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◆ 誤魔化せないモアナ


 王太子妃選定の試験の後に、その旨をお断りして、漸くカリフとの正式な婚約式を迎えたモアナだった。


(ああ、やっとカリフ様と正式な婚約を結びましたわ )


 モアナとカリフは、婚約者としてもモデルとデザイナーとしても一緒にいる事が当たり前になっていた。

 モアナは時折カリフの店に行き、仕事の打ち合わせをする。


 仕事終わりはモアナの屋敷までエスコートする流れなのだが……


 その日は母が、二人を迎え入れると興奮しながら説明を始めた。


 それは突然に舞い込んだ吉報だった。


「カリフ、モアナ。 よく聞いて、隣国のデルドラド王国から、カリフのデザイナーとしての才能とモアナのモデルとしての美しさを是非、披露して、新たにブティックを開いて欲しいと要望が入ったのよ! 」


 カリフが驚いて声が出せなくても、興奮した母は続けて説明をする。


「ただね、急ぎで来て欲しいそうなの。 一応、手紙が来てから侍女たちに支度はさせたけど…… モアナはどうする?」


(デルドラドで今更? 私の美しさって)

「私より、カリフ様はいかがされますか?」


 カリフは願ってもない話に、喜びを隠せないでいた。


「私は与えられた幸運を、掴みたいです。 モアナ…… 私と、デルドラド王国に行ってくれますか? 」


 モアナはニッコリ笑うと母に尋ねた。

「それでは、デルドラド王国へは、いつ旅立てば良いのでしょうか?」


 母は気まずそうに

「それが…… 明日なのよ 」


「えっ!?」


 それからは本当に慌しく旅の支度をした。

 モアナは内心、明日のイヴァンヌの旅立ちを見送るつもりだったのに、これでは無理だと隣国デルドラドに着いたら謝罪の手紙を送ろうと考えた。


 デルドラド王国の紋章が入った馬車には、ポートリア公爵家の侍女二人が待機していて、挨拶をさせて欲しいと申し出た。


 カリフは侍女がつくのは当たり前と思っていたのか、特段驚く様子も無かったが、モアナは不穏な気持ちになった。

 何故か気になり出したら、モアナの肌をザラザラと撫でられている様な不快感があるのだ。

 

(シンシア様の侍女達になら、不躾には当たらないわね…… )

 モアナは二人の侍女達に、素直な気持ちをぶつけてみる。


「貴女たちは、ポートリア家の侍女達ではありませんか? シンシア様に付き添うところを、何度か見かけた事がありますが? 」


 二人はニコッと笑い頷き

「私はメア、隣はデルと申します。 隣国までの護衛兼侍女として、お側にいる事をお許しください 」


「護衛…… ですか? ポートリアの…… 」


 メアは申し訳なさそうに経緯を説明する。


「はい。 残念ながら昨今、隣国までの道中で危ぶまれる事柄が頻繁に起こっているのです。 宿でもモアナ様とカリフ様の安全を確保するようにと、リッチ侯爵様から私共に依頼がございました 」


 カリフは護衛と聞いてビックリしたが、モアナは納得が出来ないようで考え付いたことを話す。

「お父様やお母様がポートリア家にお願いするとは考えられません。 本当はシンシア様でしょうか? 」


 デルは感心して

「流石はモアナ様です。 隠しても仕方ありません。 そうです、シンシア様がモアナ様の安全を考えて、私達に付いて行く事をお考えになりました。 シンシア様は、あまり押し付けがましくならない様に、ご配慮されたのです 」


「何故?シンシア様がそんな事を…… 」


「先程言った、道中に危ぶまれる事柄があると言うのは本当の事だからです。 それを聞いたシンシア様のお計らいで、リッチ侯爵家にご提案されました 」


 そこでやっとモアナは安心して

「そう、分かったわ。 他家の者だからと、遠慮せず振る舞ってください。 メア、デルよろしく頼みますね 」と声をかけた。


 モアナが了承した事に安堵して、二人はそっと頭を下げた。


(シンシア様から、モアナ様の対応を何度もシミュレーションしていただいて、良かったわ )


 賢いモアナには、下手に嘘をつくのは難しいとシンシアに言われた事を、今更ながら理解したメアとデルだった。



 3台の馬車は予定通り二度の日を跨ぎ、

デルドラド王国に到着する予定だ。


 真ん中の一番豪奢な馬車には、カリフとモアナの二人だけ。


「モアナ、私の我儘に付き合わせてしまったね。 長い道中だけど大丈夫かい?」


 モアナは勿論、自分の席には座っていない。

 カリフの膝の上で寛ぎながら、胴体に腕を絡ませて、頬をすりすりしてトロンとしていた。

(ああ、カリフ様と2日もかけて旅行なんて…… )


 カリフは返事のないモアナを心配して慌てて様子を見る。

「モアナ? 」


 現実世界に戻ったモアナは、ひとまずカリフにキスをしてにっこりと笑う。


「ああ、ごめんなさいカリフ様。 道中は慣れた道なので大丈夫ですわ 」


「えっ? 慣れた道? 」


 モアナは話は終わりだと、カリフの長い腕を掴んで自分の身体に巻き付かせる。


「ふふ、カリフ様の腕の中が、一番疲れなくて安心するのですわ 」


「モアナ…… 」

 カリフは目を細めて、今ではモアナの一番喜ぶ笑顔を見せる。 その笑顔にモアナはやられたんだと、教えてもらったから。


(はう…… 最高ですわ! カリフ様 )


 その笑顔でゆっくりと、モアナの顔に近づいて来る。

 モアナもそっと瞳を閉じて、軽く唇を開き笑顔のカリフを焦れるように待つのだった。


(カリフ様、早く…… )







明日もモアナ回です。

明日は「はう・・・」多めでご容赦くださいね。

明日もよろしくお願いします。

楽しく読んでいただけるように頑張ります。

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