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第271話 一年後のヒサオ達(挿絵あり)

 俺達が帰還して一年がたつ。

 ミリアも無事に人間となる事ができたし、バァちゃんとも仲が良さそうだ。


 そのミリアについて、色々変わっているので、少し話そう。


 まず名前だがミリア=エイド=ドーナではなく、日永 美里亜という名前になっている。


 ……

 ……

 ……


 言っておくが結婚したわけじゃないからな?

 叔父に話をつけて美里亜を養子扱いにしてもらっただけだ。

 役所が色々面倒な事を言っていたが……

 その辺りについて話をする前に、美里亜の姿について言うとしよう。


 こっちの世界に帰ってくると、エルフであった彼女の姿は日本人女性へと変わった。

 サラサラと流れていた金髪は、しっとりとした黒髪にかわり、吸い込まれそうだった晴眼は、茶の混じった黒い瞳へと変わった。色白だった肌も、今では日に焼けた肌へと変化。毎日楽しそうに、俺と一緒に同じ高校へと通っている。


 エルフだった頃のミリアもいいが、今の美里亜は躍動的で凄く良い。

 俺の腕の中で見せてくれる彼女の姿は、本当に最高だ。学友たちが俺達の仲を知った時の表情は見ものだったなー……まぁ、一気に敵が増えたけど……休み時間が大変だ。


 学校の事に触れたので、そちらについても話をしよう。


 正直な話、俺は中学を卒業してすぐに働こうと思っていた。

 むこうの世界に俺は2年以上いたので、こちらの世界に帰って来てみれば2,3か月たっていた。

 俺は中学3年の夏頃に向こうの世界に落ちたわけで、戻って来てみれば高校受験間近という現実が待ち構えていたんだよ。

 ただでさえ成績が悪かったのに、2年以上義務教育から離れていたのだから色々と忘れていたし、美里亜と一緒に暮らしたいという理由もあって、中卒で働ける場所を探そうと思っていた……んだけど。


 ところがさ……


















 スキルがそのままだった。


 何を言っている? って思うだろ。


 ああ、俺も話が違うって思った。


 美里亜にはズルい! と、今でも言われている。

 恵子にはチートだと言われ、コタなぞ、喜々として俺を利用しまくっている。


 なぜ、俺だけがスキルを維持できたのか?

 理由を簡単に言えば、俺が狭間の世界でも実体を保てるから。と言うことになる。


 順を追って説明すればこうなるらしい。


 まず、スキルの有り無しの変化や、エルフから人間へと変わるのは狭間の世界で行われる。

 世界転移を行った時に、向かう先のルールに従って変換されるわけだが、この変換というのは、記録粒子状に変化してから行われるらしい。


 しかし、俺は実体を保てるわけだから、記録粒子にはならない。


 つまり、世界転移時の変換作業が行われなかったのだ。


 世界樹ルインさんが言っていた事と違っていたのは、俺のような存在がいなかったからだろう。

 彼と会った時にも言われたが、狭間の世界で実体を保てるのは俺ぐらいのようだし、想定外というやつだと思う。


 スキルも変わらないし、歩く精霊樹状態もそのままだから使い放題。

 そんな現実を知ったコタが、楽しそうに色々悪だ――協力してくれるから、美里亜も同じ高校へと入学させるという無茶ぶりまで出来た。何をしたかは察してくれ……うん。

 役所関係もこういった出来事を使って黙らせたのだが、後々になって面倒が起きるような気がする。


 と、こんな話をすれば、なにそれズルイと思うかもしれないが、実は良いことばかりではない。


 高校入学はできたものの、学力そのものは変わらないのだから成績が悪すぎる。

 これまでスキル頼みという訳にはいかないので、小太郎に頼んで家庭教師じみた事をやってもらっているが、俺に対しては鬼そのもの。『こんな事も分からないの? 小学生からやり直したらいいんじゃない』とか、そんなレベルで話されるので、ちょくちょく口喧嘩をしながら教えてもらっている。


 成績といえば、俺よりも美里亜の方が悪いのだが、彼女の場合は仕方がないだろう。そもそもの基本教育が違うのだし、色々と大変そうだ。


 ただ、コタが言うには、凄く飲み込みが早いらしくて、すでに中学レベルの事を教えているそうだ。俺が追い越されるのも時間の問題だとか。内心焦ってはいるのだが、元の知力レベルの違いだけはどうにもならないだろうな……

 思えば、美里亜は魔法を学ぶ過程で勉学の仕方がしっかりと身についているし、3つの異世界経験があるおかげで順応性が高いのだろう。飲み込みが早いというやつだ。

 勉強の傍ら、野良作業にまで手を貸しているから、叔父にも可愛がられていて、今では『俺にはもったいない』と、まで言う。俺だって頑張っているんだぞ!


 ああ、そうそう。

 コタと恵子の事を少し話そう。


 あいつら婚約していやがった!


 こっちに恵子が戻ってきた、その日のうちに恵子の両親に言い切ったらしい。

 俺に触発でもされたのか? その辺りは分からないが、恵子の指にはしっかりと指輪がはめられている。値段に興味があって鑑定してみたら、お前どこから金をだした! という値段だった。

 本人いわく、今はネットで色々と金稼ぎができるから。という事らしいが、その手段を俺には教えてくれない。少しぐらい教えてくれてもいいんじゃないだろうか!


 まぁ、コタと恵子の事を言ったが、俺と美里亜だって同じような状況だ。

 それに、あいつらもそうだが、俺と美里亜も、高校を卒業したら正式に結婚する予定になっている。どうせなら、同じ日にそろって結婚式をあげようか? 等という話まで持ち上がっているほどだ。その為にも色々と頑張るしかないわけで、必死な毎日を送っている。


 ぶっちゃけ、俺が使えるスキルがあれば、金はどうにでもなりそうな気はする。

 鑑定一つだけでも鬼畜性能だ。ちょっとした掘り出し物を見つけて、左から右に流すだけで、面白いように溜まっていくだろう。


 だけど、これがどこまで通用するのか?

 いつまで使えるのか?


 そうした点が不安でならない。

 俺のような存在は今までいなかったのだし、どうなるかなんて誰にも予想できない。なんとかスキルに頼らず生活できるようにしたいものだ。


 それに、いずれは家族を増やしたい。

 俺達の間に生まれてくるであろう子供に、お父さんはスキルを使ってズルをしています。等とは言いたくない(すでにやっちゃたけど)。自分を棚にあげて子供に頑張れなどと言っても、説得力が無くなるだろうし、俺だって嫌だ。できれば、子供には親父としての背中をしっかりと見せたい。


 その子供を、庭にある母さんの木に見せてやれる日は、いつになるだろう?

 できれば、木と一緒に、子供もまっすぐに育ってほしい。


 俺が、異世界に落ちてから起きた一連の話はこれで終わろう。

 この先も色々な苦労があると思うけど、あの世界で得た経験を糧にし頑張っていこう。

 バァちゃんや母の木に見守れながら、これから先もずっと美里亜と一緒に歩いて行こうと思う。


 たまに殴られるが……

 

 こればっかりは直らないようだ。


   挿絵(By みてみん)

        日永 美里亜


2017/10/21 1話だけ追加しました。


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