Seventh Heaven
『ナリオ大陸』の覇権は二大強国が独占していた。
そこに半旗を翻した者たちがいた。
『ノイチス』『カミ・ユナ』『アー・チャン』の3人からなるニュータイプ美少女戦闘ユニット『ナパーム』である。
しかし醜い戦争は純真無垢な天使の心を壊してしまった。
ナパームファンと過疎ジャンル作家さんにしかわからない世界だったかもしれない……m(_ _;)m
あと二次創作にならないかが不安……_| ̄|○
白いプラスチックの棺桶のような箱だ。それが三基、何もない宇宙空間に音もなく漂っている。遠隔操作の軍事用偵察カメラに向かって次々と、順番のように近づいてくる。
カメラがその蓋に取り付けられた小さな窓のようなものの中を映し出す。
中には敷き詰められた花に囲まれて、眠っているように、それぞれに三人の少女が目を閉じて、横たわっていた。
✙✙✙✙
「おい。隊長、今日も荒れてるぜ」
「あの日かな?」
「バカか? おまえ、ノイチス隊長の過去のこと、知らねーのか?」
酒場の席では男たちがそんな会話をヒソヒソと交わしていた。
給仕用の背の低いロボットが頭のトレーに酒を乗せて忙しく動き回っている。
カウンター席には男たちが噂している長身にショートボブヘアの女性が、だらしなく座っている。
彼女はカウンターに突っ伏していたかと思うと急に顔を上げ、酒の入ったグラスを引っ掴もうとして、派手な音を立ててそれを飛ばした。
掴み損ねたグラスが床に落ち、音を立てて砕ける。
「あーっ! もーっ!」
ノイチス隊長と呼ばれた女性はハの字眉をさらにハの字にして、喚いた。
「やる気になんないよーっ! なんで本部は……!」
三国連合防衛軍本部の一室──
ストレートロングの黒髪の女性が大きなモニターを前に立っている。
モニターには黒いダンゴムシのような怪物の群れが押し寄せる様子が映し出されていた。
「第2防壁も突破されました!」
コンピューターのような機械に向かって座る女性隊員が声を上げた。
「どうする? カミ・ユナくん?」
軍服に身を固めた白ひげの老人がストレートロング黒髪の女性に尋ねる。
「……まさか敵の勢いがこれほどまでとは予想していなかったわ」
カミ・ユナと呼ばれた女性は、表情は変えなかった。しかしその声は心中の狼狽を表すように震えていた。
「でもまだよ。まだ……手はあるわ、たぶん」
白ひげの老人は期待を込めた声で聞いた。
「では……遂にアレを……? 最終兵器を使うのかね?」
「アー・チャンは使わない」
カミ・ユナが老人を睨む。
「それに『アレ』だなんて言わないで! アー・チャンは兵器じゃないわ。人間よ!」
小高い丘の上に墓地が広がっている。
立ち並ぶ白い墓石の一つを撫で、セキュリティーシステムに自分のDNAを照合すると、動いた墓石の下に現れた階段をノイチス隊長は下りて行った。
階段はかなり下まで続いている。壁に蝋燭を模したランプがいくつも設置されている。その弱い灯りも下へ行くほど暗くなった。そんなものは頼りにしていないように、ノイチスはサクサクと下りて行く。
階段を下りきると広い部屋があった。
手探りで壁のスイッチを見つけると、ノイチスはそれを押す。
天井全体が白く明るく光り、がらんとした牢獄を照らし出した。
ガラスの檻に閉じ込められた天使が顔を上げ、振り向いた。笑顔はなく、今日も物憂げだった。
「アー・チャン。今日も来たよ」
ノイチスはそこにあった粗末なパイプ椅子に腰を下ろすと、話しかけた。
「翼……まだ生えないんだね」
ノイチスの言う通り、天使の背中に翼はなかった。純白の羽毛で編んだドレスも地下の空気のせいか、薄黒く見える。
ガーリーなウェーブ・ロングヘアに縁取られた顔は幼子のように無垢だった。まるで言葉がわからないように、不安げな表情でただ首を傾げるアー・チャンに、ノイチスは独り言のように話し続けた。
「戦況がとても不利になったよ。ただでさえ不利だったのにね。イセ・コイ女王国があのハイ・ファン・タージ帝国と同盟を結んじゃったんだ。不利とはいえなんとか今まではやり合って来れたんだけどね。あたしのアクション共和国は国力は弱小ながら戦闘力には長けてたし、カミ・ユナのリア・コイ王国はそこそこ国力があったから……」
アー・チャンは何も理解していないようだったが、ノイチスが喋っているのを珍しいものでも見るように、じっと見つめている。
「あーっ……! もーっ!」
ノイチスが声を荒らげた。
「アー・チャンが力を貸してくれたら……! それでも負けやしないのに! なんで本部はこんなところに閉じ込めて……」
そこまで言って、ノイチスは気づいた。ガラス越しに自分を見つめている天使が、その心が、壊れてしまっていることに。
「そう……だよね。わかってる。アー・チャンは悲しいものを見すぎたんだよね。その大きな力とは裏腹に、人が傷つくのを見るのが嫌だったんだよね」
アー・チャンはやはり何もわかっていないように、ただ首を傾げるだけだ。
「人が死ぬのを見すぎたんだよね、アー・チャンは……。それでもあたしやカミ・ユナのことを思って……自分のポエ・メルヒェン国のことも大事に思うから、戦ってくれたんだよね。でも、愛に溢れる心が耐えきれなくて、壊れてしまった」
何かを思い出したのか、アー・チャンがうっすらとだが、微笑みを浮かべた。
「あ! 笑ったよね!?」
ノイチスも思わず笑う。
「久しぶりに見た! アー・チャンの笑顔! それだよ、それそれ! それでなきゃアー・チャンじゃない!」
ふいに後ろから石畳を踏んでハイヒールの足音が響いてきた。戦線ではいつも先陣を務める第一部隊の隊長であるノイチスがここまで接近されてようやく気づいた。そんな相手は一人しかいない。
「ユナ?」
そう言いながら振り返ったノイチスに、長い黒髪を揺らしてカミ・ユナが近づいてきていた。
「またここへ来てたのね、ノイチス?」
「ユナこそ。司令室を離れていいの?」
「ヤス・タカ総司令官が今、ロコモコ丼をお召し上がり中なのよ。『ボルゴ13』のコミックスを読みながら、ね。邪魔しちゃいけないから席を外して来たの」
「そっか」
「この3人で顔を揃えるのは久しぶりね」
遠くを見つめるような目をしながら、カミ・ユナが言った。
「あたしが三国連合司令官になる前……あたしたち3人はニュータイプ美少女戦闘ユニット『ナパーム』として敵国の脅威だったわよね」
「あの頃に帰りたいよ……、ユナ。あたしたち3人、無敵のチームだったのに……」
「昔を懐かしむのはやめなさい、ノイチス。あたしたち、前しか向かないんじゃなかった?」
「でも……まだ夢は叶ってないよ。カミ・ユナ。この戦争に勝利するという、あたしたちの夢が」
「それどころか負けちゃいそうな勢い……」
カミ・ユナは絶望的な台詞を口にしながら、舌を出して笑った。
「もう、宇宙へでも飛び出して、3人で平和に暮らしちゃおっか?」
「アー・チャンの力が使えたら……」
ノイチスが呟くように、言った。
「いくら相手が強くたって、負けやしないのに……」
「だめよ、ノイチス」
カミ・ユナの語調が厳しくなる。
「アー・チャンの気持ちを考えてあげなさい。アー・チャンはもう戦うことなんてしたくないのよ」
「じゃあこんな檻の中に閉じ込めるのはアー・チャンの気持ちを考えてのことだって言うの!?」
ノイチスの語調も荒くなった。
「こんな……! 不自由なところに監禁して! アー・チャンに自由はないって言うの!?」
ガラスの檻の中で天使が首を傾げた。
カミ・ユナは何も言わずに、睨むようにノイチスを見る。
ノイチスは酒を飲んでくだを巻くような勢いで、喚いた。
「あの頃に帰りたい……っ! 3人とも今みたいに暗い顔なんかしてなくて、笑ってたじゃない! 夢はあの頃にもう叶ってたのかもしれない。あたしたち、トップを取れたんだよ? この『ナリオ大陸』のランキングトップに、あたしのアクション共和国、ユナのリア・コイ王国、アー・チャンのポエ・メルヒェン国なんて、それぞれ弱小国出身の、異色のあたしたちが……さ」
「そうね……」
ようやくカミ・ユナが口を開いた。
「あたしたち、光り輝いてた。でも、あの頃はあの頃よ。今は今やるべきことをやるしかないわ」
「今やるべきことって、戦争に勝つことじゃない?」
「そうよ」
「アー・チャンの力なしで……あたしたち、勝てると思う?」
カミ・ユナがまた黙った。
「あたしたちは三位一体。アー・チャンがいたからこそトップを取れたんでしょ?」
「アー・チャンは……戦いたがっていないわ」
「じゃあ、強国に負けて、奴隷にされて、いいようにむしり取られることを望んでいるっていうの?」
ノイチスはガラスの檻に近づくと、すがるように天使に話しかけた。
「違うよね? アー・チャンも国が負けてみんなが惨めな思いをするのは嫌だよね?」
天使の顔に、またうっすらと微笑みが浮かんだ。
ノイチスは声に力を込める。
「一緒に戦って、アー・チャン! またその背中に翼を生やして! あの歌を歌ってよ!」
天使の背中がゴキリと骨が軋むような音を立てた。
その背中から、神々しいほどに真っ白な翼が、左右に広がった。
✙✙✙✙
司令室でカミ・ユナはモニターを見ている。
そのパッツンに揃えられた前髪の下は汗をかき、表情には希望と絶望が入り交じっていた。
隣に立つ軍服姿の白ひげの老人の顔は嬉しそうだ。
モニターの中には迫りくる敵の軍勢が映し出されていた。数にして10万はくだらないように見える。
『ザマァ! ザマァ!』
ハイ・ファン・タージ帝国の兵士たちは勇者の鎧に身を固め、伝説の剣を掲げて行進する。
『ゴンヤグバギ! ゴンヤグバギ!』
イセ・コイ女王国の女戦士たちは色とりどりのドレスに身を包み、悪役令嬢のように顔を歪めて駆けてくる。
もう最後の砦だけだ。ここが突破されればそれは即ち敗戦を意味していた。
黒い軽装の鎧姿のノイチスの後ろ姿がモニターに映る。
「みんな、大丈夫。あたしたちは勝てる」
率いる約三千の兵士たちにノイチスが声をかける。
「勝利を掴んでナリオ大陸の覇権をあたしたちのものとするんだ! ファイト、オー!」
戦士たちは腰が引けていた。当然であろう。10万を超える敵軍勢に三千で勝ち目などあるはずがなかった。
敵の先陣がはっきりと見えてきた。
こちらを舐めて見下しているその表情まではっきりと見える。
司令室でカミ・ユナがマイクで命令を送る。
「最終兵器を発動せよ」
「よし!」
ノイチスが叫んだ。
「アー・チャン! いけーっ!」
白い翼が開かれ、三千の軍の後ろから天使が舞い上がった。
曇っていた灰色の空が途端に虹色に変わり、広大な空からパワーを集めるように、白い天使は虹色に輝いた。
『ザマ……ナンダ、アレハ!?』
ハイ・ファン・タージの兵士たちがどよめく。
『ゴンヤグ……マァ! ナンデスノ!?』
イセ・コイの女兵士たちが一斉に口元を押さえて驚いた。
アー・チャンは歌った。
まるでオートチューン・エフェクトがかかったような、煌めくようなケロケロ声で。
「Ahhhhh!」
それはみんなを笑顔にするアイドルのごとき歌声であった。
神々しいその音圧を受けた敵兵士たちは、たちまち悲鳴をあげた。
『ザ……、ザマ……!』
ハイ・ファン・タージの兵士たちは肉が溶け、たちまち骨となって斃れていった。
『ゴ……、ゴンヤグバギイーーッ!?』
イセ・コイの女兵士たちはその歌声にメロメロになり失神していった。
アー・チャンの歌声は兵器であった。あまりにも純真無垢なその音は、ふつうの人間にはかえって細菌兵器のごとく毒となり、それを浴びた者の肉体を滅ぼすのだ。
耳を覆っても無駄である。その凄まじい音圧は厚さ5メートルの鉄板ですら貫通する。逃げ場は、ない。
しかし敵の数が多すぎる。敵は先陣が倒されても倒されても、気にもとめぬように行進してきた。
「いけーっ! アー・チャン!」
ノイチスは天使の歌に耐性があった。
「10万の敵をすべてやっちゃえーっ!」
ノイチスに限らず、三国連合軍の兵士たちは皆、アー・チャンの歌声を耳にしても平気であった。音の指向性が前へ向けられていることもあるが、誰もがその無垢な歌に込められた哀しみに対する共感力を有していたのだ。
敵の大軍が波に崩されるように血肉と化していく。殿を務めていた総隊長らしきマッチョな男が叫んだ。
「ダンゴムシ隊、前へーッ!」
巨大なダンゴムシのような蟲の大群が、隊列を割って前へ出た。その目は怒りに赤く光っている。
「や……、やばいかも!」
ノイチスが叫ぶ。
「ダンゴムシにアー・チャンの歌って、効くの?」
杞憂であった。天使の歌声は物理的なナパーム弾としても機能した。襲いくる巨大ダンゴムシたちの目から光が消えていく。
「やった! さすがはアー・チャン!」
ノイチスが手を叩く。
「このままいけーっ! あたしたちを勝利に導いて!」
急にアー・チャンの歌が、止まった。
喉が嗄れて声が出なくなったように、それは弱々しく掠れると、すぐに音を失った。
力を使い過ぎたのであろうか? いや、天使の声は3時間のライブをぶっ続けで歌い通せるほどの余裕があった。
司令室でカミ・ユナが悲痛な声をあげる。
「やっぱり……! アー・チャンはもう……誰も傷つけたくなかったのよ!」
泣いていた。翼を広げて空に浮かびながら、アー・チャンの両目からは止まらぬ涙が溢れていた。
声を失ったアー・チャンの心の声が、テレパシーとなって皆の頭の中に聞こえた。
《なぜ……戦わないといけないの?》
《なぜ……争い合わないといけないの?》
《わたしたち……、この『ナリオ大陸』で、仲良く笑顔で生きてはいけないの?》
《お互いに、棲み分けて、それぞれ称え合って、平和に生きていけるはずよ》
《なぜ……いがみ合わないといけないの?》
堰き止められていた敵の軍勢が動き出し、突進してくる。それを見てノイチスはライト・サーベルの緑色の刀身を伸ばした。
「そもそも貴様らが反旗を翻したのだろうが!」
敵の総隊長が大声で言った。
「弱小国にとどまっておればいいものを、くだらぬ『新しい流れ』などを起こそうとするからだ!」
それを聞いたカミ・ユナが、モニターを前に呟く。
「そう……。あたしたちのニュータイプ美少女戦闘ユニット『ナパーム』は10年前、大陸に『イセ・コイ』とも『ハイ・ファン・タージ』とも違う、新しい風を起こした」
そして険しい顔で敵の総隊長に唾を飛ばした。
「それを脅威と感じて排斥しようとしたのは誰!? あなたたち強国の権力者でしょう!?」
「もう……命を捨てる覚悟で戦うしかない……っ!」
ノイチスが前へ飛び出す。
《だめよ!》
アー・チャンの声が空に響いた。
《誰も傷つけない!》
気がつくとノイチスは明るい青空の下にいた。手にしていたはずのライト・サーベルがない。
賑やかでお洒落な街角だった。自分の両腕には抱えきれないほどの紙袋がぶら下がり、中を覗くとかわいい赤や黄色の服が入っている。
「何……、これ?」
正面を見ると敵の総隊長がそこに立っており、狐につままれたような顔で辺りを見回していた。彼もお洒落な芸能人のようなファッションに身を包んでいる。
「ノイチスー!」
後ろからハイヒールの靴音が駆けて来た。
「なんかあたしたち……、昔に戻っちゃったみたいよー!」
振り向くと、カミ・ユナが少女の姿でそこにいた。10年は若返っている。
「ユナ……。なんなの、これ」
「ノイチスも若返ってるよー。ショーウィンドウに映してみ」
ブティックのショーウィンドウに映してみると、懐かしい少女の頃の自分がそこにいた。
「これって……もしかして……アー・チャンの能力?」
ハイヒールの靴音がもうひとつ、二人の背後から駆けて来た。
振り返った二人に笑顔の花が咲く。
「ノイチスー! ユナちゃん!」
純白の羽毛で編んだドレスをなびかせて、笑顔のアー・チャンが駆けて来た。10年前の、まだ歌声の能力も使えなかった頃の、元気な彼女だった。
「戻れたね! 一番楽しかった頃に!」
「もう……戦わなくていいんだね!?」
「あたしたち、美少女戦闘ユニットじゃなくて、アイドルユニットになろうよ!」
「じゃあ、アレやるよ? いーい?」
「オッケー!」
「せーの……!」
3人は横に並ぶと、笑顔でお約束の自己紹介を決めた。
「アー・チャンです」
「ノイチスです」
「カミ・ユナです。3人合わせて……」
「ナパーム・デス!」
「お……おお……」
敵国の総隊長は間近でそれを見ると、思わず感動に震えてしまった。
「『BABYMETAL……death!』みたいな……。おお……お……!」
3人はアイドルとしてデビューした。
しかしそれまでのアイドルとは一線を画す、流行りともまったく違う『テクノポップ・アイドル・ユニット』として売り出したため、なかなかブレークには至らなかった。
しかし解散を賭けた楽曲『バレンタイン・ディスコ』をリリース。それをファン第一号となった敵国の総隊長が命を賭けて動画サイトでプロモーション。その甲斐あってヒットするや、他に類似ユニットのない独自性と、その戦闘経験で培ったキレッキレのダンスが話題を呼び、瞬く間に大陸中で大ブレークしたのであった。
「はい。では、最後のシーン、撮りまーす」
監督がメガホンを振り上げた。
「スタート!」
アー・チャン、ノイチス、カミ・ユナ──3人の少女が白いプラスチックの棺桶のような箱に入り、目を瞑る。箱の中には色とりどりの花が敷き詰められている。
CGで背景には宇宙空間が作り出され、その中をカメラに向かって順番に箱が近づくと、小さな窓の中をカメラがそれぞれに映し出す。
合成されたミュージック・ビデオの完成品を観ながら、スタジオで3人は笑い合った。
カミ・ユナが小動物のような声で言う。
「あの戦争の日々が嘘みたい」
ノイチスは少し言葉を噛みながら、言った。
「嘘だったんらよ。今いるあたしらがほんとうのあたしら」
「幻想的なMV……素敵」
アー・チャンが宇宙を漂う自分たちをモニターの中に見ながら、うっとりと呟いた。
「やっぱり世界に必要なものは戦争なんかじゃなく、『綺麗』『かわいい』『平和』が一番じゃね!」




