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◆ 国民が知ることになる悪事



 ヨーク公爵とマリアンの不貞の事実が大々的な出来事として、王都中を駆け巡っていた。


 早朝から真実を確かめようと、王城に数多の民衆達が集まって来ていた。


 そこへ…… ぞろぞろと、幾人かの王家に仕える文官達が現れると、外城の壁を掲示板として利用し、罪状を記した張り紙で、埋め尽くしていった。


 字の読めない国民も多い。

 王城の文官も心得ている様で、貼り終えるそばから、大きな声で読み上げていった。


「今! 罪人のヨーク公爵と、それに加担した者達がパルムドール王国初の

《 貴族裁判 》にかけられている! 」


 言うそばから、罪状を朗々と読み始めた。


 ヨーク公爵に加担した貴族や賊等…… それは自国のみならず、他国にまで至り、パルムドール王国の民達は、呆れから怒りへと気持ちを昂らせていった。



 そして、先代国王陛下ご逝去の直ぐ後から、ヨーク公爵が行ったとされる、数々の罪状も知れ渡ったのである。


 徴兵上がりで、殺人を好む集団を集めると、賊として王都から遥か離れたパルムドール王家支持の貴族領を襲撃して、皆殺しにさせた事も証明された。


「それは、俺たちの領主さまの話だ! 」

 違う民衆達からも

「うちの領主さまの所も、襲撃があったんだ! 俺たちを大切にしてくれた、領主さまだった! 」

「なんてことだよ! ヨーク! あいつが許せねぇ! 」

 あちらこちらから、憤怒の声がひっきりなしに上がる。


 その小さな領地の民達は、主人を無くし、ヨーク公爵が手を掛けた貴族の馬鹿高い税を収める事を余儀なくされ、四苦八苦していた。


 また、近隣国の商家や貴族達と結託して、ヨーク公爵の買い占めで砂糖や麦の値段が上がり、カエレム国王の救済無しでは生きていく事も困難だったと知らされた。



 側妃マリアンの数々の不貞は、国民を呆れさせた。

 そして国民の税金から、ドレスや宝石を買い漁った贅沢が(一部は王家の誇張ではあったが)長い文面で並べられると、国民達はワナワナと震え、拳を握りしめた。


 なによりも…… 一番の大罪は、国王を騙してアンドリューを産んだ衝撃は、国中を震撼させたのだ。


-- アンドリューの本当の父親は、伯爵家三男のヨゼフという奴だと!?



 そのアンドリューも、リリアンという下女を囲い、名だたる令嬢達に婚約破棄の憂き目を味合わせた事を、鋭く非難されてゆく。


-- 王家の血も継がぬ、アンドリュー如きが……


 恵まれて育った、アンドリューの傲慢さと我儘に、国民達は到底許すことなど出来なかった。


「不貞の子のくせに! 」



 誰かが叫んだ声が、大空へ高らかに響いた!

「ヨークに死を! 」


 その声はあっという間に、民衆の間を駆け巡る。

 容赦のない怒号となり、絶叫となり、大地を揺らした。


 うおおおおおおおおお!!!


「ヨークに死を! 」

「ヨークに死を! 」


「マリアンに死を! 」

「アンドリューに死を! 」



 暫く収まらなかった怒号が、(ようや)く落ち着くと、文官は締め括りのように最後の言葉を発した。


「我がパルムドール王国の民たちよ聞け!

我が国王が今! 発表された!

 ダミアン・ヨークと元側妃マリアンは、明日処刑される事が決まった! 」


 うおおおおおおおおおおおお!!


 そこで民衆達は、大地を揺らす歓喜の声を挙げたのだった。






民衆の声はある意味一番素直な声なのでしょうね。

今日は一時間後にもう一話更新します。


これからもよろしくお願いします。

楽しく読んでいただけるように頑張ります。


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そしてこれからの励みになりますので

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