第114話 魔王への報告
誤字報告や評価など喜んで受け取ります。感想欄やツイッターなどで!
https://twitter.com/sudounnikuman
ツイッタです
朝おきて早朝に俺達エーラム組は転移した。
俺とフェルマンさん以外は初めてなわけで、レンガ建築でできた魔都をみて、それぞれの反応を示した
たとえば、ミリアとルインさんは、
「こっちのほうが文明は進んでいそうだけど、自然がその分少なそうね」
「そうだね。これは元々なのだろうか? 大地が弱っているきがするよ」
エルフの2人からみればそうらしい。
で、次はドワーフの2人。
「ふむ。いい鉱石がほれそうじゃ」
「この地層……あたりかもしれない」
あたりなのか。なにが当たりなのかわからないけど、よかったね。でも、せめて建物みてあげてよ。
最後にケイコ。
「ヒサ君! オークだよオーク! それにゴブリンも! あ、あれはオーガなの! すごい、凄いよ! ファンタジーだよ! 写真とらないと!」
………お前はどこの田舎ものだ。
だいたいゴブリンはアグロにもいただろ。人数はすくないけど。
携帯もってパシャパシャってまったく――俺もヤッタケドネ。
「いくか。今回は呼ばれたのだし、すぐ会えるだろう」
「ですね」
トバリの通信筒でも、すぐに向かうことを伝えてあるし大丈夫だろ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
城門前についても一切止められることなく城へとはいる。
もう見慣れたけど、はいってすぐの豪華さだけは全く意味がわからない。客に対する見栄なのかもしれないけど、謁見の間との差がありすぎな気がするんだよな。
2階までのぼってくると、いつも扉を守っている魔族さんたちがいた。これで3回目となり、軽く頭を下げると、むこうも頭をさげた。
「取り次いでもらいたい」
「かしこまりました。魔王様から、最優先で通すよう言われております。ですが来客中のようなので、少しお待ちを」
「わかった。待機室でまつ」
いつものごとく誰か来ているのか。忙しそうだな。
俺たちはすぐ近くにある待機室へと向かった。
しばらく待つと、警備兵の魔族さんがやってきて案内してくれる。
いつもならここで誰かとすれ違うんだけど、今日は誰もいないな。もう出て行ったのか?
「イガリア方面ダークエルフ族長フェルマン様。そして外交大使ヒナガ=ヒサオ様。その他5名入ります」
あら~ 最初に来た時と違って俺も名前呼びか。出世したな―……したくなかったけど。
扉がギーって開いて中へと入っていく。
もちろん魔王が奥の玉座にすわっているが、今日は青年モード。衣装は変わらずだけど、見た目は25歳前後に見える。
……なんか部屋の片隅に変な敷居ができているが、ありゃなんだ? ちょっとハリボテみたいな感じだが、緊急処置みたいな感じでつくってあるな。
「ようやくきたか。さて、まずはそれぞれの紹介から頼むよ。フェルマンとヒサオ以外は初見なんでね」
おっと余所見している間に紹介を求められてしまった。
「では、各々自己紹介を頼む」
「じゃあ、私から」
さっそくとミリアがでたか。まあ順当かな?
「ミリア=エイド=ドーナ。異世界からきたエルフです」
「うん? ごめん、君はどちらかな? 勇者召喚? それともヒサオと同じほう?」
「はい。ヒサオと同じです」
「うん分かった。じゃあ、次はそこのドワーフ頼むよ」
あっさりだな。後がつかえているからか?
「ワシか。名はジグルド。ミリアやヒサオ同様異世界から来てしまった鍛冶職人だ」
鍛冶職人……まぁ、間違ってはいないが、オッサンを基準に考えると鍛冶職のイメージが崩れそうだ。
戦士や鍛冶職人の両方が泣くぞ。
「ふんふん。ありがとう。たしかコリンの面倒をみてくれているんだったよね? 助かったよ」
「いや、面倒というほどでもない」
「そう? うん。そうかもしれないね。でも助かっているのは事実だし、報酬も考えておくよ。謝礼はうけとってほしい」
「……謝礼というなら、帰還手段の研究促進で頼みたい」
「そうきたか。それはヒサオにも言ったけど合同研究という形で参加は決定している。だから別のものがよかったんだが、それでもいいのかい?」
「構わない。いまのところ特に困ったこともない」
「そうか。なら何か思いついたらいってほしい。君の頼みなら大体のことはかなえよう」
「助かる」
オッサンが、軽く頭を下げ下がった。オッサンのしたことって俺が思っている以上に凄いんだな。すごい評価じゃないか。
「では、次に私かな? 名はルイン=リムダード。今回勇者召喚されてしまったエルフだ。ミリアの兄でもある」
「え? 兄? でも名字違うよね?」
「それについて聞かれるといささか説明が面倒なのだが……ミリアは世界樹の巫女に…「なにぃ!!!」…これはまた、ずいぶんな驚きようだ」
いきなり魔王が驚きたちあがると、ツカツカと歩いてきて、ミリアとルインを交互に何度かみた。
「君たちの世界には世界樹が?」
「はい。それが?」
「……そして君は巫女?」
「えーと……兄さん?」
「あー、魔王殿。妹のミリアは、巫女としての責務をほとんど果たしていない。だから、巫女といわれると少し困る」
「どういうことだい? 巫女としての責務を放棄したのか?」
「……放棄って」
あ、ミリアがちょっとイラッときてる。悪化する前に口だすか。
「魔王様、まず自己紹介を進めませんか? こみいった話はあとで順番にしたほうがいい気がします」
「……うん。そうだね。色々話があるし」
おとなしくひっこんでくれたか。ミリアの苛立ちはまだおさまっていないようだけど、いまは時間をおく方向でいこう。
この後のことも色々ありそうだし。
「次は私。名はカテナ。ジグルドの弟ジンドの嫁――候補。勇者召喚された」
途中ちょっとつまってたけど、気にしないでおこう。
これで自己紹介は……いや終わってない!
ケイコが最後に一歩でてきて、
「スギヤマ=ケイコといいます! えーと、ヒサ君と同じ世界から来ました! 趣味はラノベを読むことと、エルフ鑑賞「オイ!」…だめ?」
「だめ」
「ヒサオ、なにが駄目なの?」
「しらなくていい」
いかん。ケイコのペースになっちまう。ミリアの興味までひいてしまったではないか。
「じゃあ、何話せばいいの?」
「勇者召喚されたことだけで」
「だそうです」
「「……」」
俺と魔王の視線が合ってしまった。
たぶん同情されたんだと思う。
「――これで以上となります」
フェルマンさんが引きつった顔をしているのを俺は見た。ほんとすいません。
「変わった子が召喚されたようだけど、まぁとりあえずお疲れさま。次に戦争のほうがどうなったのか報告を頼むよ」
「はい。それについては俺のほうから」
今度はフェルマンさんが話だす。
途中、ジェイドが降伏した点で、少し驚いた声をだしたのと、ラーグスが逃亡したことで俺がちょっと睨まれた。
……睨まれた?
違うな。
これは、詳しく聞きたそうな目だ。
「以上です。城をでたところで、魔王様からの連絡がはいり、途中カリス老に報告をすませてから登城しました」
「そうか……人間達が降伏してくるなんてね~ てっきり全滅するか、逃げ出すかのどちらかと思っていたよ。まあ、降伏してくれるのなら一番楽でいいかもね。帰還研究についても素直に教えてくれそうだし」
「ついては休戦交渉のほうを魔王様にお願いしたいのですが」
「そう……だね。そうなるだろうね」
「魔王様?」
少し様子が変だな? 俺達から茶の混じった目をそらして言葉も曖昧になっている。
「……フェルマン。一つ確認しておくことがある」
「私に…‥ですか?」
唐突に名前をよばれフェルマンさんが戸惑っている。急にどうしたんだろ?
「これから話すことは、君にとって非常にショックな出来事になる。だから、もし君が、僕に対して信頼を置いたままでいたいのであれば、部屋をでたほうがいい」
重苦しい空気が周囲を満たし始めた。
フェルマンさんだけでなく、俺達全員が突然かわった状況に困惑を覚えずにいられない。
静かに口火をきったのはフェルマンさんだった。
「魔王様。俺達ダークエルフは魔族の一員であることに誇りをもっています。それではだめでしょうか?」
「……それが返事と受け取っていいんだね?」
「はい」
フェルマンさんが躊躇いなく返事をする。聞く魔王は大きく息をすい、
「わかった。全部を順番に話すよりも、まずは、呼び出した理由を言おう」
よく通る声で言いながら、目を俺たちに向けてくる。
「召喚された勇者の3人よ。君たちは、このままだといずれ、魔族になってしまうよ」




