74話 よかったら使ってください
木曜日になりました
木曜日6:55
今日は開発センターに行く日だ
鞄に化粧水(仮)を数本入れて、朝の迎えを待つ
暫くすると車が来た
今日の迎えは凛だった
「おはようございます!!さぁ、車にお乗りください!!」
後部座席のドアを開けて乗車を促す
「おはようございます。今日も元気ですね。運転よろしくお願いしますね」
「おまかせ下さい!!安全運転でお送りします!!」
相変わらず朝から元気なメイドだなぁ···
忘れないうちに、鞄から化粧水(仮)を取り出す
「あぁ···これ試作品なんだけど、よかったら使ってください。使い方は車内で説明します」
凛に化粧水(仮)の使い方を説明すると、とても喜んでくれた。
失礼ではあるが、凛も気にしているようだった。
しかも、「市販の物では合わないので、かなり高価な化粧水を特注で買っている」とも言っていた。
「もし肌に合えばまた渡す」と約束もしたよ。
そして何事も無く開発センターに到着し、社長室に向かう。
「おはようございま(ドスッ!!)ぐふっ!!」
扉を開けた瞬間、腹に何かがぶつかった!!
「うぐぉぉ···油断していたところに···何が···って!?社長!?なにするんですか···」
僕のお腹に見事な『低空タックル』を仕掛けて来た正体は『雨宮社長』だった
「志希さぁぁぁん!!お願いがありますぅぅぅ!!」
泣きながら腹部に叫ぶのはやめて欲しい···腹の中に響くから···。
あと、どさくさに紛れて嗅ぐのをやめて!!
「何があったんですか?とりあえず離れてから説明して下さい。あと、嗅がないで!!」
暫くすると落ち着いたのか、社長は離れてくれた。
離れる時に口元を拭っていたのは見なかった事にする···
「それで···何があったんですか?」
「実は···金曜日の夕飯の『生姜焼き』と土曜日の『肉汁』を食べた人達から···」
細々と説明される···
「つまり···『また作って欲しい』と言う事ですね?」
僕の問いに無言で頷く
「それは構いませんけど···何であんなに焦っていたんです?普通に言ってくれれば、また作りますよ?」
素直に言ってもらえれば、こちらは断る事もない
「それが···あの後、皆が顔を会わせる度に言って来るので···」
志希は言われた事を想像して、理解した。
あれから今日までずっと言われていたのだろう···
社長は胃のあたりをさすっている···
相当参っていたのだろう···ならばあの行動(低空タックル)も理解出来る···
とりあえず鞄から化粧水(仮)を取り出し、社長に渡す
「社長。これを飲んでみて下さい。今の胃の痛みが緩和されますよ?」
「そうですか?では···(ゴクゴク)···美味しいですね。爽やかなミント系の香りと微炭酸でやさしい甘味が飲みやすいです。心なしか、痛みが無くなったような気もします。ありがとうございます。」
どうやらちゃんと効いたようだ
もう一本取り出し、化粧水(仮)の説明する
そして鞄から数本取り出してテーブルに置き、「皆で使って下さい」と社長に渡した
今度会った時に感想を聞かせてもらおう
そして仕事をこなし、その日の業務は終わった。
今日のおやつはオレンジジュースのゼリーを出したよ
冷蔵庫に大量にあったからね
次回『万能薬でいいや』




