162話 ユーシャとデート②
ユーシャが嬉しそうに持つそれはクレープ。薄皮の中にクリームやフルーツ、チョコレートなどをトッピングしたスイーツで、古くから少女に愛されているもの。
それを……私たちは今からシェアして食べるらしい。
「じゃあまず私から食べるね。はむっ」
ユーシャは可愛いお口でクレープにかぶりついた。
「はいリリーもどうぞ♪」
「い、いただきます……」
これはあれよね……確認するまでもなく間接キスよね。
顔がどんどん熱くなるのを感じる。たぶん、顔真っ赤なんでしょうね。
チラッとユーシャの顔を見ると、ユーシャの方も顔が赤かった。
「あの、ユーシャ?」
「わ、私だって恥ずかしいよ! でもアピールしないとだから……」
ユーシャ的に頑張ってくれているのね。ならその気持ちに応えるのが私の使命だわ。
「あむっ」
目をつぶって、意を決してクレープにかぶりつく。じんわりと甘い味が舌を刺激して回る。この甘さはクレープから来ているのか、それともユーシャとの間接キスから来ているのか……どちらでしょうね。
「お、美味しいわね」
「だよね? 良かった〜」
ほっとしたように胸を撫で下ろすユーシャ。
「じゃあ次はショッピングに行こうか! 服はみんなと行ったし、ちょっとした雑貨屋さんとかどう?」
「いいわね。興味あるかも」
人間界の雑貨、興味があるわ。こう言ってしまっては何だけど、魔界の雑貨屋って本当にセンスがないのよね……やれドクロだのやれコウモリだの。もうちょっと可愛いのがいい。
期待半分、不安半分でユーシャについて行くとピンク色の可愛らしい雑貨屋さんに着いた。黒×赤以外の雑貨屋さんってこの世にあったんだ。
「ねぇねぇ、せっかくだからお互いにこのお店で買ったものを相手にプレゼントしない? 1000円以内で!」
「いいわねそれ。楽しそう!」
それになんといってもデートっぽい。ただ一つ問題があるわね。私のセンスでユーシャを喜ばせることができるのかどうか。
魔界のセンスを出したら確実にドン引きされること間違いなし。だってあっちの去年のヒット商品って確か八岐大蛇ピアスだったし。何よそれ、どう考えてもジャラジャラして邪魔じゃない。
外観と同じく、店内もとてもファンシーで可愛かった。こんなところに八岐大蛇ピアスみたいな商品はあるわけないわよね。
ハートのピアス、ネックレス……たぶんこっちの世界では当たり前なんだろうけど、私にとっては非日常でキラキラしたものだった。
「ユーシャは何にするか決めた?」
「まだだよ。決めても内緒だけどね〜♪」
なんだかノリノリで楽しそうなユーシャ。うん、最近落ち込む姿も見るようになったけど、こんな風に楽しんでいるユーシャが1番好きだわ。
それから約30分。みっちりと店内を歩いて商品を見ていった。そして私はこれを購入することを決める。ちょっと堅いかな? でも私らしいかもしれない。
「リリー決まった?」
「うん。買ってくるわね」
ユーシャに見られぬよう隠してレジへ持って行く。会計後にはラッピングもしてもらった。白とピンク斜線が入っててオシャレ。魔界にも出店してくれないかしら。
購入後、お店を出て交換会へ。
「はい、リリーにはこれを。使ってくれたら嬉しいな♪」
「私はこれを。ユーシャも使ってくれたら嬉しいわ」
ユーシャから受け取ったものを開けてみるとそこには……
「こ、このペン!」
ピンクと白の、この店限定のペン。でもこれは……
「ありゃ! もしかしてこれ……」
かぶった! プレゼントがかぶったわ!
「ぷっ! あははっ! すっごい偶然〜」
「え、選び直してくるわ!」
ダッシュでお店に戻ろうとする私の腕をユーシャが掴む。
「その必要はないよ。だってこれを学校で使えば……お揃いでしょ?」
「ユーシャ……」
確かにそうね。お揃い……そう思うと嬉しいかも。
このペンは将来ずっと大切にすることを誓った。




