159話 また告白!?
なんだかいい感じの、今風に言えばエモい空気になって宿題回は無事終了した。
みんなが帰った後、アスセナと2人きりになる。
「姫様よかったのですか? 皆さんに今、打ち明けられて」
「……もちろん迷ったわよ。でもこれからずっとみんなと一緒に頑張るんだもの。黙ったままだなんて嫌じゃない」
「姫様……」
アスセナはまた泣きそうな顔を見せてきた。親友として、私たちだけの秘密を取られたのも少し引っかかっているのかしら。だとしたら少し嬉しいかもしれないわね。
「これからはみんなが理解をしてくれる。みんなに後ろめたい気持ちを持つことなく学校に行ける。そんな嬉しいことはないわ」
そう得意げに語っていると、突然視界がガクンと下がった。
「あ、あれ?」
「姫様も無理をされていたんですよ。よく頑張りましたね」
「あはは……これじゃ格好つかないわね」
もっと私は強いと思っていたけど、内心怖がっていた。だからこうやって打ち解けた後、安心から膝から崩れ落ちてしまう。
でもちゃんと言えたこと、それにはすごく満足しているし、肩の荷が降りた思いだ。このまま卒業までずっと背負って生きていくと考えただけでゾッとする。
「あ、それと聞いてよアスセナ!」
「はい。何でしょう?」
「今日ね、ユーシャに告白されたの! 私のことが好きなんだって! きゃー!」
私は単なるガールズトークのノリで話した。…………が、アスセナにとってはそれが地雷だったようで……。
「姫様ぁ? その話ぃ、詳しくお聞かせ願えますかぁ?」
「え? その……公園で私のことが好きだって伝えてくれたんだけど」
「それに対して姫様はぁ、どう反応されたんですかぁ?」
なんだろう……アスセナが怖い。だんだん毛も黒くなっていってるし。『暗黒羊』が半分くらい出てない?
「そういえば反応してない……あぁ、しまったわ!」
私が魔王の娘であることを伝えようと決心したあまり、肝心の告白に対するOKを伝えるのを忘れてしまったことに気がつく。そんなバカなことある!?
「それならばまだ勝機はあるか……」
ボソッと呟いたアスセナ。あんまり聞き取れなかったけど、なんだったのかしら。
「ならば姫様、私のお話も聞いてくださいますか?」
「う、うん。何?」
ここで「いや無理」とは言えない雰囲気ね。別に断る理由もないんだけど、なんか圧がすごい……。
「姫様、好きです!」
「……………………ええっ!?」
超あっさりとした告白がアスセナから飛んできた。
「っていうか何で気がついてくれないのですか! 普通こんなにアピールしていたら好きだって気がついてくれますよね!?」
アスセナが涙目で訴えてくるけど、残念ながら私には気付く余地すらなかった。
そりゃずっと親友だと思っていたんだもの。まさか恋愛面でも好かれているだなんて思いもしないわ!
「ご、ごめん……まさかアスセナまで私のことが好きなんて……モテ期?」
「最初から姫様は好かれていました。最初の皆さんの訪問の時から私もユーシャさんも姫様のことを好きでしたよ」
「嘘……私、鈍感すぎない?」
「だから怒っているんです!」
それは怒られても仕方ないというか、普通に私が悪いわね。
「それで? お返事をいただいてもよろしいでしょうか。……正直、結果はわかっているようなものですが、1%でも私に傾いてくれるならと思いを伝えました。さぁ、さぁ、さぁ!」
「ちょ、ちょっとその圧をやめてくれない……?」
さて、これは困ったものよ。まさかアスセナが……って感じだし、どう返答すればいいものかしら。
もし許されるのならユーシャともアスセナとも恋人になりたい。どちらのことも大好きだし。
でも、現実はそうはいかない。だから……
「ちょっとだけ、時間をもらってもいいかしら。私、ちゃんと恋愛のことについて向き合ってみるわ」
「……わかりました。待っています」
「ありがとう。助かるわ」
即決できない情けない私を、アスセナは受け入れてくれた。この責任は、これから向き合うことで果たしていくわよ!




