137話 決勝戦①
「さぁ、ついにランキング戦、決勝戦ですよ」
先生が手を叩いて、教室に入ってきた。このクラスで決勝に残っているのは私たちのパーティだけ。
ランキング戦の期間はライバルだったけど、決勝まで残ればみんな応援してくれる。心強いわね。
「さて、我らが1組からはリリーさん、ユーシャさん、ヒラさん、シルディさんが決勝戦に臨みます。代表してリリーさんに意気込みなんか聞いてみちゃいましょうか」
「え、えぇ!?」
またアポ無しで唐突な提案を……。と思いつつも自然と足は教壇に向かっていた。ちょっとだけこういう決意表明みたいなの、憧れていたのよね。魔王の血筋かしら……。
「えっーと、決勝戦に臨むリリーです。私たちは3組のアルチャルと一緒に、1組を背負うつもりで頑張ってきますので、応援よろしくお願いします!」
短い決意表明だったけど、なんとか一度も噛まずに言えたわ。ユーシャが音を立てない拍手を送ってくれる。可愛い。
朝の学級会はこれで終わり、私たちはそのまま仮想戦闘空間室へ移動することになる。
アルチャルと合流し、仮想戦闘空間室に入った瞬間、強い殺気が私の肌をびりつかせた。
「やぁ、待っていましたよ。あなたたちを倒す、その時をね」
緑髪ポニーテールを揺らしながら、私たちとすれ違うときにビエントは言葉を吐いた。
黒髪短髪のメランという少女はすでにヘルメットを装着している。
セレナは……まだいない。もしかしたら今日は体調が悪いのかしら……。
そう思っていたらゆっくりとセレナは歩いて部屋に入ってきた。
「おはよう姫。今日はいい試合にしよう」
そう言ってフラつく足で椅子に座り、ヘルメットを装着した。あんまり体調は優れていないみたいね……。たぶん仮想空間ではあまり体調に左右されないのだろうけど。
ヘルメットを被り、椅子に座るセレナを、ビエントを、メランを見つめる。
今からこの3人の強敵と戦うんだ……そう思うと、胃が痛くなる。
ふと、私の左手に柔らかくて温かいものが触れたのを感じた。見ると、ユーシャの左手だった。
「ユーシャ?」
「リリー、肩の力を抜いて。大丈夫だよ。私たちはリリーを信じてるし、どんな結果が出ても受け入れる。もちろん目指すは1位だけどさ。でもそれよりもまず……楽しもうよ。ね? これはお返し」
そう言ってユーシャは私のおでこにおでこを重ねてきた。その時キスをするんじゃないかと思って嬉しい気持ちと焦る気持ちが混ざってしまう。たぶん、今顔は真っ赤かな。
「オラオラ、なにイチャついてんだよ」
「さぁ、行きましょう。私たちの勝ちに向かって!」
「こ、今回はすぐに斬られないようにしましゅ!」
シルディも、アルチャルも、ヒラもみんなが声をかけてくれた。たしかに、私は肩に力が入り過ぎていたかも……。反省ね。
私はユーシャを抱きしめる。ユーシャの体がビクッと震えたのを感じた。
「ありがとね、ユーシャ」
「り、リリー!? これは恥ずかしいよぉ……」
ユーシャを5秒ハグして、気持ちを落ち着かせた。私たちがビエント、メラン、セレナに勝てるかはわからない。でもそれが面白い。そういう楽しみを私は見つけて、リラックスして戦うわ!
「よし、行きましょうか」
ユーシャから離れるとユーシャの顔の方が真っ赤だった。思ったより照れ屋さんなのね。
ヘルメットを装着し、準備する。
「それでは決勝戦を開始します。では……開始!」
先生の声とともに、体が引っ張られる感覚に落ちる。やっぱり何度体験しても気持ち悪い。でも……ユーシャがさっき力を分けてくれるから乗り越えられそう!
目を開くと、もう2回も見た街中だった。
見渡せば、私のパーティメンバーが私を見つめている。
「行くわよ。基本フォーメーション!」
私たちの決勝戦が始まった!
決勝戦が終われば夏休みです。季節感0ですが……お許しを




