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第158話 情報の価値

 交渉相手:ボイド=カーマイル

 取引目的:知りうる限りの帝国内部情報の取得

 交渉選択:金銭取引 100万、250万、500万

      命の保護 アグロで保護 エーラムで保護 アルツで保護


 以上より選択できます。


 同じか。

 これは、相手の地位とか自尊心に関係なく、情報の価値的な意味での代価という事になるのか? それと、持っている情報も一緒? あとで確認してみよう。


「……」


 すでに交渉術を発動しているため、静かなものだ。

 俺の意思はきまっているので、サクッと……いや、一つ実験してみよう。


「こちらは帝国情報を必要としているが、代価として何か希望があるか?」


 今までだと、互いに希望をだすパターンだった。


 ラーグスの時は、魔王討伐のかわりに金と自由を。

 イルマの時は、魔王との謁見の代価として護衛と情報を望んだ。

 ジェイドの時は、一時的な停戦協定のかわりに、武力行使の権利を一時的に奪った。


 つまり、片方が何かを望むのであれば、もう片方が代価の選択をしていたのだ。

 だが、さきほどのエータスの時は、俺のほうで両方決められた。

 それはそれでいいんだが、ひょっとすると表示されている情報以外のこともあるのか? という考えが浮かんだ。


「命の保護とイガリアにおけるそれなりの地位。あるいは、自分の身を守るのに十分な金がほしい」


「地位?」


「そうだ。帝国を裏切ることになるのだから、どちらかは欲しい」


「……そうか」


 と返事をするが、俺の目はすでに携帯に向けられていた。


 地位に関することは表示されていない。もしかして、命の保護で選んだ時点でかわるのか? だとしたら、場所によって得られる地位もかわる?

 試してみたい気持ちはあるが、これは俺個人でどうこうできる範疇を超えているな。

 やっぱりこっちだ。


「俺が地位を保証してやることはできない。だから、500万キニア支払うことにする。それで知りえる全ての情報を吐き出せるか?」


「分かった。その金額なら全ての情報を言おう」


 よし。簡単に青く変化した。

 この追加は助かる。金額取引の場合だと特にだ。

 どの金額で、どこまでのものが入手できるのか分かるというのは非常に楽だ。

 この追加機能は、もっと早くに知りたかったぜ。


「……オズルにいるドワーフ達に」


「なに!?」


 ちょっとまて! 今なんていった!


「どうした?」


 考えごとをしていたせいで、聞き逃すところだった。あぶねぇ!


「オズルにドワーフがいるのか?」


「いる。救出も済んでいる」


「救出? どういうことだ?」


「一部の連中が、託宣に従ったふりをし、ドワーフの一部を捕獲していた。それを救出したという事だ」


 自分の耳を疑ってしまい、エイブンをチラっとみた。驚いた顔をしながら、俺と目を合わせた。お互い同じことを思ったようだ。それは良かったけど、これってとんでもない情報じゃ?


「救出――それでどうする?」じゃ?


「飛行船を建築させる」


「オズルでか!?」


「そうだ」


 やはり、とんでもない情報だ。さすが500万というべきか?


「それは、リューガス公国に飛行船を与えるということか?」


「違う」


「では、どういうことだ?」


「飛行船をオズルで建築し稼働させる。行先がどこなのかはリュッケ=ワルダが指示することになっている。俺達は、その乗船員として選ばれただけに過ぎない」


 淡々と戸惑う様子もなく口を動かしている。

 ペナルティー怖さに必要な時以外使ってこなかったスキルだが、条件がそろえば、ここまで効果がでかいのか。改めてこのスキルの有用性が分かるな。イルマやゼグトさんが嫌がって当然だ。


「リュッケ=ワルダというのは何者だ?」


「オズル方面を任せられている部隊長だ」


「部隊長? 1人の部隊長が、オズル方面の指揮を任せられているのか?」


「そうだ」


 とんでもない男のようだな。あとで鑑定しておこう。名前さえ分かれば遠くからでも鑑定できるし。

 ついでに、ジェイドやエラクのような地位についている奴についても喋ってもらった。


 皇帝はドルナード=ファン=エンペス。

 将軍の方はブロード=マキウス

 携帯のメモ機能様助かります。ポチポチっとな。


 リュッケ=ワルダのような部隊長として異常なほどに活躍している奴はいないかと尋ねてみたが、そちらはいないようだ。少しは安心したよ。

 次はと……


「反乱はどうなっている?」


「そちらは、収まりつつあるが、それもどうなるか分からない」


 さっきの男と同じか。

 だけど今回は、こいつ個人の予想についても話しをしてもらおう。


「お前としては、どうなると思う?」


「すぐに収まるだろう――といいたいところだが、再加熱する様子もあった。どうなるかは分からない」


 火種は残ったままって感じか? 実際に目で見てみないと、結局わからなそうだ。

 反乱のことは、これぐらいでいいか。それよりも、


「なぜオズルで飛行船を? ドワーフがいるからか?」


「それもあるが、オズルでは魔法が使えるからだ」


「……ということは、あれは魔法によって動いているのか。魔道砲と同じようなもの? 詳しい説明をできるか?」


「その情報はない。俺は攻撃魔法のみだから、研究から外されている」


「乗船員なのにか?」


「動かすのは別のやつだ。俺達の中にはいない」


「そうなるのか……他の仲間達は、お前以上の情報をもっているか?」


「今回の作戦行動における情報内容は一緒のはずだ。帝国内部についていえば、違う可能性はあるが、大差はないだろう」


 なるほど。最初に思ったとおり、こいつらが持っている情報はほとんど変わらないということか。だから、エータスという男と変わらない選択内容だったという事になる。


 リーダー格と思っていたこいつが……おっと、これも確認しないと。


「お前が、今回派遣されたやつらのリーダーか?」


「それはどういう意味でだ?」


 逆に聞かれた。質問の仕方がわるかったのか?


「隣の部屋にいる連中たちの中ではお前が一番偉いのか? という意味だ」


「地位的にいえば全員同じだ」


 どちらともとれる言い方だな。

 自分がリーダー格であることを否定しようともしないしな。まあ、それはいいとしよう。深く追求する必要もないし。


「わかった。他に言える情報はあるか?」


「ある」


 まだあるのか! と軽く驚いた。

 それについても聞いてみると、


「派遣されているのは俺達だけではない。作戦が始まってから、数十人送られている。まだ続くはずだ」


「同じルートを使ってか? いつまで続く?」


「道筋は同じだ。いつまで続くかについては、俺は聞かされていない」


「……そういった指示については、誰が?」


「ブロード将軍を通して、皇帝陛下からでている」


「わかった。他には?」


「帝国内部情報となると、現在魔法が使えないということ。原因ついては不明。推測ではアルフヘイム攻略戦が関係しているという見方が強いという話。それと、アルツから逃亡してきたラーグスという男が牢屋で頭を打ち付けて死んだらしいが……」


「……」


 やっぱりあいつ死んだのか。と、そこまでは良かったのだが、


「最近、そいつが幽霊となって出没しているという噂がある」


「はぁ? なにあいつ、死んでからも世間を騒がせているのか?」


 はた迷惑なやつだ。嫌がらせをするのにも程があるだろう。

 まあ、話半分に聞いておこう。幽霊話とか、噂好きな連中が広めているだけだろうし。


「後は?」


「これで全部だ」


 打ち止めか。

 500万分の価値があったかどうかは、この後の俺達次第だな。


 保管術でしまってあった小袋を5個とりだす。1袋100万だからこれで500万。目の前にそれを置いた後、取引終了の言葉を口にする。


「……貴様はこんなこともできたのか?」


 エータスとかいう男と違って、呻く声を出さなかった。顔色が悪いのは一緒だが。


「その口ぶりだと、俺のことを?」


 そういえば、宿でも俺の名前を出していたな。

 まあ、名前も広がってしまったし、知られていても不思議じゃないけど、帝国から派遣されてきただけの兵が知っているものだろうか?


「ラーグスが名前を口にしていたらしい。他にも、この街に来る前に、何度か耳にした」


「……また、あいつか」


 どこまでいっても、付きまとう名前だ。


「終わったのか?」


 黙ってみていたエイブンが聞いてきたので、コクリと頷いた。


「暴れないから縄をほどいてくれ。金をもってこのまま消えたい」


 意気消沈した顔と声。

 そんなボイドを見るに、本音のように思えた。


「わかった。だが、それを安易に信用するわけにいかない。もう一度取引だ」


 再度の交渉術をかけ、ボイドを帝国から離反させた。

 部屋からでていくボイドを睨みつけるようにエイブンが見ているのを気付き、


「逃がして悪い」


「いい。それより、次をつれてくるぞ」


「ああ、まってくれ。もういいよ。知っている事に大差がないのが分かったし」


 それに得たばかりの情報整理と報告をしたかった。

 これは、すぐに、みんなに知らせないといけないだろう。

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