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カテゴリ【現代短編】

スタイリッシュ・カミングアウト(会話劇)

作者: 寛喜堂秀介
掲載日:2019/07/31


「彼女が欲しい」


「うん」


「9歳でいい」


「なぜ妥協した風に言ったのか。完全にキミの好みじゃないか」


「そんなことはない」


「ほんとうに?」


「本当はもっと年下が好みだ」


「おい」


「6歳がいい」


「ソウデスカ」


「変態を見るような表情はやめてくれ」


「実際変態を見ているのだから、そうなるのも当然では?」


「違う。俺は変態ではない。なぜなら俺も6歳だからだ」


「そう。ところで、わたしも6歳と知っての狼藉か」


「なにを隠そう知っていた」


「知っていて、そう言った。ということは、これは告白と受け取ってよろしいか」


「いやよろしくない」


「なぜに」


「愚問だな。お前は男の子だ。ゆえに彼女にはなれない」


「そうか……ところで、キミは性別的には女の子だ」


「わかっている。その上で言おう。彼女が欲しい。6歳の」


「その言動で、なぜ自分が変態でないと思うのか」


「俺は変態ではない。なぜなら俺は、前世の記憶を持つ6歳児だからだ」


「なんと」


「前世はおっさんだ」


「それが本当なら、まごうことなき変態では」


「変態ではない。なぜならいまの俺は、肉体的には6歳児だからだ」


「おっさんの変態が6歳の変態になっただけでは」


「痛いところを突く」


「突いたのはただの事実だけど……ところで、なにを隠そうわたしにも前世の記憶がある」


「なんと」


「前世は6歳の童女です」


「生まれ変わる前なら恋愛対象だった」


「なぜキミが自分を変態だと認めないのか、真剣にわからない」


「前世と合わせて12年しか生きていないお前が、なぜこうも分別臭いのか、俺もわからない」


「たしかに、キミの年齢は前世と合わせて」


「36歳だ」


「3倍か」


「やめてくれ。素直にツラい」


「お父さんより年上です」


「すこしは容赦してくれ」


「そのわりには幼いけど……こどもおじさんというやつか」


「致命傷を通り越しているので、そこまでにしようじゃないか」


「とはいえ、普通の6歳よりよほど大人びているキミが、なぜそこまで6歳にこだわるのか」


「理由はある」


「聞こう」


「実は前世で初恋の人が、6歳だったのだ」


「なるほど……ところで、わたしも前世で初恋の人が30歳だったのだけれど」


「その30歳は滅びればいいと思う」


「滅びている。滅びて、生まれ変わって、わたしの目の前にいる」


「……まさか。きみだったか」


「わたしだったのだ」


「結婚しよう。来世でお前が女の子に生まれ変わったら」


「今世でも逃さない。絶対にだ」




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― 新着の感想 ―
[良い点] 斬鉄剣もびっくりの切れ味ですな [気になる点] あらゆる意味で変態的ですな [一言] M1グランプリとかでやったらいい線いくのではと思いました
[一言] スタイリッシュすぐるの一言に尽きる(笑)
[良い点] TS転生の闇と光を見ました。 それはそれとして、渾身の力を込めて「アウトオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」と叫びたい!
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