小ネタ3つ&『我が家を作ろう』
こんなアホなこと考えながら本編書いてました。おふざけにつきご注意ください。
『25、にて、すでにかなり書きこんでしまったので、入れるのをやめたネタ』
(ブログにこそっと乗せたものの再録です)
「粕谷さん、グリンピース入れないんですか?」
「やー……グリンピースは一袋とか買うと余りすぎちゃうんで」
「少量の使い切りの形でも売られてますよ?」
「……」
「普通入れますよね?」
「……」
「わかりました。グリンピースは嫌いなんですね」
『29、のプロットを書いてる時にうっかり考えていたネタ』
「こんな僕を、あなたは汚らわしいと思いますか?」
「いやっ、フケツ! 近寄らないで!」
「──え?」
国館壮一、三十四歳。愛する人を説得するために一か八かで切ったカードにて恋に敗れる。。。
『二度あることは三度ある』
11、にて。
「おまえって意外と手が早かったんだな」
「か、粕谷さんを真っ直ぐ会社まで送り届けたあと、ちょっと寄り道してただけで……」
18、にて。
「おまえってやっぱり手が早かったんだな」
「何とでも言え」
30、のその後にて。
29、と30、の間にあったことがバレて。
「……おまえって本当に手が早かったんだな(呆)」
「……(返す言葉もない)」
小ネタは以上です。おそまつさまでした。
以下は番外その2の後の話になります。
『我が家を作ろう』
「うーん……」
壮一さんの部屋をぐるっと眺め、わたしは悩む。すると、肩と頭のてっぺんに重みがかかった。
「どうしました?」
すぐ上から降ってくる、低くて響きのいい声。
最近の壮一さんのお気に入りは、わたしの頭のてっぺんに顎を乗せること。
そういうスキンシップを許されてるってことに、何だか安心するんだって。
わたしもその……悪い気はしないから、したいようにさせてあげてる。
「なーんかまだ、殺風景だと思いましてね」
本棚を増やしたし、床に座ってくつろげるよう二畳のサイズのカーペットも敷いたのに、八畳あるリビングはまだ閑散としてる。
わたしは部屋の隅に目を止めて、そちらに向かって歩き出す。緩く置かれていた壮一さんの手と顎は、わたしの動きに合わせてするりと外れていった。
「この辺に観葉植物をどーんと置いてみたい気はするんですが、世話できる自信がないので却下ですね」
「水をやるくらいでいいんでしたら、僕がやりますよ」
近寄ってきながら、壮一さんが言ってくれる。
「じゃあ今度お店に行って検討させてください。──でも、まだ足りないんですよね。モデルルームっぽい雰囲気が消えないというか何というか……」
何でこんな話をしてるかというと、今日はわたしが壮一さんのマンションに引っ越してきた日だから。
最近壮一さんの部屋に入り浸って、わたしはほとんどアパートに帰ってない。だから防犯と節約のために、アパートは引き払ってしまったほうがいいんじゃないかってことになって。
引っ越しは簡単だった。お泊りを重ねているうちに、服とか化粧品とかほとんど持ち込んでしまっていたの。あとは愛用の品等わずかな持ち物をまとめて、家具類や調理器具とかを処分するだけだった。調理器具は壮一さんが取り揃えてたし、家具類も壮一さんのマンションのデザインに合わなかったり、いらなかったりするしね。……ベッドも壮一さんと共有することになってるから、いらないのだ。
もう一度部屋の中を見分すべく振り返ろうとした時、背後からふわっと抱きしめられた。
「最初から完璧に整えることはないんじゃないですか? 生活していけばあれもこれも欲しくなってくるかもしれませんし、──結婚して子どもが生まれれば、それこそ入り用なものであふれ返りますよ」
頭の上に乗る確かな重みと、肩から胸元までを覆う暖かくて逞しい腕。
実はわたし、これが大のお気に入り。甘えられてるような、守られてるような、何だか不思議な気分で。
わたしは、壮一さんの腕にそっと手を置いた。
「壮一さんも気が早いなぁ。婚約もこれからなのに」
「でも、今日からここが、僕たちの『我が家』です」
壮一さんが以前何気なく言った言葉。
──粕谷さんがいっしょに住んでくれるなら、ここを“我が家”にしてもいいかな……なんてふと思ったり。
それが今日から現実になる。
ここを『我が家』にしていこう。住み心地よく居心地のいい、何より自分たちの拠り所となるような。
腕の中で振り返り、わたしは微笑んで見上げる。壮一さんも微笑み、囁くように言った。
「二人で幸せになろう──美樹」
「──はい」
瞳を閉じると、唇がそっと重なる。
二人が一緒に暮らし始める、ある休日の午後のことでした。
おしまい




