表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

第十二話 規制音ピー連打

  浩くんはようウーバーイーツで注文する。チェーンじゃなくて、個人経営のお店ばっかり。


 この前はスリランカ人の人がやってる店のカレーやった。ナンがびっくりするくらいでっかくて、カレーもスパイス効いてて最高。二人で汗かきながら食べた。


 そんで、食後に浩くんがフッと笑って言うた。


「ボク、ウーバーイーツのお兄さんがタイプやったから、部屋に連れ込んでさ。二重の意味でご馳走様したことある。食べられたのはボクやけど」


 ……一瞬で鳥肌たった。


「ムリムリムリ! 弟のそういう生々しい性のご事情は聞けません! やめてください!」


 うちは頭抱えてジタバタした。


「やっぱ引くよな。尻軽すぎでしょ、ボクって」


 ふふ、と笑って浩くんか言う、


「ちゃうねん、それは弟やから! 肉親やからムリに決まってるやん! 同意なんやったら別に出会ってすぐやってもええねん、それはええけど、弟やからあっ」


「なんなん、肉親やからって。それはよくからんな。まだ性的にだらしないサイテーとか言われるかと思った。うん、誘ったら向こうノリノリやったわ、さすがボクってモテるなぁって思った」


「出会ってすぐノリノリ、せやったらまぁええんちゃう。でも、やっぱ弟の性事情はなんかっ、こう、ダメ!」


 うちは二の腕をさする。


「へぇー、そんなもんなのか? ボクってけっこう、ビッチで――」


「ピーーーッ!!!」


 うちは叫びながら手をバッテンにした。


「なにそれ?」


「不適切発言の規制音!」


「ふーん、び――」


「ピーーーッ!!!」


「おねえちゃん、弟は誰にでも抱か――」


「ピーーーッ!!!」


「聞いてよ。おねえちゃん、あの前来た元彼とは――」


「ダメーーー! 元彼との出会いは気になるけど! もうお腹いっぱい! 女友達との下ネタはゲラゲラ笑えるのに、弟のは生々しいむりーー!」


 浩くんは楽しそうにさらに絡んでくる。

 ほんま、やめてほしい。……けど、ちょっと笑ってしまうのが悔しい。


 浩くんはほんとにビッチ。

 だが、うちはそれを汚らわしいとかは思わないが、なんか弟となので性事情は生々しくてダメー!

 なんで同じ下ネタでも“弟フィルター”通したらこんなに胃に悪いんやろ。


「浩くんかて、うちのそういうの、聞きたくないやろ」


「は? キモすぎて想像すらでけへん。絶対に言うなや」


「じゃあ、そっちかて言わんといて」


「えっ、それは」


  にやー、と浩くんが笑う。


「……おもろいねんなぁ、あんたの反応。うっかり言っちゃったらごめんねぇ、おねーちゃん」


「イジワルや!」


 うちは叫ぶ。

 うう、弟の口から性のご事情を聞くのがしんどいとは。


 でもそのウーバーイーツのお兄さん、どんな人やったんかな…………って、気になるけど質問したらえげつない答えで苦しめられそう。


 せやから、目も口もむぎゅっとする。


「コロナではリモートビッチやっててさぁ」


 浩くんが言う。うちは耳を指に耳を突っ込んだが、それでも聞こえるほどの笑い声が聞こえた。

 イジワルめ。


「ピー音の使いすぎで喉枯れる!」とうちは怒る。

 弟が「この家、ピー禁止法とか作られるんちゃう?」とニヤリと笑う。


 悪魔や!



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ