29話 店長と話してみます
話の続きです
「ますます理解不能だね。」
何でそんな大···いや、超巨大企業の一部の社長が地域密着型のスーパーのバイトを秘書にしたがるのか?
普通なら怪しくて警戒されるよ?
現に警戒しかしてないし?
本音を隠しているのが見えるよ···
何が目的だ?
余程頭の中がお花畑でないと「はい。喜んで!!」なんて言う訳がない···
彼女は本当に社長なんだろうと思う。(いや、名刺見たから社長なんだけど···なんか胡散臭いと言うか、何かを隠しているのが見える
こちらは冴えないバイト君で、相手は女社長。漫画じゃあるまいし、そんなうまい話あっても詐欺かと真っ先に疑うわ!!
しかも以前のやりとり(その後公私共に大変だった)でこちらの印象は悪いから余計だよ···
「私は本気で貴方に秘書になって欲しくてスカウトしてます。
はっきり言うと『能力も資格もない人を雇う』
···しかも『秘書にする?』
『会社を潰す気か?』と思われるでしょう。
当然です!!実際『仕事だけ』なら、私だって有能な秘書を雇いますよ!?
でも、私は貴方を探してスカウトしてます。
この意味わかります?
私が求めているのは『仕事が出来るだけのつまらない秘書』ではなく、『それ以外でのサポートをしてくれる秘書』が欲しいんです!!仕事なんて『社長室の掃除』と『手作りお菓子を出してくれる』程度でいいんです!!(あとは···ゴニョゴニョ···」
最後は何を言ってたが聞き取れなかったが、正直にぶっちゃけたなぁ···
でも、彼女は彼女で色々とため込んでいるんだな···
彼女は僕に癒しを求めているのか···
こんなしがないバイト君をスカウトするくらい疲弊しているんだな···
僕でも誰かの役にたてるのか···
それなら···少しくらい歩みよってみるのもいい···よな
「どうですか?お給料も今いただいている額は保証します。他にも特典付きです。まずは1日だけでもお願い出来ませんか!?もちろん日給も払います!!」
「···店長と話していいですか?」
この言葉が口から自然と出た
「はい!!どうぞ!!なんなら今ここで話していただいてもいいですよ!?」
僕の言葉を聞いて嬉しそうに答える
「では、少し店長と話してみます···」
そう言って衝立ての方へ声をかける
「···店長。そこにいるのはわかってます。出てきて隣に座って下さい。」
「···ごめんね。話を盗み聞きする気は無かったんだけど···店内に行くにもここ通るから···」
居心地が悪そうに店長が姿を見せる
「大丈夫ですよ。僕は『わざとここで話を聞き始めたんです』から···。何かあった時に『僕を止めてもらう』為に···」
「···そうか。ならよかった。」
店長はどこか『複雑だが安心した顔』で僕の隣に座る
「それで、どうする?このまま話をするの?それとも奥の店長室でもいいよ?その時は申し訳ないけど、雨宮社長には、待っててもらう事になるけど···」
「私は待つのは構いません。丁度よい息抜きにもなりますので」
雨宮さんはそう答える
「いや、このままでいいです。店長···僕はどうするべきですか?ここのバイトは気に入ってます。辞める気はありません。だけど···」
店長は静かに聞いている
「···だけど、雨宮さんの話を聞くと、何か力になってあげたくなって···」
店長に今の気持ちを吐露する
「······雨宮社長。いくつか質問よろしいですか?」
店長は雨宮さんに声をかける
「何でしょうか?答えられる限り、お答えします」
「では、彼の仕事内容は先ほどの内容だけですか?他にも何かありますか?一通りの流れを教えて下さい」
「仕事の流れは、まずは7:50までに出社をお願いします。8:00に朝礼をして業務を開始しますので、遅れないようにお願いします」
「業務内容は、以下の事をお願いします。」
·社長室の清掃
·私の作業中、適度に飲物·軽食の提供
·午後の休憩時のお茶と御茶請けの提供
「私が外出時は、指示を出しますが、既にいない場合は『なるべく』社長室で待機し、退勤時間(16:00)で退勤となります。」
「待機と言っても、社内食堂等の利用は自由です。要は連絡が取れればいいです。」
「(私が外出中の)勤務中に1人で外出する時は、警備員に必ず声をかけてからにしてください。戻って来る時に楽になります。」
「退勤時間になりましたら、退勤手続きをして退勤して構いません。その日出た社長室のゴミは、退勤時に地下のゴミ捨て場へ捨ててください。流れの説明は以上です」
「成る程。休日と休憩時間はどうなります?」
「休日は『土·日·祝日』と『お盆休み』と『年末年始』です。」
「他にも『産休』『育児』『有給休暇』『各種保険も完備』『年2回の賞与支給』『皆勤賞』『貢献賞』等色々あります。」
「休憩時間は基本午前中は10分·昼食60分·午後20分の計90分を保証します。」
「この休憩時間の90分は確実に取ってもらいます。まとめて90分休憩を取る社員もいますし、60分と30分の計90分で取る社員もいます。」
「休憩時間の使い方は個人の自由ですが、90分より『短い』場合は『要注意対象』となりますので、これは守って下さい。」
「逆に、長く休憩をする事には何も問題ありません。大前提として『その日の仕事の完了·結果を出せば』···ですがね。」
「幸運な事に、我が社の社員の皆さんは優秀な方ばかりでして、かなりの時間を手持ち無沙汰にしています。よく『もっと仕事が欲しい』と言われますが、『自由時間(副業可能)にして下さい』と伝えています。」
「···お恥ずかしい話、まだ仕事が少ないので···」
「しかし、そのお陰で仕事の質も良く、ミスも本当に少なくて助かってます。」
·社長は社員が働きやすい場所を作り·整え·維持しよう。
·社員は会社を維持·発展を目指そう。
·時間と気持ちに余裕を持って、安全に働くよう常に努めよう。
·全てはお客様の笑顔の為に一致団結し、進んで行こう。
「これが我が社の社訓です。残業も手当ては出ますし、自由ですが『1時間まで』となってます。···誰も残業しませんけどね」
雨宮社長はそう言って笑っていた
次回『早まったかなぁ···』
志希の心情を少し追加しました




