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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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121話 潜影実習⑥

 マジックパペット9体を前に、私とセレナは堂々と戦っていた。

 今この時間に、ユーシャたちはどうなっているのか、気にはなるけど今はこっちに集中しないとやられる。


「いくわよ……『バーニング』」


 炎の中級魔法でマジックパペットを焼き尽くそうとする。


「甘いですね。マジックパペット陣形:守の陣」


 また守りの形……! セレナの魔法よりは威力が低いから、私では倒せないかもしれない。


「王子もまた、姫を支えよう。『ヴァイス!』」


 私の炎と、セレナの白い波動が混ざり合い、桃色の波動となった。すごい……こんなことあるんだ。

 カランカラン、とマジックパペットは崩れていく。一体、また一体と倒れていき、残っていた9体全てを桃色の波動で吹き飛ばした。


「まさか……これほどとは」


 先生の額に汗が溜まっているのが見えた。


「私たちの勝ちですね、先生」


 私が先生に問うと、先生はコクリと黙って頷いた。


「よし、なら先へ行こうか、姫」


「え、えぇ」


 王子様&お姫様はいいけど、人前でやるとなるとちょっと恥ずかしいってのが本音ね。先生もなんだか困惑気味だし……。


 先へ進み、ようやく学園長室の前へ。セレナと目を合わせ、頷く。同時にドアを開けた。

 パァン! パァン! とクラッカーが鳴った。


「congratulations。おめでとうございます」


 アルティス学園長が拍手をしながら出迎えてくれた。その両手にはジュースが持たれており、私たちに手渡してきた。


「えっと……これは?」


「潜影実習、クリアのご褒美です。パーティポイント5ptと、私からはそのジュースを」


「あ、ありがとうございます」


「どうも……」


 私もセレナも、学園長室で何か最後の戦闘が起こると思っていたから何だな拍子抜けしてしまう。最悪アルティス学園長との戦闘も覚悟していたというのに。


「どうかしましたか? 少し意外という感情を感じ取りましたが」


「い、いえ! ただ……まだまだ試練はあるかと思っていたので」


 私が素直にアルティス学園長に言うと、アルティス学園長は薄く笑って答える。


「この潜影実習は、まず違和感に気がつくこと、そして周りに流されないこと、違和感を違和感のまま放置しないこと。その能力を確かめるためのものです。だからお二人が違和感に気がついた時点で、この実習のほとんどを終えているのですよ。一応、最後に謎解きと戦闘もひとつまみありましたけどね」


 ひとつまみ……と言うには少し度が過ぎる気がしたけど。初めて先生と戦ったし。謎解きもまぁまぁ頭使ったし。


「これにて潜影実習は終了です。この実習は誰も気が付かずに終わる年もあるらしいですから、今年は上出来だったと言えるでしょう。胸を張ってパーティメンバーの元へお帰りください。そしてドヤ顔なりなんなりと」


「し、しませんけど……」


 微妙な感性の違いからか、私たちとアルティス学園長とは少しだけ壁がある気がした。

 一礼して、学園長室から出る。


「あはは……楽しい人だね、学園長って」


 セレナがそう言って笑った。


「そうね。……すっごく強いけど」


「さて姫、ここで私たちの協力関係はお終いだ」


「そうね。明日からは……またライバルよ。でもセレナ。あなたの名前は覚えた」


「うん。私もリリーのことは覚えたよ」


 私はセレナから求められた握手に応じる。セレナとはライバルなれど、友達。そして私の王子様でもある。


「体調、良くなってね。全力のあなたと戦ってみたいわ」


「ふふ、どちらが勝つか、楽しみだね。なんとか整えてみるよ」


 そう言って別れる。

 グラウンドに出るとユーシャたちが駆け寄ってきた。


「ねぇねぇリリー、何があったの!?」

「突然5pt入ってるって先生に言われたぞ?」

「今まで何をしていたんですか?」

「また私、迷惑かけちゃいました?」


 4人の顔が、なんだか久しぶりのものに感じた。私はゆっくり微笑んで


「内緒よ」


 ちょっと意地悪に、そう答えたのでした。

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