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悪と呼ばれる存在を友達と呼んではダメですか?  作者: 七篠
【傲慢】な人間
70/80

悪ノリ?

 クリスマスパーティーは何の問題もなく進んでいく。

 飯を食べ終わった後はテレビを見たり、ゲームをして過ごす。


「ベル待って!」

「ちょ!!ベルが強いんだけど!?」

「やっべ。ベルがまさかここまで強いとは思わなかった」

「……」


 現在はみんなで大乱闘中。

 ドラコ、クロウ、俺、ベルの4人で対戦していたのだが、ベルがマジで強い。

 相手の行動を先読みしているとしか思えないコントローラーさばきで俺達を蹂躙じゅうりんしていく。

 最初こそ初めてやるからっという事で少し遠慮しようかと思っていたが、そんな必要は一切ないようだ。


「やるじゃねぇかベル。だがな、お前の事を俺はよく知ってるんだよ!!」

「……っ!」


 ベルの動きを観察していたが、基本的な動きはNPCの動きに似ている。

 つまり効率重視の無駄のない動きであり、ほんの小さな隙を見逃さない。

 だったらわざと隙を見せれば何のためらいもなく食いついてくる。

 それを利用して罠を張り、わざと攻撃させた後に俺はベルのキャラクターを襲った。


「流石柊だね~。なら、少し本気出す」

「え」


 ベルの手の動きは大乱闘の動きではなく、複雑なコマンドを要する格ゲーのような動きに変わった。

 その指さばきは本当に必要な動きしかしないという感じで、非常にスピーディーだ。

 一切の無駄を取り払った指さばき。

 それがキャラクターにも無駄な動きを更にそぎ落とし、スピードは上がっていないはずなのに速くなった気がする。


「ちょ!?なんだよその動き!」

「柊。僕やっぱり楽しいよ。柊と遊ぶの楽しい~」


 ベルは静かに興奮した感じで俺ばかり狙ってくるようになった。

 俺も攻撃するが回避したり防御されたり、俺の動きも読まれている。

 お互いの行動を読み合いながら戦う。

 で、最終的に負けました。


「負けた~」

「ブイ。柊もやっぱり強いね~」

「巻き込まれて負けた……」

「ドラコ、ベルにリベンジ!!」

「別にいいよ~」

「あ、俺はちょっと疲れたからパス」

「む。まぁ仕方ないか。それじゃ僕達3人で遊んでるよ」


 今も配信は続けているが、あっちこっちに仕掛けたカメラを利用して俺達の行動を視聴者が好きに選んで見ている感じらしい。

 確かにカメラの設置などは手伝ったが、どうやって視聴者に好きに選べるようにしているのかは分からん。

 ダイニングのテーブルに座ると、コッペリアとコンが両隣に座ってわざと俺の体に体を押し付ける。


「お前ら食い辛い」

「あらいいじゃない。世間じゃクリスマスは恋人と過ごす日なのでしょ。ならこれくらい良いじゃない」

「それにようやく平穏を手に入れたのですから、なら今後の目標はもちろん幸せな暮らしです。そのためには柊様の協力が必要不可欠なのですよ」

「協力って言うか、お前らがそうしたいだけだろ。何が目的だ」

「「子供が欲しい(です)」」


 この2人の言葉はよくかぶるな。

 前の席に座る愛香さんは顔を真っ赤にしてアワアワし、奥さんはあらあら~っと困っているような反応をする。

 俺達の様子動画に配信されてること忘れてねぇよな?


「悪いが普通にパス。そりゃいつかは結婚して子供も欲しいけど、今欲しいとは思ってないし、何より先立つものがない。だからそう言う事をするつもりはありません。以上」

「別にその辺りは良いじゃない。好いた男女が肌を重ね合って愛を確かめ合う、そんなにいけない事ではないでしょ」

「それに避妊でしたら魔法でちょっと細工をしておけば問題ありません。ゴムなしでいくらでも楽しめますよ」

「それが一番怖いって。特にコンが言うと嘘くさく聞こえる。そう言いながら逆に妊娠しやすくする魔法とか使ってきそうで怖いんだよ。だから俺はお前らともうしばらくは友達と言う関係で気軽に接していきたい」

「固いわね。学校じゃ隠れて生徒同士が愛を深めているのも普通なのに。それに避妊していればいいじゃない。今の私には子供を作れないんだし」

「もちろん柊様にご迷惑をおかけするつもりはありません。それに柊様とすぐに子供を作ってしまっては恋人としての時間が少なくなってしまいますので、少しそちらにも時間が欲しいと言うのもあります」

「生々しい話だな。この会話も動画配信に乗ってること知ってるよな?俺世間的に殺されそうな気がするんだけど」


 正月前に殺されるとか絶対嫌だぞ。

 少しスマホをいじって今の配信状況を見てみるが、やっぱり大炎上。

 モテているのに断る俺に対して大炎上。

 もうコメントで何が映っているのかさっぱり分からん。


「とにかく。お前らに不誠実な事はしたくない。っそれだけは分かってくれ」

「仕方ないわね……今夜襲いましょう」

「そうですね。甲斐性とは金銭的な面だけではなく、男らしさもあるという事をベッドの上でお教えする必要があるみたいですね」

「そう言う甲斐性はもう古くないか?今の世界は誠実な男の方がモテると思うんだけど」

「「だからって全く手を出さない男もです」」


 ダメだこいつら。

 早くなんとかしないと。


「まぁまぁ2人とも。その辺りにしておきなさい。愛し合うのは難しい事なんだから、焦りすぎちゃダメよ」

「そうですよ!!それに同盟はどうしたんですか!!」


 奥さんはコッペリアとコンの事を止め、愛香さんは……なんかちょっと違う事を言ってる気がする。


「何よアイカ。誘ってもあなたはこういう事を怖がってばかりじゃない。もう少し自分自身に自信を持つことがあなたには必要ね。私ほどではないけどスタイルは良いのだからもっと攻めるべきよ」

「いえコッペリア。もしかしたらこれはこれで愛香様の戦略なのかもしれない。聖女というあだ名通り愛香様は奥ゆかしい方、自分から襲うのではなく誘惑して柊様に襲われる準備をしているのでは――」

「そんなこと考えていません!!そ、それにそう言うエッチなのはちゃんとデートをして、お互いの事をよく知ってからするのであって。い、いきなりエッチな事をするのは雰囲気的にもちょっと……」

「なるほど。アイカはシチュエーションを大切にしているという事ね。そう言われると少し焦り過ぎたかしら」

「確かにそれぞれ希望しているシチュエーションと言う物はあります。これは性癖と言ってもいい物もありますし、まずは柊様が好むシチュエーションを解析してから――」

「コン。それならシュウの部屋にあるエッチなマンガやゲーム、小説を見ればすぐ分かるわ。シュウはSよ」

「いつの間に俺のコレクション漁ってた!?」

「ドラコが教えてくれたわよ。奥の方に隠してるマンガがあったけど、エッチばっかりで面白くなかったって」

「!?」


 しかも内容見られた!?

 だってベルは寝てばっかりだったから問題ないかな~っとは思ってたけど、ドラコの成長にはよくないと思って隠すのは当然だろ!

 子供の成長にエロ漫画は不味いって。


「どのような内容が多かったですか」

「そうね……ケモミミやモンスター系、亜人種系が多かったわね。内容は、性的に男性側が優位に立つものが多かったわ」

「動画配信されている時にそう言う話はマジでやめてくんない!?あと俺の性癖をネットに流さないで!!」

「なるほど……そうなるとコッペリア。あなたそのままでも問題ないのでは?」

「ええ。アンドロイドに性的な事をするゲームもあったわ」

「だからストップだストップ!!マジで垢バンされたらクロウが大損害受ける事になるから!!」

「コッペリア、作戦会議はまた次の時に」

「ええ。大みそかに勝負しましょう」


 俺の危機はまだ去ってないだと。

 まだ垢バンされてないよなっと思いながら配信を確認すると、垢バンは免れたが俺への同情的なコメントが広がっていた。

 簡単に言うと女の子に性癖を暴露された事、というか女の子にエロの巣窟を発見されていた事など、かなり同情的だ。


 俺は疲れてため息をついていると、奥さんが飴を俺の唇に当てた。


「これでも食べて元気出しなさい。私の方で少しメって言っておくから」

「ありがとうございます奥さん」


 もらった飴を舐めながら俺は精神的回復を目指す。

 何でクリスマスで騒ごうってやってるのにダメージ受けてるの俺?


「ところで柊ちゃん。1つ聞きたいんだけど」

「なんですか?」

「私みたいな大きな女性ってどうかしら?」

「奥さん!?」


 まさかの裏切りにマジで驚いた。

 他3人もこの話を聞き、ハッとした表情視線を向ける。


「ほら、柊ちゃんがやってるゲームとかでも大きな女の子が好きって言うのはよく聞くけど、現実じゃやっぱり違うのかな~、なんて……」

「ど、どうしたんですか奥さん。もしかして先生達の中に良い人でもいました?」

「そうではないんだけど、コンちゃん達が言うようにもう危険な事なんてほとんどなくなったわけじゃない。だから私もまた夫を見つけて子供が欲しいな~ってちょっと思っちゃったから、男の子側の意見も聞きたいな~っと思って」


 あ、よかった。

 とりあえず俺が狙われている訳ではなさそうだ。

 つまり奥さんも落ち着いてきたから婚活しようかな?っという相談なのだろう。

 そう思った俺は少し考えながら言う。


「まぁ正直に言えば容姿、つまり奥さんの見た目に関してですがこれに関しては人それぞれなので何とも言えません。顔とかスタイルは女性らしいと思いますが、身長高いですもんね」

「そうなのよね~。この町の人はもう慣れてくれたけど、やっぱり初めて見る人からはかなり驚かれるから、やっぱり身長2メートル近くって大きすぎるのかしらね」

「日本人から見ればそうかもしれません。でも家事も得意ですし、子供の世話も得意。問題ないなくね?」

「それでもやっぱりこの身長が気になるのよ~。大きすぎて引かれたりするんじゃないかしら~」

「そう言う人は最初から近付いてこないので大丈夫です。はいお終い」

「え~。それじゃ柊ちゃんとしては私の事どう思ってるの?」

「そりゃいい友達ですよ。まぁ子供扱いは流石にやめて欲しいですけど」

「うう、お母さん悲しい!ちょっと飲んじゃお」


 そう言って奥さんはビールを冷蔵庫から持ってきた。

 それを見たコンやコッペリアもコップを持ってくる。


「私達にも飲ませなさいよ」

「そうですね。たまにはいいでしょう。ワインでいいですか?」

「待てや未成年。未成年の飲酒は日本じゃ禁止だぞ」

「いいじゃない。家の中で飲む分には」

「そうです。それに学校に所属しているとはいえ私達に成人しているという概念もあってないような物ですし」

「だったら未成年に合わせろよ」


 だがそれでも酒飲みを止める気がない3人に付き合う理由もないので、風呂にでも入ってさっぱりするか。

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