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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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78話 特別実習⑨

 さてと、クリア条件がただ生き残るだけだから下手に動かない方がいいわよね、このままテントにこもっていた方が安全だもの。

 ただ……思ったより食べ過ぎちゃったわね。食べ物が今日のお昼分までしか残っていないわ。


「みんな聞いて、このままだと食料が尽きちゃうから追加で取りに行きましょう。メンバーは私とユーシャで取りに行くから、テントの警備は任せたわよ」


「えっ」


「おう! こっちは任せとけ!」

「お2人が戻ってくるまで、何があっても死守します!」

「私たちも出来る範囲で食べ物を探しますね」


 驚きの声をあげるユーシャと、やる気を見せてくれた3人。食べ物を探すついでにユーシャの件も解決しなくちゃ。


 というわけでユーシャと一緒に森の中へ。そういえばヒラがいないと食べられるかどうかの見分けつくのかしら……ま、まぁいいでしょう。持って行ってダメと言われたら捨てればいいし。


 さて……森の中を歩いている間にユーシャが何に悩んでいるのか聞くべきよね。これもリーダーの勤め。頑張らないと!


「ゆ、ユーシャ?」


「……どうしたの?」


 うっ……こんなに元気のないユーシャ、見たくなかった。目に力がこもっていないし、表情にも覇気がない。どこかかわいそうにすらなってくる。


「元気がないみたいだけど、どうしたの?」


 わりとスムーズに聞くことができたわね。


「……私たちさ、ずっとリリーに頼りっぱなしだったなぁって」


「……え?」


 どこが? 防御はシルディが、支援はヒラが、攻撃はユーシャが。みんなそれぞれ頑張ってくれていて、むしろ私なんて偉そうに指示出しすることくらいしかやってないんだけど。大変だったことといえばアルチャルの加入直後の仲良し作戦あたりくらいなんだけど。


「ずっとリリーに頼りっぱなしで、私たちはそれに従ってばかりで、ずっとずっと考えて生きていなかった。リリーの必死に考えた作戦にただ乗っかってただけ……」


「ちょ、ちょっと待って? 私……そんな大層なことしてないんだけど……」


「謙虚だね、リリーは」


 悲しそうに、ユーシャは笑う。こんなに悲しい笑顔がこの世界にあったんだ……。そう思うくらい、ユーシャは無理くり笑っていた。


「自分で考えて動かなきゃ、リリーに任せっきりじゃダメだと思って動いたんだけど……結局迷惑をかけちゃった。ダメダメだね、私。お母さんに申し訳が立たないや」


「ユーシャ……」


 そんなことはない……とは無責任に言えないのかもしれない。伝説の勇者の噂は私でも聞いたことがある。伝説のパーティを指揮し、戦えば自らは最強であり、そして……唯一魔王との戦いで生存者を出させた人間。勝てないと踏んだ勇者パーティは伝説の勇者……ユーシャのお母さんを犠牲に生き延びた。魔王の戦いを、後継に繋ぐため。


 そんな強くて指揮もできてかっこいい、伝説の勇者様には確かにユーシャは届いていないのかもしれない。


 でも……それでも!


「ユーシャ!」


 ユーシャの肩を強く掴む。顔が向かい合うからユーシャの可愛い顔が近くてドキドキするけど、そんなことを今考えるべきじゃない!


「ユーシャは完ぺきじゃない!」


「え……」


 普通ここなら励ましの言葉をかけるだろう。でも私はそうするべきじゃないと思った! たぶん今は……ユーシャに気がつかせるべきなんだ。私たちは1人じゃないって。


「同じように私だって、シルディもヒラもアルチャルも完ぺきじゃないの! 私たちは5人で1つ! 5人で完ぺき! それでいいじゃない! ユーシャが色んなものを背負おうとしなくていいの!」


「リリー……」


「だから指揮は私に任せて? でも攻撃とか、色んなことをみんなに任せるから。ね?」


 そう、私たちは完ぺきじゃないからこそ、みんなで完ぺきになるんだ! それでいいの。だって……そうじゃなくっちゃ伝説の勇者パーティと同じだもん。私たちはみんなで1つの完ぺきになるんだ!

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