36話 日曜日はアスセナと①
ちょっと怖いアスセナと謎に気まずい時間を過ごして土曜日は終了しようとしている。どうしよう……アスセナの機嫌を直したい。でも何で機嫌が悪いのかわからかいから詰みなのよね……。
「あ、アスセナー?」
「……何ですか?」
ほら何か間があるし……。何なのよもう。アスセナの機嫌を直すには……そうだ!
「あ、アスセナ? 明日は私は暇だから良かったら一緒にお料理でもしない? お家デートよ、お家デート!」
「お料理……お家デート……姫様と?」
「え、えぇ」
あ! アスセナの怖い目がだんだん生気を帯びてきたわ!
「いいんですか? 貴重なお休みを私なんかにお使いになられて」
「もちろんよ! アスセナと過ごす日曜日なんて最高の週末じゃない!」
「ひ、姫様ぁ!」
よし! アスセナの顔がぱあっと明るくなったわ! 正解のルートだったみたいね。ゲームに例えるだなんてアスセナに失礼だけど。魔界の女の子攻略ゲーム、またやってみたくなってきたわね。
「な、何を作りますか? ハンバーグにカレーに……あっパンケーキやシフォンケーキなんかもいいですよね?」
「お、落ち着いてアスセナ。1つでいいわよ、ハンバーグにしましょう?」
「はい♪ じゃあ材料を買ってきますね」
お財布を手にスーパーへ行こうとするアスセナ。いや……ここはせっかくのお休みだし……
「待ちなさいアスセナ。明日私も一緒に買いに行くわ。そっちの方がアスセナと楽しい時間をもっともっと共有できるでしょ?」
「もう姫様……そういうところですよ♡」
……ん? どういうことかしら。
結局どういうことかわからないまま寝る時間に。
「おやすみアスセナ。明日は料理、楽しみましょうね」
「はい! 私……ワクワクしすぎて寝れないかもしれません!」
「遠足じゃないんだから……寝なさい」
私との時間をそんなに楽しみにしてくれるのはすごく嬉しいけどね。
そして夜が明け……
「おはよう、アスセナ」
「おはようございます。姫様!」
アスセナの顔を見た感じ……ちゃんと寝れたようね。よかったよかった。寝不足で料理中に怪我をしたら大変だもの。
朝ごはんを食べてすぐに着替える。
「じゃあアスセナ、行きましょうか」
「はい♪」
財布を大事そうに持つアスセナ。同い年だけど仕草や身長とかからロリっぽく見える。保護欲をくすぐられるのよね。
「……姫様? どうなされました?」
「あっ、いや、なんでもないわよ?」
「はぁ……?」
いけないいけない。同い年の女の子に対して失礼よね。でも幼く見えるものは仕方ない……。
「姫様とお買い物やお料理ができるなんて夢みたいです♪」
「いつだってしていいのよ?」
変にかしこまらなくていいのに。知らないうちに気を遣わせちゃってるのかな……。
数分歩いたところで近所のスーパーに到着。こういうところでお買い物をした経験があまりないから余計なこと言わないでアスセナについて行きましょ。
「姫様、ひき肉の種類はどれがいいですか?」
「……ん? ひき肉に種類なんてあるの?」
「はい! 豚肉多めとか牛肉多めとか、色々調整がありますよ♪」
違いがわからない……。こういう時は……
「アスセナのオススメでいいわよ?」
「わかりました♪ じゃあ私セレクトの配分でいきますね」
……本当に頼りになるし、家事力高いわよね。そして虫は完全にダメで可愛くて女子力も高いと。アスセナ……貴女パーフェクトな生き物なの?
その後も必要な材料のコーナーに寄っては私に好みを聞いて、戦力にならない私はアスセナに任せる。が続いた。私っていったい……。
こうなったものは仕方がないわ。準備で戦力外なのはまぁわかってたもの。あとは帰った後の調理の段階で貢献することが私に残された道ね。……と、心の奥底がひっそりと燃え上がっていた。




