132話 第二回戦①
仮想戦闘空間室に入って、ヘルメットを被ったら仮想戦闘空間にGO! 相変わらずの気持ち悪い引っ張られる感覚に酔いそうになるけど、少し耐えたらすぐに街中に出た。
「よし、いくわよ、みんな!」
「うん!」「おう!」「は、はい!」「はい!」
前回のセオリー通り、なんとなく高台へ向かう。他のパーティも似たような作戦だったのか、ぞくぞくと上へ向かっていくのが横目で見えた。
ならばあえて下から攻撃するか……と思ったけれど、アルチャルの良さを活かすことを考えたら上を狙うしかない。
家の屋根に登った瞬間、4つのパーティが同じく屋根上を取っていることを確認した。残る1パーティは……セレナね。1人であることを活かしてどこからか奇襲をかけてくるつもりかしら?
セレナに警戒しつつ、眼前にいる4パーティと戦う決意をする。あわよくば漁夫の利を狙いたかったけどそう上手くはいかないようで全員こちらを向いていた。
「リリー様、こちらいつでも狙撃可能です」
「逆に狙撃されたら守ってやるよ」
「みなさんへの支援準備、できました」
「突っ込むならいつでもいけるよ!」
みんな……いつのまにか私が指示しなくても準備できるようになってるじゃない! やっぱり私がリーダーとかしなくても、このパーティはうまく回っていくわね。嬉しいような、ちょっと寂しいような……。
「よし……アルチャル、右のパーティを狙撃。赤髪の子ね」
「かしこまりました! はあっ!」
アルチャルが指示通り赤髪の少女の脳を射った。頭に矢が直撃すると流石にHPは0になるようね。現実でも死ぬんだから当然といえば当然だけど。
「リリー様、なぜあの少女を?」
「あの子はモニターで見ていたけど指揮官だった。まず落としたいと思ってね」
「な、なるほど……」
ただ試合を見ているだけのようで、ちゃんと考えてみていたのよ?
狙い通り赤髪の子のパーティは混乱に陥っている。私たちにおけるユーシャやアルチャルといった第2の指揮官はいないようね。
このまま乗り込もうかと思ったけれど隣にいたパーティが乗り込んで倒してしまった。手間が省けたといえばそうだけど、なんかいいとこ取りされたみたいで少しだけモヤモヤする。
さぁ次のパーティを狙うか、と思ったところで上空が白く輝いた。これは……セレナの魔法!
どこから……と思ったけど見当たらない。とりあえず今は防ぐしかない。
「シルディ、ヒラ!」
「『ブースト』」
「おらぁ! 『シールド』」
強化された盾で白い波を防御する。私はその盾に隠れながら位置を探る……そうか! あの鉄塔!
まさかセレナがそんな目につく場所から攻撃してくるなんて思ってもいなかったわね。ちょっかいはかけたくないけど、こう何回も強力な魔法を使われると厄介だし……
「アルチャル、鉄塔に向かって全力で矢を射ってくれる?」
「はい。『ブースト』『バーニング』」
アルチャルの得意技。炎と強化を織り交ぜた究極の一矢。これがハマれば強いわよ。
白い衝撃波が引いていく。シルディの盾が解けた瞬間、アルチャルは叫んで矢を射った。
まっすぐ飛んでいった矢は鉄塔に向かっていく。セレナの姿を確認した。予想通りそこにいたわね。さぁ、どうするの?
そう思った瞬間、セレナは鉄塔から落下。完全に身投げした形になる。
「なっ!」
流石にこれには驚いた。落下ダメージで退場になりそうだけど……どうなのかしら。
「よそ見かい!」
「リリー!」
キンっ! と甲高い音が響く。奇襲してきた別のパーティにユーシャが私を守ってくれた。
「ありがとうユーシャ。助かったわ」
「ううん。大丈夫だよ」
6パーティで戦うってのはやっぱりてんやわんやになるわね。さて、ここからどうしたものかしら……。




