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◆ シンシアの幼少期 : ポートリア公爵領へ


 シンシアは、ポートリア公爵家に行くことが決まった。


 今しがた執り行われた、使用人達の処罰を淡々とした面持ちで眺めていた…シンシア。


 流石のポートリア公爵の爺さんも

「 シンシア……… 子供には、酷なものだ。 見たくなければ、見なくて良いのだぞ 」


( 私は…もしかしたら…残酷な子なのかな? でも…この人達の処罰は、私に関わる事だから…目を逸らしたら、ダメだと思う…だから…最後まで… )


 おじいさんの言葉に、小さく首を振った。


「シンシア、お前…随分と、その小さな身体に責任感があるのだな……」

 そう言って、シンシアの頭をガシガシと撫でてくれた。


 シンシアは、おじい様が存外優しいと判断して、小さく微笑み…今まで自分に向けられていた、辛辣な言葉を口にした。


「……父さまやお母さまが……」


 ポートリア公爵は、シンシアを膝に乗せて安心して話せる様に、聞く体勢をとってくれた。


「私と……顔を会わせる度に言っていました……お前は、王家暗部の汚い仕事をする、公爵ジジイにそっくりだって………」


 ポートリア公爵は、痛ましそうな顔をシンシアに向けた。

「そうか……シンシア。お前は、我が家に来るのは嫌か?」


 ここでシンシアはパチパチと瞬きして、大きく首を振って笑った。


「おじい様は私を、救ってくださいました!

 今度は私が、おじい様に恩返しをするのです!ありがとうございました。私の恐怖全てが今、消えたのですから」


 おじい様は痛ましそうに、そっと赤く腫れたシンシアの頬を…優しく撫でた。

 目には長い年月かけて歩んだ、憂いを帯びて…大切な孫娘に諭す様に話す。


「シンシア、残念ながら、こんなモノは一部に過ぎんのだ。これからも沢山、嫌な事はあるのだよ」


「嫌なこと?」


「そうだよ。だがな、こんな小さなうちから…人の顔色を見る事を覚えては駄目だよ。

 これからいくらでも、計算高くなれば良いのだ。シンシアはまだ、子供だろう?

 私やポートリア公爵家がお前を守るから。

 だから安心しなさい。分かったね?」


 シンシアの目には、知らぬ間に溢れた涙が邪魔をして、尊敬に値するおじい様の顔がよく見えなくなっていた。

 ポロポロと涙を流しながら、(すが)るようにおじい様の差し出す手を握った。


「おじい様は……私の味方なのですね?」


 おじい様はハンカチで、シンシアの涙を優しく拭いながら

「ああ、そうだよ。お前は聡くて勇敢なわしの大切な孫娘だ。 我が公爵家が暗部だと聞いたのだな? 女には、酷な仕事だ。シンシアが嫌なら、やらなくて良い」


 シンシアは、話しながら苦しそうな顔をしたおじい様にフルフルと首を振った。


「……おじい様のお仕事は、尊いのでしょ?

 誰かがやらなくてはいけないお仕事なら、私も…おじい様のお手伝いがしたいです!」


 おじい様は一瞬くしゃりと顔を歪ませたが、すぐさま大声を出して笑った。


「ハハハハハ……一体、お前の体のどこに息子や義理嫁の血が流れているのだ…?

 シンシア、お前は本当に…立派な…わしの孫だよ」


 シンシアは、嬉し泣きの顔をおじい様に向けて…精一杯の返事をした。


「はい、おじい様!」




最後まで読んでいただきありがとうございました。

とても嬉しいです。

明日ももう少しシンシア編を楽しんでくださいね。


これからもよろしくお願いします。

楽しく読んでいただけるように頑張ります。


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そしてこれからの励みになりますので

面白ければ★★★★★をつまらなければ★☆☆☆☆を押して

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