179話 魔王と戦闘
「行きます! 『エンチャントフレイム』『エンチャントウォーター』『エンチャントウィンド』『エンチャントサンダー』『スーパーブースト』『オートリカバリー』」
ヒラからの支援魔法がこれでもかというほど降りかかる。これなら多少の怪我を負っても自動回復してくれるから、無茶しても大丈夫ね。
「シルディさん!」
「おうよ! 『コネクトシールド』」
「さらに……『エンチャントシールド』」
私たち全員に透明なシールドが装備された。
「行くわよ、基本フォーメーション!」
ユーシャ、私、シルディ、ヒラ、アルチャルの順に並ぶ。対して魔王は強者の余裕か、こちらの準備が整うまで待っていた。
その慢心を、私たちで突く!
「『セイクリッドブレード』」
「『そこにある悪夢』」
ユーシャの剣は白く輝き、私の体は赤い紋に染まる。黒い立方体が宙を舞い、私の攻撃態勢は整った。
「ふん。我の真似事とは片腹痛い。ならば見せてやろう、本物の悪夢というものをな! 『そこにある悪夢』」
当然のように魔王も『そこにある悪夢』を使ってくる。フォーデフェルト家であれば基本的に誰でも使える魔法のため、魔王も例外なく使える。
「「『キュボス』」」
お互いの立方体をぶつけ合い、衝撃が生まれる。その勢いは相殺され、お互いに消え去った。
「ほう……そこそこやるではないか。ならばこれでどうだ!」
「その手は読めているわよ!」
「「『ブラック・ウェーブ・シューティング!』」」
黒い衝撃波がぶつかり合う。この力になると私の方が弱い。なぜなら『キュボス』と違い、これは元の強さも関係してくるから。
「みんな……お願い!」
「もちろん! 『セイクリッドジャベリン』」
「お任せを! 『インフェルノ・スターダスト・シューティング』」
魔王の闇の波動に対し、私たち3人の魔法で迎え撃つ。
その威力はランキング戦において敵なしだった。でも、魔王はそれすら赤子の手を捻るようにねじ伏せた。
「「「なっ!?」」」
私たちは今、ヒラの『スーパーブースト』の加護を受けている。それなのになお、この力の開きがあるっていうの!?
「貴様ら5人、総じて……伝説の勇者一人にすら及ばぬ。『ディアブロ・ディボーロ』」
魔王を中心に、黒い風が吹き荒れる。これが魔王最強の技と呼ばれる『ディアブロ・ディボーロ』。私たちで対処できる次元を超えている!
「やるぞユーシャ!」
「う、うん!」
「「『セイクリッド・ハイパワーシールド』」」
これで防げなかったら終わる。だから信じて、私たちは攻撃の準備をするのみ。
「融合魔法『イフリート・ヴォルカニック』」
炎の魔人を呼び出し攻撃する、人間界の『インフェルノ』と魔界の『エクスプロージョン』を融合させた魔法。
これができる限りの一撃。これで返せなければ終わりね。
「いっけぇぇぇ!」
私たちの希望。それを簡単に打ち破るように『ディアブロ・ディボーロ』は私たちの盾を、炎を、呑み込んでしまった。
「「「「「うぁぁぁあ!!」」」」」
私たちは闇に包まれる。
目を開けると、私たち5人は全員、地に伏していた。
「これで終わりか?」
魔王は悠々と、そこに立っている。
私は涙を一粒こぼした。




