108話 強者トーク
「ば、バカな……そんな話があっていいものか!」
ビエントが隣で叫んでいるのが見えた。というか、また私たちを煽るために近くにスタンバイしていたような近さね。
「バカな話? 玉の色を変えちゃダメだなんてルール、聞いていないわよ」
「くっ……! なるほど、どうやらちょっと舐めすぎていたみたいですねぇ!」
もちろんビエントは玉が0個という判定だから、みんなと同じく最下位。私たちだけが1位になった理想の結果ね。
「……次のランキング戦、楽しみにしていますよリリーさん。あなた達の伸びきった鼻、折ってやりますから」
「鼻を伸ばしたつもりはないけど……宣戦布告なら受けて立つわよ」
ビエントからの挑戦状をそっと心の中にしまう。今はまだランキング戦ではない。今は……体育祭だ! まだ最後の競技が残っている以上、気を抜けない。私たちは他の競技で上位に、ビエントはすべて1位。でもこの玉入れでは私たちが1位、ビエントは最下位になった。これで次の水風船チャンバラで勝敗が分かれるかもしれない。
でも……まだ懸念材料はある。どうやらその材料さんがこちらに近づいてきているわね。
「ハロー! すっごい作戦思いつくね、誰の指示?」
「自分から名乗り出てくれると嬉しいにゃん?」
青髪のふんわりした女の子と、赤髪の猫のような女の子が近づいてきた。私はこの体育祭、上位の人たちをずっと観察してきたけど、この2人はずっと2位につけていた。そう、実力者ということよ。
「あ? 誰だお前ら」
シルディに声をかけちゃったのが運の尽き、ね。私から名乗り出ないと会話することは難しそう。
「そう喧嘩腰にならないの。ごめんなさいね2人とも。私よ」
シルディは明らかに不服そうだったけど仕方ない。私としてはこの2人と一度言葉を交えておきたかったし、向こうから来てくれて願ったり叶ったりだわ。
「そっかそっかー、君か〜! ふ〜ん……」
「確かに頭良さそうだにゃん♪」
私のことをジロジロと見てくる2人。そろそろ名乗って欲しいわね……。
「申し遅れたね、私はメルティ」
「にゃんはにゃんだにゃん」
……メルティの方はわかったけど、にゃんは何だって?
「あは……ごめんね、この子はニアン。にゃんって呼んであげないと怒っちゃうから気をつけて」
こそっとメルティが教えてくれた。なんか……癖の強い子ね。メルティの方はそうでもないのに。
「それで? 何の用です?」
アルチャルもちょっと強めの口調で対応する。この体育祭期間、やっぱり少なからずピリピリするのは仕方ないことよね。ユーシャとヒラは落ち着いているようだけど。
「そう警戒しないで欲しいかな〜。ただ普通にすごいな〜って思ったから来ただけだよ」
「煽ってやろうとか、そんな気持ちは一切ないにゃん!」
その言葉が少し煽りを含んでいることを、おそらくこの子達は知って言ってるんでしょうね。可愛い顔して、小悪魔みたいな2人だわ。要注意ね。
「お褒めの言葉、感謝するわね。でも、もうすぐ次の種目が始まる……無駄話はこれくらいにして、そろそろ備えたらどう?」
「そうだね〜、にゃんちゃん、行こうか?」
「行くにゃー!」
謎のハイテンションを見せたまま2人はグラウンドの端の方へと歩いて行った。私たちの偵察……というより、興味を初めて持ったから来た、という純粋な感じを受けたわね。
「みんな、ここまで戦ってくれてありがとう。最後の種目……絶対勝つわよ!」
「「「「おー!!!!」」」」
どんな強敵か知らないけど、この水風船チャンバラは直接対決。ここで勝って黙らせてやるんだから!




