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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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165/186

165話 アスセナとデート②

 アスセナが鞄から取り出したもの。それは……


「DVD!?」


「はい♪ お家で映画鑑賞としましょう!」


 こってこての恋愛ものと思われる映画のパッケージ。それをアスセナはニコニコ顔で持ってみせた。

 なるほど……パンケーキをお昼ごはんとしながら、映画鑑賞。それも周りに気を使うことのない自宅で、ということね。

 一応私たちのボロアパートにもテレビはついている。といっても電気代はもったいない(ただでさえエアコン代でとんでもない額だ)し、興味もそんなになかったからつけてはいなかった。まさかこんな形で活躍することになるとはね。


「どんな内容なの?」


「それは見てからのお楽しみです♪」


 そういうことらしいので、とりあえずパンケーキを一口。うん、私がほとんど作ったわりには食べられる。というか……美味しい!

 その間にもアスセナは着々とDVD再生の準備を進めていた。鼻歌まじりに準備するその姿は最高に可愛らしい。


「はい、それでは上映開始です!」


 テレビ画面にはまず最初に大きく制作会社が映し出される。その後、タイトルが表示された。タイトルは≪身分差〜禁断の恋〜≫


「……アスセナ?」


「なんでしょう?」


「このチョイスは何?」


「いい映画と評判でしたよ?」


「あ……そう」


 どうも裏を感じるような、そんな気がするタイトル。まぁ作品の良し悪しはタイトルで決まるわけじゃないわ。中身を見て、それから判断しましょう。


 とりあえず30分くらい見た感じ、1人の女性使用人が、お姫様に恋をする話みたいね。だいたい予想はついていたけど。だって身分差の恋がテーマってわかりきってるタイトルだし。

 その女性使用人はその想いを伝えられない。でもお姫様はこのままでは勇者と政略結婚させられてしまう。だから早く何とかしないと。というストーリー……ってまんま今の私たちじゃない?


 なんか半分くらい不正を働いているように見えるけど、別に問題ない……のよね? こんなに直接的にアスセナが攻めてくるとは思ってもいなかったわ。


 そんなこんなで映画も終盤。勇者に連れて行かれそうになるお姫様を、女性使用人が引き止めるシーン。そこでアスセナは……何と涙を流しながら見ていた。

 そんなアスセナを無言で抱き寄せる。映画の雰囲気がそうさせるというか、これはこれで正解な気がするわ。


『お姫様、お待ちください! 私はずっとあなたのことが……好きです!』


『貴女が私のことを……ありがとう。私も貴女のこと、大好きよ。でも私は行かないといけない。この世界が真に平和になるために、私は貴女を……諦めるわ』


『お姫様ーーーーー!』


 なんということか。これは非愛ものだったのね……ちょっと私もうるっと来たわ。

 そんな感じで2時間40分に渡る上映が終了した。まさかの最後に2人が結ばれないendにはびっくりさせられた。でもあの姫は……世界のために、自分のわがままを捨てたのね。


「ぐずっ……良かったですね、姫様」


「そうね。グッとくるものがあったわ」


 なぜ映画というものが人気になるのか、なぜ悲しい物語を好き好んで観にいくのか、なぜ涙を流すとわかっていて映画館を訪れるのか。なんとなくわかった気がする。

 涙を流すことなんてストレスにしかならないと思っていたけど、そうじゃなかったのね。


「それでは姫様、私から大切な話があります。聞いていただけますか?」


「えぇ。もちろん聞くわよ」


 これからアスセナが何を言うのか、なんとなく、今の私には想像できる。だから、今はアスセナの止まらぬ涙が止まるまで、しばし待つことにした。

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