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成長

 次の日の朝。

 時計を見ると9時。もう両親は家を出てる時間。夏休みとはいえちょっと遅起きかもしれない。昨日は結局、サクラとヨモギと話しててけっこう遅くまで起きてたからなあ。

 ぼうっとした頭が徐々にはっきりしてくると共に、胸に何か違和感が。

 襟を引っ張って寝間着の中を見てみる。するとそこには二つの肌色をしたほのかな膨らみが。てっぺんには小さな突起もある。なんだおっぱいか。


「!?」


 一気に目が覚める。

 え、なんでどういうこと!?もしやこれが世に言うあさおんというやつ?

 急いで下を確認する。…良かったちゃんとある。さすがに下がなくなっていたらどうしようかと。

 それにしてもなんでいきなりおっぱいが?あとそういえばサクラとヨモギはどこいった?寝る前まではずっと俺に引っ付いてたのに……

 まさかと思い、胸のそれを指で突っついてみる。念のため言っておくと、これは大事なことを確認するためであってやましい気持ちは一切ない。

 そんな誰にともなく心の中で言い訳していると、右胸の膨らみからサクラの声が。


『なんだーミズキ。起きたのかー』


「やっぱりお前達か。ヨモギも一緒になんでこんなところに」


『うひゃー』


 反対の胸を突っつくと、同じようにヨモギが声をだす。

 全く驚かせやがって。こいつら、なんてとこでなんてものに擬態してやがる。


『ここ居心地いいなー。しばらくここにいるぞー』


『ヨモギもー。魔力も湿度もちょうどいー』


「やめて!?」


 やめてほしい。ただでさえ女顔なのに胸まで膨らんでたら女の子にしか見えなくなるだろ。特に両親に見られでもしたら、きっと生暖かい目で大丈夫全部わかってるよみたいな顔をされる。変態のそしりを受けるよりそっちの方がつらい。


『なんでー?』


『昨日見たニンゲンはここ膨らんでたぞー?』


「それ俺のお母さん」


 性別が違うんだ性別が。そういえばこいつらスライムって性別あるんだろうか。


『性別ー?』


『なにそれー?』


 無いのね。てことは単一生殖なんだろうか。そりゃ性別の違いなんてわからんわな。


「とにかく離れてほしんだけど」


『やだー』


『ずっとここにいるー』


 本当にやめてくれ。

 こうなったら実力行使と、手で無理やりどかそうとしたけど、全然離れない。

 …そういやこいつら俺よりSTR高かったんだった。しかも【吸着】なんていう厄介なスキルまで持ってるし。

 その後5分程悪戦苦闘するも、結局剥がせる気配すらなく断念することに。

 まあそんなに大きく無いし、大きめの服を着てればわからないだろう。幸い、俺の持ってる服はそういうのが多い。なんでかって?もっと背が伸びると思ってたんだよ。


『いえーいサクラの勝ちー』


『まいったかー』


「全くこいつらめ」


 その時ふと気づく。あれ、なんか昨日より大きくなってね?だいたい一回りぐらい。最初は気のせいかとも思ったが、手で持つとわかる。やっぱり昨日より大きい気がする。


「なあお前ら、成長した?」


『んー、したかも?』


『美味しい魔力いっぱい食べたし』


 もしやと思い、急いで2人のステータスを確認する。ついでにまだ寝てたオハギも起こして、一緒に見ることにする。なんか君も大きくなった?

 _______________

 塩濱(しおはま)瑞希(みずき)

 クラス:サモナー

 LV:1


 HP:F

 MP:D+

 STR:F

 INT:E+

 VIT:F

 MND:E

 DEX:E-

 AGI:F+


 ユニークスキル

【魔の盟友】 ▼

 スキル


【妖魔召喚】F+ ▼

【霊魔召喚】F ▼

【獣魔召喚】F ▼

【擬態】F- ▼

【物理耐性】F- ▼

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

 サクラ

 クラス:メタモルスライム

 LV:3


 HP:F+ 

 MP:E+

 STR:E

 INT:F+

 VIT:E

 MND:F+

 DEX:E

 AGI:F


 スキル

【擬態】E ▼

【吸着】F ▼

【物理耐性】F ▼

【熱耐性】F ▼

【炎魔法】F+ ▼

【再生】F ▼

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

 ヨモギ

 クラス:メタモルスライム

 LV:3


 HP:F+ 

 MP:E+

 STR:E

 INT:F+

 VIT:E

 MND:F+

 DEX:E

 AGI:F


 スキル

【擬態】E ▼

【吸着】F ▼

【物理耐性】F ▼

【再生】F ▼

【風魔法】F+ ▼

【熱耐性】F ▼

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

 オハギ

 クラス:シャドー

 LV:4


 HP:F+

 MP:D-

 STR:F

 INT:E+

 VIT:F

 MND:E+

 DEX:E

 AGI:F


 スキル

【潜影】E ▼

【影魔法】E ▼

【魔力感知】F ▼

【夜目】F ▼

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 なんか思ったより成長してた。まず、俺以外はみんなHPとMPが上がってる。そしてサクラとヨモギは魔法スキルが成長して、ついでにお互いに持ってなかったスキルが増えている。俺はパラメーターの成長こそなかったけど、【妖魔召喚】が成長して【擬態】と【物理耐性】のスキルが増えた。

 なんで一晩でこんなに?と思ったけど、たぶんあれだ。魔の盟友の恩恵がどうこうってやつ。魂の盟約を結んだことで、ステータスの一部が共有されたとかじゃないだろうか。それならなんで俺のステータスは上がらなかったんだろう。特に物理面。


 まあ贅沢は言うまい。それより【擬態】のスキルだ。これはもしかして、俺も自由に変身できるようになったってことか?

 そうわくわくしながら使ってみたけど、そんな使い勝手のいいものじゃなかった。顔をイケメンにしたり、身長を伸ばしたりはできなかった。できるのは、髪の長さや色を変えるぐらい。まあ、ランクF-だしなあ。

 この感じだと、物理耐性の方も大したことなさそう。さすがに試す気はないけど、気休め程度に思っておこう。


 俺の事はこれぐらいにしといて、こいつらの事だ。特に魔法、これをそろそろ試したい。オハギの影魔法とか、めちゃくちゃかっこよさそうだし。サクラの炎魔法とヨモギの風魔法も王道的でぜひこの目で見てみたい。できれば昨日と比較して、この一晩の成長がどの程度なのか比較したかったけど。まあこれはまたの機会にということで。さすがに成長がこれで打ち止めなんてことはないだろうし。


 というわけで遅めの朝ごはんの後にやって来たのは近所の空き地。小さい頃はけっこう来てたけど、ここに来るのは久しぶりになる。ここなら滅多に人も来ないし、草で道路からも見えにくい。魔法をこっそり使うのにはぴったりだろう。

 まずは比較的安全そうな風魔法から。


「ヨモギ、風魔法見せてくれ」


『おっけー』


 すると、俺の前方から風が放出され、数メートル先の草を揺らした。

 …なんか、思ってたより地味だな。威力も射程も、強めの送風機ぐらいか?まあ成長したと言ってもEランク以下ならこんなもんなのかなあ。


『どーだー』


「あーうん。ありがとう、良かったよ」


 とりあえず、得意気になっているヨモギは撫でとこう。

 ちなみに、この時もサクラとヨモギは俺の胸にくっついてる。つまりは今俺は端から見ると、自分の胸を撫でているような状態。…あんまり気にしないようにしよう。

 最初はこんなところから魔法を撃ったら、大変なことになるんじゃないかと心配だったんだけど。主に服とか。けどサクラもヨモギも大丈夫と言ってきかないから、覚悟を決め任せてみることにした。結果、どうやら魔法は、けっこう自分から離れたところからでも撃てるらしい。ただこれは、俺に引っ付いているからというのもあるそうで。

 理由はよくわからないけど、2人いわく『ミズキにくっついてると魔力を動かしやすい』らしい。たぶんこれも魔の盟友の効果なんじゃないかと思う。


「それじゃあ次は、サクラ、炎魔法を見せてくれ」


『了解ー』


 その言葉と共に、俺の胸の前に炎の玉が現れる。そしてそれは、先程ヨモギがそうしたのと同じように前方に向かって発射された。違うのは、風魔法が草むらを揺らすだけだったのに対し、炎魔法を草むらに火を着けたこと。


「おっと危ない危ない」


 燃え広がる前に水をかける。こんなこともあろうかと、じょうろに水を入れて持ってきておいて良かった。まあ昨日雨が降ったばかりだし、植物は意外と燃えにくいから大丈夫だとは思うけど念のため。


『どんなもんだい』


「すごいなサクラ!」


 サクラも撫でてやる。やっぱ炎は風より派手だな。魔法って感じがする。危なくておいそれと使えないけど。たぶん、ガスバーナーぐらいの火力はありそう。なんとなくでしかないけと。

風魔法は断続的に風を放てるけど殺傷力はほとんどない。炎魔法はそこそこの威力はあるけど、1発1発放たないといけない。しかも1秒くらいとはいえためがあるし。


 さて、次はお待ちかねの影魔法。名前もかっこいいし、1つだけEランクの魔法スキルだから期待は大きい。


「オハギ、影魔法を使ってくれ」


『ん』


 その瞬間、俺のから何かが生えてきた。黒く細長いそれに名前を付けるとするなら、影の縄だろうか。ゆらゆらと立ち上るように生えてきたその先が、振るわれる。それにより草むらの一角が、刈られた。おそらく先端は鋭利な刃物のようになっていたのだろう。きれいに切断されている。


「すっご」


『ふふーん』


 思わず声が漏れる。これがEランクの力か。見た目も威力も段違いだ。しかもこれは炎魔法や風魔法みたいに単発じゃなくて、連続して何度も切りつけることができる。正直EとFの差をなめてたな。


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