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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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158/186

158話 涙を見せないで

「リリーが……魔王の子……」


 ユーシャがポツリと呟く。私はその顔を、依然として見ることはできない。

 ユーシャは覚悟を持って私に告白をしてくれた。なら私も嫌われる覚悟を持って、自分のことを打ち明けないとフェアじゃない。

 自分なりに覚悟を持って伝えたはずだけど、やっぱりやめておけば良かったとも思う。ユーシャに嫌われると想像しただけで泣きそうだった。


「ごめんなさい……ずっと騙してた……」


「リリー、顔を上げて」


 ユーシャに促され、顔を上げる。そのユーシャの顔は、笑顔だった。


「どうして……笑っているの?」


「本当はね、リリーがただ者じゃないことはわかってたんだ。まさか魔王の子だとは思ってなかったけど」


「私の父は……魔王はユーシャのお母さんを!」


「うん。でもそれはリリーじゃない。リリーのお父さんでしょ? ならリリーは何も悪くないよ」


 そう言ってユーシャは私を抱きしめた。その温もりに、心が熱くなる。


「リリーが私の目標である『人間と魔族の和解』に協力してくれるって言ったこと。あれは本心でしょ?」


「もちろん! あれに嘘偽りは一切ないわ!」


 そこは必死になって伝える。そこは私の根幹になる場所。ユーシャと私を繋ぐものだから。


「じゃあ私たちはこれからも仲良くしないとじゃない? だって、人間と魔族の和解を目指している私たちが仲良くなくなったら、よくわかんないもん」


 そう言ってユーシャはニッコリ笑ってみせた。聞きたいことはいっぱいある。

 どうして……大好きなお母さんを殺した奴の娘を、そんな笑顔と愛で包めるのか。

 どうして……私なんかを好きになってくれて、魔族だってわかっても変わらずにいてくれるのか。

 どうして……ずっと騙していたのに、それを咎めもしないのか。


「どうして……」


 私の目からポロポロと涙がこぼれ落ちてくる。この半年間、本当はずっと心が痛かった。みんなと仲良くなればなるほど、自分が人間ではなく魔族であることを恨んだ。みんなと笑顔を共有すればするほど、魔王の娘である境遇を恨んだ。

 でも、ユーシャは違った。そんな私を笑顔で受け入れてくれた。


「言ったでしょ? リリーが好きだから。2回も言わせないでよ、恥ずかしい……」


 本当に照れ臭そうに、顔を赤らめるユーシャ。


「ありがとう、ユーシャ」


「うん。あ、このことはちゃんとみんなにも言おうね。隠されたままだと、辛いだろうから」


「えぇ。もちろん」


 ユーシャは「よっ」と声をあげてベンチから立ち上がった。私がユーシャを呼び戻しに来たはずなのに、なぜか逆に元気付けられた気がする……というかそうだ。


「じゃあ帰ろっか。……って、勝手に飛び出した私が言うのもアレなんだけど……」


 テヘヘとユーシャは笑ってみせた。


「私も飛び出したようなものだし、同罪よ」


 それから家に帰り、とりあえずイビルちゃんには部屋に帰ってもらうことにした。みんなの前で魔界の魔法、『インソノライザー』って言う防音魔法を使い、盤石の体制で私のことを話した。アスセナは途中で泣きそうな顔をしながら私を見つめてくる。


「…………以上が、私がみんなにずっと隠していたことよ。ごめんなさい」


 素直に、頭を下げて謝罪した。これが私が示せる最大限の誠意。


「頭上げろよリリー。似合わねぇぞ」


「そうですよ。リリー様が何者であろうと、私たちのリリー様であることに変わりはありません!」


「ま、魔族の方というのは驚きましたが……大丈夫です! 最近私、強くなりましたから!」


「みんな……」


 感動して泣きそうになる。でもそんなことをしたらまたみんなに気を遣わせる。グッと堪えて笑顔を作った。


「うん、ありがとう、みんな!」


 やっと言えた私の秘密。これからどうなっていくのか、まだわからないけど……やっと心のつっかえが取れたわ!

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