99話 体育祭練習⑥
金曜日! 今日でラストの種目になるわね。今まで「鉄球転がし」、「徒競走」、「綱引き」、「玉入れ」だったけど5種目目はなんだか過激な種目になる気がする……。
「それでは5種目目の発表をします。5種目目は……水風船チャンバラです」
……水風船チャンバラ? 何それ。今までザ・体育祭みたいな種目ばっかりだったのに突然変なのブッ込んできたわね。
「みなさんにはお尻に水風船を付けてもらいます。そしてこの柔らか素材でできた剣で叩かれ、水風船が破れたら失格です。制限時間内に生き残る、もしくは敵をすべて倒せば勝ちです」
なるほど……じゃあただ生き残ればいいじゃない。
「ただし、この競技は直接戦闘種目なので、直にポイントが入るようになります。相手を倒せば0.5pt。最後まで生き残っていれば1人につき1ptが加算されます」
なるほどね、ポイントを狙いにいくのなら積極的に相手を倒しにいかないといけない。でもそんなに目立つと今度は自分の水風船が危ない。駆け引きってやつね……。
「今回は実習の時間で試しにやってみることはありません。各パーティ自由に時間を使ってください。以上です」
先生が一歩下がって私たちの自由時間になった。水風船と柔らかい剣はすでにグラウンドに置かれている。パーティで練習しなさいってことね。
「むぅ……剣の心得はないのですが……」
「私もです……」
「アタシもあんまり無いな」
アルチャルもヒラもシルディも、みんな剣を見つめて自信なさげにしている。
「ふっふーーん! ここでユーシャ先生の出番だね!」
「そうね、この種目……ポイントを稼ぐにはユーシャの活躍が必要不可欠だわ」
この中で剣の心得があるのはユーシャと、実は私も。魔界流剣術だから使ったら即outだろうけど……。
「基本的にみんな生き残ることを1番に考えて行動しましょう。余裕があれば相手のを割るってくらいでいいわ」
みんな生き残れば5ptは手に入る。それが多いのか少ないのかはわからないけど、とりあえず狙うのは全員生還で良さそうね。
「じゃあアルチャルとヒラとシルディは生き延びる練習を、私とユーシャは攻める練習をしましょうか。ちょっと待っててね」
私はその辺に落ちていた枝を拾って円を描く。
「この円の範囲内で勝負しましょう。3分逃げ延びたらアルチャル・ヒラ・シルディの勝ち。全員分の水風船を割ったら私・ユーシャの勝ち」
「オッケー。負けねぇぞ!」
「よーーい、スタート!」
この種目の必勝法は未だよくわからない。勝利条件は剣で水風船を破ること、敗北条件は剣で水風船が破られること。ここから導き出される答えは……う〜ん……。
"剣で"っていうのがポイントよね。魔法で破ってもいいなら戦術の幅が広がったかもしれないけど、破るのは剣でのみ。難しいわ……。
「とりあえず……そりゃ!」
シルディの後ろに回り込んで水風船を狙う。
「あぶねっ!」
流石の反射神経を見せたシルディ。間一髪で避けてみせた。仲間としては心強いわね。
「『勇者流剣術:双路の劔!』」
ユーシャが剣術を使ってアルチャルの水風船に襲いかかった。あの剣術は私でも知ってる。伝説の勇者の得意とする剣術よね。ユーシャはそれを受け継いでいたんだ……。
「ふっ、はっ!」
アルチャルは空中で身体をひねって剣を交わした。やるわね。
「残念。双路の劔は2度斬るよ!」
「なっ!」
パァン! と水風船が弾けた。見えなかったけど……たぶん剣の通り道で風を作って気流に乗らせ、超加速した刃が後ろからも襲ってくるっていうシステムの剣術よね。とんでもない剣術だけど……。
結局アルチャルとシルディが脱落、その後いじめるのがかわいそうという理由でヒラは生き残った。この妹感も武器の一つ……かもしれないわね。




