24話 リリーリーダー③
「ウキュー!」
ってやっぱりぃ! 今のみんなの叫びで魔物を引き寄せちゃったじゃない!
出てきたのは陸上魔物の中では雑魚扱いされるニュートラルモンキー。まぁ……なんとかなりそうね。
「フォーメーション! 前からシルディ、ユーシャ、私、ヒラで行くわよ。各自構えて」
「「「おー!」」」
指示通りに4人で並ぶ。まぁ別にユーシャか私の魔法でぶっ飛ばせる相手ではあるんだけど、パーティの動き方の実習だしね。どこかで先生が見張っているかもしれないし……。
「ウキャ!」
あんまり鋭いとは言えない爪を立ててニュートラルモンキーが襲いかかってくる。
「シルディ!」
「おうよ! 『シールド』」
左腕につけている盾を拡張させて防御。なんとか爪を食い込ませようとするニュートラルモンキーだけど、そんな簡単に破れる盾ではない。
「ユーシャ! 弱めに魔法を! ヒラはそれを援護で強くする練習ね!」
「うん!」
「は、はい! 『ブースト!』」
ヒラの支援魔法、『ブースト』で魔法のパワーが一時的に上がるユーシャ。
「キタキタ! 森を壊さないように弱めにってのが残念だけど……『サンダー!』」
元気よく叫んで魔法を放つユーシャ。声の大きさとは相反して魔法の威力は控えめ。ユーシャが全力で魔法を撃ったら森が粉々になりそうだしね。
「ウキキッ!」
ユーシャの魔法が直撃して倒れるニュートラルモンキー。よし、パーティとして上手く動けて勝てた!
「イェーイ! 私たちのパーティの勝利だよ〜!」
「やったな!」
「う、うん!」
「みんなの個性を活かせて良かったわ」
みんなでハイタッチ。ちょっと恥ずかしいけど、いいものね。
その後も何体か魔物が現れたけど同じようなフォーメーションを組んで圧倒できた。いける……! 私たち、昨日より全然強い!
ピピッーー! とホイッスルが鳴った。もう1時間経ったのね。森の入り口まで戻ると先生たち以外誰もいない。ってことは脱落した人たちはいなかったんだ。まぁ……本当に弱い魔物しかいないしね。
「お疲れ様でした。皆さんの行動は陰から見させていただきましたが、どのパーティも素晴らしい動きができていましたよ」
先生から初めてお褒めの言葉を貰えた! 今まで厳しいことばっかり言われてきた気がしたけど。
「明日は再びアシスタントパーティの方たちとの実習になります。昨日のような不甲斐ない結果に終わることがないように頑張ってくださいね。では……解散!」
ぞろぞろとみんな帰路につく。今日のことを自信にできるようないい顔ばっかりね。
「んー! 明日はリベンジマッチだね!」
「おう! 絶対負けねぇ!」
「が、頑張ります!」
ユーシャも、シルディも、ヒラも明日に向けて自信をつけれたみたい。そういう私だって、昨日ボロボロになった自信を回復できた。明日はきっと昨日よりも上手くいく!
「みんな……明日は絶対、リベンジしてやるわよ!」
「「「おー!!!」」」
元気な声が響いて……
「クキョー!」
「ウガッ!」
「ホホーン!」
さっきまでいた森の中から魔物たちの雄叫びが……。
「ぷっ」
「あははっ! 今の何〜!」
「笑いすぎだろユーシャ。ははっ!」
「あはは……すごかったね」
すごいいらない奇跡が起きた。でもまぁ、これも何気ない楽しい一幕を作ってくれたから、まぁいいかな。こういう笑いって魔界にいた時には無かったから。
さぁ……アシスタントパーティの人たち待ってなさい。一応魔王の娘として、同じ相手に二度も負けるわけにはいかない。絶対明日は「まいった」と言わせるまで戦ってやるんだから!
内なる闘志を燃やしながら家へ。が、燃えていた闘志もアスセナの優しい味のご飯で弱々になっていく。……これも何気ない楽しみの一つ? かもね。




