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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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142/186

142話 決勝戦⑥

「勝てた……!」


 まだビエントだけだけど、勝てたわよ!

 みんなに報告しようと振り返る。でも、そこに人影はなかった。


「え……」


 私は自然と声が漏れる。瓦礫の上に立っていたのは、メラン。ユーシャでも、ヒラでも、シルディでも、アルチャルでもない。


「そんな……何で……」


「私はこのランキング戦に賭けていた。お前たち仲良しチームと違って私は……勝つことに、専念する。その結果だ」


「姫、大ピンチのようだね」


 セレナの言う通り、私だけ残ってしまった。1人で戦うことなんて想定していない。

 私たちはパーティで勝つことにこだわりすぎて、こうした事態から目を背けていた傾向がある。こうなったらもう……私たちに勝ち目なんてないのかもしれない。

 でも……諦めるわけにはいかないでしょう? だってユーシャにハグのお返しまでされたんだから!


「諦めていない目をしているな。……屠る」


 メランが双剣を持ち、瓦礫を蹴って私の方へと向かってきた。


「ぐっ……!」


 足元の瓦礫を持ち上げてガードするので手一杯。剣術系には『ブランクウォール』も効き目が薄いから、対処が難しいのよね……。


「『剣術:淀斬り』」


 メランは片方の剣を手放して投げつけてきた。これに当たれば大ダメージを負うのは間違いない!

 うまく体を捻って避ける。これでメランは剣を一本失った。これならまだチャンスは……


「甘い」


「なっ!」


 メランは私が持ち上げた瓦礫を踏み越えて投げた剣に追いつき、今度は後ろから襲ってくる。これは……避けられない!


 ザクっ! と首の切られる音がした。私のHPは0となり、意識が現実世界に戻る。


「はっ!」


「リリー……」


 ヘルメットを外すとユーシャ、ヒラ、シルディ、アルチャルが私を心配そうに見つめていた。……そう、負けちゃったのね。

 その後、私たちは決勝戦を見届けた。セレナとメランの一騎打ちは20分以上にも渡って続き、最終的にはメランが勝利を収めた。こうして、私たちの期末ランキング戦は苦い結果で終わった。


 帰り、みんなは当然のように無言で歩いていた。空気は重く、気まずい。


「じゃあ、アタシこっちだから」


「私もここで失礼します」


「お、お疲れ様でした」


 シルディ、ヒラ、アルチャルと別れ、ユーシャと2人きりになる。

 重い空気が人数が減ったことでいくらか軽くなった気がする。だからようやく、私の方から口を開けた。


「ねぇユーシャ。ほんの少しでもプレッシャーは抜けたかしら?」


「え?」


「ファミレス会議の後言っていたでしょ? プレッシャーを感じるって」


「……そうだね。負けちゃったことはいいことじゃないけど、変な重りは無くなったかも」


「そう。それなら今日の負けにも意味があったわね」


 そう言って私はユーシャに手を差し出した。ユーシャはその手をしっかり掴んでくれる。


「リリーの手、あったかいね」


「そうでしょう?」


 これで私たちは夏休みになる。たぶん休み期間中にもみんなとは会うと思うけど、学校としては一区切りついた形になる。


「夏休みが明けたらまた頑張りましょ。私たちはまだまだ強くなれるわ」


「そう……だね。うん、頑張ろう」


 そう言ってユーシャは笑顔になってくれた。その顔を見ると、安心する。最近はユーシャが笑ってくれる機会が少なかった気がするもの。やっぱり私、笑顔のユーシャが大好きだわ。


「それじゃあね、リリー。また」


「えぇ。夏休みにも会いましょう」


 手を振ってユーシャと別れる。1人になるとふつふつと悔しさが込み上げてきた。これはアスセナに癒してもらうしかないわね。

 そうして私は足早に家へと向かうのでした。




 パーティポイント

 ランキング戦決勝進出+5pt


 32pt+5pt=37pt

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