じて文字入力画面をだす。そこにムラタ=カズヤと入力。位置情報がでて視点をあわせると、魔王の鑑定結果がでてきた。


 何度か実験して、遠距離からでも鑑定できることがわかったんだ。

 位置情報がでただけでびっくりしていたから、その先もあるとは思わなかったよ。

 でもって、でてきた結果だが…


 レベル99 ムラタ カズヤ

 称   号 元勇者にして現魔王

 アイテム  王者の礼服。

 ステータス 神話級魔王

 ス キ ル 通訳、鑑定、武器全操術9 肉体制御 空間魔法5


 って、でた。

 ……お、おぅ。

 予想はしていたけど、やっぱり元勇者か。

 異世界人ということは、召喚されたか、俺のようになぜか来てしまったかのどっちかだし。母さんと親しかったってことは、召喚されたパターンかな? とは思っていたんだよ。


 通訳と鑑定か……あれ?

 こっち俺と違うな? 真とか極とかつかないんだ。もしかして、勇者だと成長しないのか?


 武器は何でも扱えるって感じか。

 肉体制御ってのはわからないけど、あの子供じみた姿に関係しているのかな? もしかして寿命ものばしている? 皮膚の色も、おれたちと違っていたし、あれもスキルによるものかな?


 思っていたのとは違う感じだけど、ダントツに凄いってわけでもないかな? レベルが99なのは流石魔王っては思うけど、もっと凄いとおもっていたんだよな。

 でもこれで神話級とかつくのか……実際のところ知らないけど、カリスさんの竜王顕現のほうがすごいきがするんだが、俺だけかな?


 魔法は空間魔法か。

 いいな、これ。やっぱりアイテムBOXはこれ関係なのかな?

 教えてくれないかな?

 駄目もとで聞いてみるかな?

 でも、おれやらかしちゃったしな~

 ペリスさんからの報告きたらきっと呼ばれるだろうし、その時お願いしてみるか。

 

 ん―― じゃあ、それまでもう少し自分を鍛えておくか。今日も外いって狩りだ。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 わりと充実した日々がすぎていく。

 この街にきてから、たしか3ヶ月目にさしかかったあたりか?


 当初の目的はすんだし、レベリングも少しは進んだ。いまは36まであがっている。

 イルマがいなくなってレベリングが停滞するかとおもいきや、そうでもなかった。どうやら弱いのを一人で倒したほうが経験効率はいいらしい。


 イルマで思い出したが、あいつとやった交渉術の効果が終わっている。

 魔王との謁見があわったあと、急にイルマの様子がへんになり、扉前で、


「取引終了だな。仮定の話だが情報があるぜ」


 と、自発的にいいだして、そういえばと手をうってしまった。

 ごめん、すっかり忘れていたよイルマ。

 取引交渉した時点でイルマがもっていた仮定を含む情報。その開示が交渉材料の一つだったわけだが、


「まてまて、ここじゃなんだから、宿にかえってからな」


「わかった。いこうか」


 堂々とした態度でいうが、どうも目が虚ろ気味だった。

 ここにきてようやく交渉術スキルが働いている様子が見えたが、ほんとどうなってんだこのスキルはといいたい。

 宿にかえって聞いた情報ってのはこうだった。


「現在一番研究が進んでいると俺が思うのは、イガリアにあるエルフの国だ」


「え? 人間の国じゃないのか?」


「勇者を帰還させる魔法であれば人間の国だ。だが、お前のように、召喚されたわけでもない者を帰還させるとなれば違ってくる」


「……なるほど」


 そうなるのか。ということは人間たちの研究を奪うのは無意味か?


「研究員に聞いた話だが、召喚された勇者には”印”がつけられるらしい」


「印? どういう意味だ?」


「聞いてはみたが、やっている連中もわからないだとよ。最初に使ったやつの模倣をしているだけだとか言っていたな」


「……初期に開発したやつの真似ってことか。それ研究っていえるのか?」


「託宣頼みの連中が、その託宣がない研究を行っているんだぜ。アテにするほうが間違っている」


「そりゃそうだ……ン……?」


「どうした?」


 ちょっとまてよ?

 人間ってのは託宣頼みなわけだ。

 そうやって生きてきた連中が帰還魔法の研究をしている? 託宣抜きで? だから研究が進まない。これはわかる。


「……変だよな?」


「なにだがよ?」


「いや、だって……勇者召喚って誰が考えんたんだよ?」


 託宣がないと何もしない連中が、異世界人を召喚する術を編み出した?

 おかしくないか?


「その情報はもってねぇ」


「ああ、ごめん。とりあえずイルマ。もってる仮定の情報ってのはあとない?」


「エルフの国が一番進んでいると思う理由ならあるぞ」


 そういやそれ聞いていないな。たぶん母さん関係なんだろうけど、聞いておくか。

 話を求めると、


「ヒナガ=メグミがエルフの国にいったのは魔王に会ってからだ。紹介があったんだろう。そこで転移魔法陣を習得し、その先に帰還魔法があると信じて研究していたらしいが、その先の話があいまいになったまま」


「ああ、そうだな。それで?」


「どういった理由があったにしろ、そこまで懸命に研究していた奴が、途中であきらめたとは思えねぇ。少なくとも何らかの形で、研究結果を残したはずだ。なら、師であるオルトナスが研究を引き継いだ可能性が大だ。と、俺は思っている」


「……だいたいミリアが予想したとおりか」


 改めて聞いてみると、ミリアとイルマの考えは似たり寄ったりだ。


「ってことは、やっぱり人間たちの研究を知っても意味ないのか?」


「そうでもねぇ。俺も魔法は詳しくねぇけど、帰還魔法の構築式は違っていたにしても、類似している部分は多々あるはずだ。それに詳しい奴に見せれば、何かしらのヒントにはなるんじゃねぇか?」


「なるほど……イルマって馬鹿なのか賢いのかよくわかんねぇな」


 とても魔王との謁見で「王は俺じゃなくても」発言した奴とは思えない。


「……実は俺が帰還魔法についてあれこれ調べ始めたのは、テラーの親父さんがきっかけなんだわ」


 口をモゴモゴさせているけど、言いたいのか、言いたくないのかよくわからない。もしかしてスキルの影響か?


「あいつの家系ってのはちょっと特殊で、立派な銀狼の血筋だった。ただ、テラーは、ほら……」


「ああ、うん……今や立派なワンコの毛並みだな…」


「それ本人の前ではいうなよ? 結構落ち込んでめんどくさくなる」


「う、うん」


「でな、そういう家ってのは、歴史的に重要な事柄が引き継がれているわけよ」


「なるほど。そういうのって獣人にもあるのか」


「そうそうあるもんじゃねぇけどな。その親父さんの話によると、昔から異世界人ってのは勝手にやってきて、トラブル起こすことがあったらしい」


 ちょっとイラっとした。好きできたわけじゃないっての。


「俺はそれを聞いてピンときたんだ。異世界人ってのはトラブルを起こせる連中だって。そういう連中と組めば、託宣を乱して勝機をつかめるんじゃないか? ってな。で、どうやったら、味方にできるか、あれこれ考えてたわけだ」


「それが帰還魔法か」


「そういうこった」


 イルマの話はこれでおわった。

 この後、頭痛を訴えて、テラーの話までしたことを後悔していたらしい。あいつなりに、思うところがあるんじゃないだろうか?


 ひょっとしてだけど、この《交渉術》って当人の意思と契約内容が反しないかぎりは、強制作用みたいな効果はでないんじゃないか?


 エーラムにきてから、情報の開示までイルマの様子に変化はなかった。

 それはつまり、当人に護衛や魔王との謁見。そして虚実的な発言をする気はなかったってことじゃないかな?

 ただ情報の開示にかんしては、多少おもうところがあったんだろう。頭痛を感じたのはそのせいじゃないだろうか?


 まあ、俺の推測でしかないから、どこまで当たっているのか分からないけど……



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「よし、37きた!」


 ようやく一人でヒュージースライムを倒せるようになったので、それとの戦闘中だった。

 最近ではイルマがおいていった長剣を使っている。どこにでも売っているような安い鉄製品らしいので気兼ねなく使っている。


 どれどれスキルは……はい変化なし。

 やっぱり40以上にならないと駄目か。

 それにいまだに《真通訳》の効果がわからん。これ何が変わったんだ?

 《極鑑定》のほうは、たぶん遠くにいるやつの鑑定もできるようになったのがソレだと思うんだが、それも怪しいんだよな。


「考えるのは宿でするか。帰って考えて、その後アグニスさんとちょっと話でもしよう」


 そろそろ仕事の引継ぎがおわって、店を立てる場所を探す時期だ。予算はもうきまっているらしいし楽しみだな。

恵子:肉体制御………ってもしかするのかな?

ミリア:………もうちょっと、ねぇ。

恵子:う、うん。もうちょっとこう……

テラー:どうしました2人で、胸や腰を気にして?

2人:あんたには関係ない!

テラー:……なぜ?

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