105話 体育祭②
鉄球転がしを7位で終えた私たち。次の種目は……徒競走だっけ。
「よろしくね、ユーシャ」
「うん、任せて!」
元気にVサインを作ってみせるユーシャ。可愛い……。
「それでは第2種目に移ります。各パーティの徒競走代表はスタート位置へ、それ以外のメンバーは応援席へと下がってください」
さすが勇者学校のグラウンドね。いきなり魔法陣が現れて模様が変わっていく。さっきまでの競技の白線といったものが消え、新しく応援席と徒競走のコースが生まれた。
さて……この種目は基本的に魔法を使っての加速が必須になる……っていうのが私たちの考え。でも鉄球転がしでは想像の上を行くものがきた。だとすると奇抜な作戦に出てくるパーティがいるかも。頼んだわよ、ユーシャ!
念を送っていたらルール説明担当の先生が応援席の前に来て今から話しますよ〜オーラを出し始めた。
「えー、観戦する皆さんにお伝えします。競技中に応援席から魔法等を使用して妨害・支援を行った場合はペナルティとしてパーティポイントをマイナスさせていただきます。パーティポイントが0のパーティはマイナス値まで下がりますので0だからといって何をしてもいいわけではありませんのでご了承を」
なるほどね……応援席からはレースに干渉できないのか。応援の声を上げること以外できない……なんとも歯がゆい話ね。
「それでは競技が始まるまでしばしお待ちを」
一礼して先生はスタート位置まで行ってしまった。
「なぁリリー、ユーシャ達はどれくらい走るんだ?」
「ちょうどグラウンド1周だって。私たちのいる位置はちょうど真ん中ってことになるわね」
正確な距離まではわからないけどまぁまぁな距離。全力疾走したら最後にダレるのは間違いない。そんな中でユーシャがどんな走りを見せてくれるか、見ものね。
スタート位置に続々と走者が並び出した。いよいよスタートね。ユーシャは……真ん中の方でスタンバイしている。怖いのは両翼が前に出てユーシャの進路を防がれることかしらね。
「位置についてー! よーーい、ドン!」
始まった! それと同時に応援席からは割れんばかりの応援の声が出てくる。私たちも負けてられないわよ、とみんなにアイコンタクトを送る。
「頑張れユーシャ!」
「負けるなよー!」
「ふぁ、ファイトです!」
「頑張ってください!」
それに応えるかのようにユーシャは先頭集団についた。順位は……10位くらいか。やっぱりみんな魔法を駆使して加速したり妨害したりを始めている。ユーシャはそこをただの脚力だけでカバーしているようね。
ユーシャのピンク髪のなびきにほんの少し胸がキュンとしたのを覚える。いけないいけない。ユーシャは本気で頑張ってくれてるんだからそんな煩悩は捨てないと!
そろそろユーシャたち先頭集団が応援席の前に差しかかろうとしている。ここからは応援のボルテージも一気に上がっていった。
「ユーシャ! 頑張れー!!」
私の声にニッと笑って反応した気がする。ユーシャはちょっとだけ加速してみせた。お願い……一つでもいい順位で終えて!
走者たちはラストスパートをかけ始める。風魔法で加速する者、火の魔法でターボにする者、土の魔法で妨害する者など様々。そんな中でユーシャはまったく魔法を使わずに最終局面まで来ていた。
追い抜かれそうになるとユーシャも最後の力を振り絞ってスパートをかけ……なんとか5位でフィニッシュした。
魔法も何も使わずに5位になるなんて……すごいじゃない、ユーシャ!
「ありがとー!! 良かったわよ、ユーシャ!」
応援席から思いっきり叫ぶ。ユーシャが頑張ってくれた分、他の競技でもいい成績を残さないと。さぁ、次もやってやるわよ!




