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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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107話 体育祭④

 ビエントが去った後の私たちの雰囲気は最悪に近かった。暗く重苦しい雰囲気が私たちを包む。

 こんな雰囲気、前にも味わったわね。確か……ランキング戦の時にアルチャルが私たちのクラスに来た時だったっけ。あの時はどうなることかと思ったけど、今ではアルチャルも仲間に加わった。何が起こるのかわからないから面白いのだけど……ビエントとは仲良くなれるのかしら。


 とりあえず首を振って暗い考えを吹き飛ばす。リーダーの私が雰囲気に飲まれてどうするの! ここはみんなの士気を上げないと!

 パン! と大きく手を叩き、みんなの注目を集める。


「みんな、この悔しさは競技で晴らすわよ。次の玉入れと、最後の水風船チャンバラ、何が起こるかわからないわ」


「そう……だね、そうだよ! まだまた2種目残ってるんだから! どっちも1位、取ろ?」


 よし! ユーシャは元気を取り戻してくれたわね。あとはシルディとヒラとアルチャル。この3人はユーシャが元気になったことに呼応するように元気になってくれるでしょう、きっと。


「そうだな、次勝とうぜ!」


「きっと私たちなら乗り越えられます!」


「リリー様とユーシャ様のおっしゃることなら間違いないでしょう!」


 よし! やっぱりユーシャが元気になると周りのみんなも元気になる! これをユーシャの元気伝播の法則と名付けましょう。


「それでは玉入れを始めます。各パーティに5つ、玉を配布しますので少々お待ちください」


 綱引きをしたからみんなグラウンドの中央付近に集まっている。だからこのまま玉入れを始めるようね。私が代表して先生から玉を受け取る。その瞬間、玉は黒色に変色した。


「ほんと真っ黒だね〜。でもなんでだろ? リリーの髪が黒いから?」


「どうかしらね。このパーティでは黒髪って私だけだし、あんまり関係ないんじゃない?」


 ユーシャはピンク、シルディは銀、ヒラは栗色、アルチャルは金髪。慣れちゃってたから忘れていたけど、改めて見るとカラフルね。


「では玉入れを始めます。カゴが召喚されましたのでそこへ玉を投げ入れてください。それでは……スタート!」


 始まった! ここからは指示出しをしないと!


「ユーシャ、ヒラ! 玉拾いをするわよ! アルチャルとシルディはカゴに入れて!」


 玉を入れることができるのはアルチャルとシルディのみ。私とユーシャとヒラはおとなしく玉拾いに回る。


 時間が過ぎると共にカゴの中はカラフルになっていった。私たちの黒、誰かのパーティの緑や赤、白、紫にオレンジなど様々。最後に自分たちの色の玉が多ければ勝ちなのよね……


 ここで私はカゴを見つめてみる。よく考えたらここまで正攻法で勝ってきた種目はない。ビエントだってねじ曲がった作戦を立てて勝ってきた。きっとこの種目でも何かしらやってくるはず。チラッとビエントの方を見てみる。当然のように他のパーティから玉を風魔法で奪い取って風魔法で投げ入れていた。……やるわね。


 私たちは何も思いつかないまま時間だけが過ぎていく。

 今一番カゴに入っているのはビエントの緑色の玉だ。私たちの黒い玉は……たぶん3位4位くらいだと思う。このままだとずっとビエントにこの体育祭を持っていかれちゃう。そうはさせたくない。けどどうすれば……


 頭をひねって考えるのよ、私。真っ直ぐにじゃなく、少し曲がった思考をするの。時にはそれも必要になってくる。だから学校側も穴だらけのルールを作っているんだわ。


 …………ハッ! そうか!


「みんな、お疲れ様。この勝負……私たちの勝ちよ!」


「え……どういう……」


『ラスト5秒でーす』


 先生からのアナウンスを聞いた瞬間、右手に魔力をためる。さぁ、一か八かの勝負、いけぇ!


「『バーニング!』」


 カゴに向かって炎の中級魔法を放つ! 狙いはカゴの中の玉!


「なっ! リリー、どうした!?」


「こうするのよ!」


 カラフルな玉たちは一斉に燃え上がり、黒い炭へと変わっていった。つまり今カゴに入っているのは黒い玉のみ。だから……


「ふむ、勝者、リリーパーティ!」


 私たちの……勝ちよ!

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