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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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117話 潜影実習②

「取り組むって言ったって……何をするの?」


 保健室のベットの上、薄いカーテンを挟んでセレナと会話をする。顔も見えない相手と実習について話すなんて、なんだか不思議な気分ね。


「さぁ。それは私にもわからないかな」


「でも違和感は覚えている……のよね?」


 そう問うとセレナは小さな笑い声を漏らした。


「うん。みんなポケーってしちゃってて、おかしいな〜って思ったのが最近のこと」


「……セレナ、あなたパーティメンバーは?」


「……私は体が弱いからパーティは組んでないの。私と組むと、絶対誰かに迷惑をかけちゃうから」


 体が弱い……だから保健室にいたのね。てっきり私と同じで、あえてみんなの流れに乗ってみて様子を見ているのかと思ったわ。


「無神経なことを聞いてごめんなさい」


「謝る必要はないよ。真面目だね、リリーは」


 セレナはまた小さく笑ってみせた。よく笑う子……なのか、それとも体が弱いのを笑いで上塗りしているのか……どちらなのかしら。


「とりあえず……保健室の外へ出てみる? どう? 出られそう?」


「う〜〜〜〜〜ん………………………」


 とんでもない長考。たぶん自分の体調と相談しているのよね。


「たぶん大丈夫かな〜。行ってみようか」


 ガラッとカーテンを開ける音がする。私もカーテンを開けて、セレナを見てみた。

 白い髪……ギリギリ肩にはかからないくらいの長さで止まったその髪は、アスセナとはまた違った白い輝きを放っていた。


「じゃあ行こっか。冒険だね」


「あても何もない冒険だけど、ね」


 セレナはニッと笑って歩き出す。しかしクラっと私にもたれかかってしまう。


「ちょっと、大丈夫なの?」


「う、うん……ごめんね。まだ大丈夫な方だから」


 そう言って自立し、保健室のドアの前まで歩いて行った。

 どうしてこんなに体の弱い子が勇者学校に来たんだろう……。疑問は尽きない。でも今はとりあえずついて行くしかなかった。


 この時間、みんなはグラウンドで実習中。それをサボって歩いているわけだから、見つかったら大変なことになる。だからこそこそと廊下を歩いて行く。


「ふふ。なんだか潜入ミッションみたいでワクワクするね」


 セレナは額に汗を蓄えながらもニッコリと笑った。本当に大丈夫なのか不安になるけれど、大丈夫という本人の意思を尊重するするほかない。


 職員室から逃げるように歩いて行くと、自然と体育館の方へ出ることになる。


「リリー見て! あれ!」


「あぁ……どうやら、本当に私たちは何か試されているみたいね」


 体育館の入り口付近に紫色の炎がゆらりと揺れている。まるで私たちを誘い込むかのようにゆらゆらと燃えていた。


「行こうか、リリー」


「そうね」


 私たちは違うパーティ。でも……今は唯一の仲間とも言える。

 それなら協力するほかない。たぶんセレナはそういうこと関係なしに行動していると思うんだけど。私はパーティメンバーを背負っている分、責任がある。


 体育館の中へ入って行くと、机と、その上に白い紙がのっていた。セレナと顔を見合わせて頷く。近づいてその紙を見てみると


 ≪この紙を見てみるという

 ことは君たち

 は第一の関門を通過したとい

 うことだ。

 それが運よくなのか

 、確固たる信念を持っ

 てのことなの

 かはわからない。でも君はこの

 紙を見た。その事実

 を変えることはできない。

 さぁ、実習を始めよう。君たち

 が今日の15:00までにミッションを遂行

 する。それがクリア条件だ。もしクリアできたらパーティポイントを5pt加算を約束しよう≫


 と、書かれていた。15:00まで……って、あと1時間と少ししかないじゃない!


「これは……あんまりゆっくりしている時間はなさそうだね、リリー」


「そうね……でも、その方が燃えるじゃない?」


 私たちはこの時初めて、お互いに笑いあった気がする。

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