第102話 獣人たちの秘密の集会
今回はほとんどセリフばかりです。
悪ノリして書いているようなものなので、不快になる方もいると思いますが、ご容赦のほどお願いします。
ソレは獣人たちによる、獣人たちの為の秘密の集会である。
定期的に行われるソレを知る者は上役達の中にはいない。
仮にいたとしたら、引きずり込まれるだろう。
それだけの力が彼らにはあるのだから。
「お、おい。今度はテラー様まで、配下においたぞ」
そう切り出したのは男のようだ。部屋の中が暗く、誰がだれなのか不明のまま、話は進んでいく。
「ちょっとまて! テラー様まで落としたのか! ヒサオ様やべぇ!」
「イルマ様とテラー様……すごすぎる!」
「まだ、エイブンさんがいるポン!」
「テラー様とエイブンさんはセットだろ。わかれよ」
「気になることが一つあるニャン……配下にしたってだけニャン?」
一瞬、会話がとまり、互いの見えない顔をみようとする。
「え? それ以外なにがあると?」
「誰か、落としたっていってたニャン……」
息をのむ音が室内で確かに聞こえた。
「!?」
「ないだろ!」
「それ、エイブンさんが黙ってないポン!」
「獣人と人間だぞ! ありえねぇよ!」
「……ヒサオ様は異世界人だニャン」
「そういや……いや、それだけで納得できるわけがない!」
徐々に声が大きくなり、一人の女性らしき人物が指をたて、シーとする。
「わりぃ。でもよ……」
「あの~ すいません。今回、私は初なんですけど、どうして人間を様づけなんです?」
「そこからポン?」
「誰よ連れてきたの。ちゃんと説明しておいてよ」
「俺じゃないぞ? 誰だ?」
「ごめん。私。ここで説明したほうがいいかと思って、わざと教えてなかった」
「しょうがないニャン。説明してあげるニャン」
「お願いします!」
「だから、シーニャン。声が大きいニャン」
「……失礼しました」
話はアグロで行われた会談まで戻る。
覚悟をきめ竜王カリスを人質にとろうとした3人。
その3人の命が助かったのは、ヒサオの一言がきっかけとなった。
『あがくんじゃなかったのかよ』
敵であるはずのヒサオから投げかけられたその言葉が引き金となり、その場の空気がかわる。
さらに投げかける感情がこもった声に、イルマ達の戦意が消沈。
護衛である竜人やカリスの戦意も消沈し、それがイルマ達の生存へとつながった。
「え? それって、ヒサオさんだったんですか!」
「話だけは知ってたニャン? そうだニャン。それにそのあとの会談でも、ヒサオ様の交渉術というスキルが使われたおかげで、魔王様との謁見もかなったニャンよ」
「交渉術? って、あ、それこの間みました。ほら、イルマ様とエイブンさんが喧嘩した時に」
「それニャン! あれもみたなら話は早いニャン! あの2人の喧嘩を止めれたのはいままでテラー様一人だけだったのニャン。それをヒサオ様もやったニャン!」
「興奮するのは分かるが、声さげてくれ。外にもれる……」
「ごめんニャン……」
「でも、それってスキルが凄いだけでは?」
「わかってないポン。ここからは、僕が教えるポン」
「お願いするニャン。興奮しすぎたニャン」
「他にもあるんですか?」
「もちろんだポン。そもそも魔王様と謁見し、同盟が成立したのは、ヒサオ様のおかげなんだポン」
「? でもそれも交渉術とかいうスキルのおかげでは?」
「……どこでそうなったポン? 全く違うポンよ?」
ポンポンいう男同様、他の連中も首をふって「わかってないこいつは」という意思を示すかのように、嘆息までついた。
「イルマ様が何を言ったのかまでは分かってないポン。だけど、また馬鹿なことをいったらしいポン。魔王様は呆れたらしいけど、それを庇ったのがヒサオ様だポン」
「庇う? なぜ?」
「そこはよくわからないポンよ。でもヒサオ様なら、なんとなくしそうじゃないポン? 理屈じゃないポンよ」
「……わかります」
「謁見の間でどういうやり取りがあったのかは知らないポンだけど、同盟の話に関してスキルが使われたなんて話はないポンよ」
「そうなんですか……でも交渉術なんていう名前のわりに、そんな状況で使わないっておかしいですよね?」
これには皆が頷いて、少しだけ笑い声がでた。
「?」
「わからないポン? それがヒサオ様なんだポン」
「そうなんだよな。それがヒサオ様なんだよ」
「だからイルマ様も、一緒にいること多いよね」
「だよな。おれイルマ様がダークエルフや人間と笑っている姿を見ることになるなんて思わなかったぜ」
「最近だと、奥さんにもヒサオ様のことを色々しゃべってるそうよ」
「家にまで持ち込んだか! って……その話をしってるってことは、奥さんと顔見知りか?」
「そこまでニャン! この場での探り合いは禁止のはずニャン!」
「す、すまん。好奇心が抑えられなかった。許してくれ」
「わかればいいニャン。それよりヒサオ様の凄さがわかったニャン?」
「ええ、まあ。なんというか皆さんが信用しているってことだけは…」
「わかってないニャン。もうその段階ではないニャン。これは崇拝にちかいニャン」
「! ま、まさか、人間をですか!」
驚く新参ものに、ニャンニャンいう獣人が、指を左右にふってみせた。
「人間だからこそだニャン。一人の人間が、獣人、魔王、ダークエルフといった面々と顔を突き合わせて、同盟の話をとりまとめたニャンよ? これだけでも凄すぎるニャン」
「確かに…」
「ブランギッシュにきてからも、ダークエルフと私たちの間にある溝を埋める努力をしてくれたニャン。イルマ様とフェルマンさんが色々していたけど、その大本の考え方は、ヒサオ様が最初に口にしたニャン」
「……」
「それにアグニスさんの店での喧嘩が収まったのも、ヒサオ様の料理レシピがあったからなんだニャン」
「あ! 僕も行きました! すごい美味しかったです」
「うんうん。あの店で、喧嘩するのは馬鹿のすることニャン。喧嘩はご法度ニャン。美味しいは正義だニャン」
「違いねぇ! あそこの店長もすげぇよな」
「ほんとだポン。奥さんの手料理もどんどんおいしさを増してるポン」
「おれ、戦争がおわったら、あそこの店にまた通うんだ……」
「おまえ、それ……いや、せめて結婚にしておけよ…」
「相手がいねぇ……」
「「「「……」」」」
おそらく男4人だろう。なぜか沈黙し理解しあったようだ。
「は、話を戻すニャン」
「え、ええお願いします」
ただでさ暗くてよく見えない部屋なのだ。これ以上暗くしてたまるかと、ニャンニャン娘が話をつづけた。
「アグニスさんの話がでたからいうけど、あの人も前は、ヒサオ様のことを兄貴っていってたらしいニャンよ」
「!!」
「なに!」
「それは知らなかったポン!」
「マジかよ……ポンズさんに認めれたってのはきいてたけど…」
「まって! 前っていったよね? 今はどうして違うの?」
「店を構える際に、ヒサオ様との間に何かあったらしいニャンよ?」
「……喧嘩?」
「いや、でもあの2人、わりと親しく話してないか?」
「ああ、俺もみた。あれだけ忙しいのに、ヒサオ様がくると、手を少し休めて挨拶してるよな」
「そうそう。でもすぐ仕事にもどるけどな」
「ありゃ、口にしてないだけで、まだ兄貴分みたいにおもってるんじゃね?」
「そういえば、これ噂なんだけど、アグニスさんが元務めてた宿の店主にも、認められているらしいわよ」
「……ごめん。それがどうしたの?」
「知らないポンか? その店ってのはエーラムにある宿のことだポン。そして店主のモーリスさんはオーガだポン。獣人と人間嫌いで有名で、昔の戦争のときは棍棒ひとつで自分の全身をちまみれにしていたポンよ」
「……なのに認められて……あれ?」
「どうしたポンか?」
「なぁ……あの人って、種族間交流の範囲がひろすぎないか?」
「……確かにだポン」
「いつも一緒にいるエルフやドワーフも異世界人らしいけど、こっちのドワーフやエルフとも知り合いがいるらしいぞ」
「それ、ほとんどの種族に知り合いがいるってことじゃ……」
「マジぱねぇ……そりゃテラー様がおちるわけだ」
「まって! そこは確定じゃないポンだから! エイブンさんが黙ってないポンよ!」
「ニャンは落ちてもいいニャン……ヒサオ様凄すぎるニャン……ハァ~」
「こいつ落ちてるぞ!」
「ま、まあ、わからんではない。男の俺だってついていこうって思うし」
「お前……俺もそういう気持ちはないではないが…」
「は、はぁ……凄い人なんですね…」
「ああ、とんでもないし、尊敬できる人だよ」
「……人…なんだよな」
「ああ……まあ、人間だよな」
「それがどうしたニャン? 人間でも、ヒサオ様はいいニャン! むしろバッチコイニャン!」
「お前は少し頭を冷やせ」
「まったく」
「……ごめんニャン」
「俺達がいいたいのは、あの人それだけ交流が広いのに」
「どうしてこの世界の人間達の中に」
「親しい相手がいないのかね? ということだ」
3人の意思が一致し言葉がつながった。
「あんた達、すごいニャン……」
「それは、たぶん……」
ポンポンいう男が、今度はガーク村での一件について話をしていく。
結局話は遅くまで続いて、新人の男が、翌日にはヒサオ様と心の中でよんでいたという。
なおこの集会は、半月一度、いくつかの場所で行われているらしく、そのたびに信者が増えているらしい。
知らぬは本人達ばかり。
知ったとしても飲み込まれる恐ろしい集会である。
謎の獣人達:み・ま・し・た・ね。




