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悪と呼ばれる存在を友達と呼んではダメですか?  作者: 七篠
【完璧】な天使
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文化祭2日目

 文化祭2日目、この日から俺も文化祭をどちらかというと回る方が目的と言える。

 なので楽しみながら敵情視察という感じなのだが……やっぱすごいなこの学校。

 魔法を使った大規模なプラネタリウム、キッチンなどを入れた本格的なファミレス、中には魔法と科学をごちゃまぜにした謎解きゲームなども存在した。

 こりゃ奇抜な面を攻めて正解だったかもしれないな。


 よくある王道ネタだと確実に先輩達には勝てない。


 俺はそこまで大真面目に飲食店部門1位を狙っている訳ではないが、それでもあいつらが狙っていると言うのであれば応援するしかない。

 あとは昨日ラインのIDをくれた先輩のクラスに行ってちょっと楽しませてもらった。

 その先輩がやっている店は出店を1つにまとめたような感じ。

 射的とかスーパーボールすくいとか、そう言う遊ぶ系の出店をまとめて出していた。

 まぁ俺が来た事でその先輩が色々サービスしようとして他の先輩に止められていたけど。


 そんな感じで昨日来てくれ先輩達の所に顔を出しながら文化祭を楽しんでいると、後ろから声が聞こえた。


「柊お兄ちゃん!」


 そう言いながら俺の足にしがみついてきたのは加奈ちゃんだ。

 使い魔として契約した悪魔、カンナちゃんも加奈ちゃんが背負っているリュックから顔を出していた。


「お、2人とも久しぶりだな。悪いな最近顔出せなくて」

「ううん。文化祭の準備で忙しいのは分かってたから」

「そう言ってくれると助かるよ」

「それとね、今日はお父さん達も一緒なの」


 慌てて加奈ちゃんに駆け寄ってきた加奈ちゃんのご両親とも挨拶をする。


「お久しぶりです。お元気でしたか?」

「ああ柊君久しぶり。そっちも元気そうで何より」

「いえ、そちらもお変わりないようでよかったです。この町での暮らしも慣れましたか?」

「ああ。前にいた町よりも会社が近いから娘もすぐ帰ってきて喜んでくれてるよ」

「柊さんお久しぶり。加奈も今日を楽しみにしていたんですよ。お兄ちゃんのお店はどんなところだろうって」


 加奈ちゃんのお母さんに言われ手入れは少しだけビビった。

 だってうちがやってる店キャバクラ兼ホストクラブだぞ。ごっことはいえ小学生を入れていい物か。

 一応2日目以降はわざと着崩す事はなしで、部屋も初日に比べれば明るくなっているが、それあくまでも初日と比べてだ。

 それに悪乗りした生徒か、大人が入ってくる事を想定しているので小学生が入ってきた場合はあまり想定していない。

 スケベな悪ガキが入ってくる可能性もあると言ったが、その時は奥さんが丁寧に追い返す手筈にはなっている。

 だから加奈ちゃんを連れて行っていいのかと聞かれると……少し悩む。


「ちょっと待ってくださいね」


 俺はそう言ってからクロウに連絡をとった。

 一応クロウが外部協力者でコンセプトなどを担当しているの一応聞いておくべきかと思った。

 で、聞いてみると別によくない?と帰ってきた。

 まぁ確かにちょっと雰囲気を怪しくしているだけで健全な店だが……


「まぁいいか。ちょっと暗い雰囲気ですけどいいですかね?」

「暗いと言うとお化け屋敷とかかな?」

「いえ、その、飲食店ではありますよ。雰囲気作りでちょっと暗くしているだけなので。奢りますよ」

「いや、さすがにそれは悪いんじゃ……」

「大丈夫です。全部俺が持ちますから」

「いいんじゃないあなた。柊さんのお店なら大丈夫でしょ」

「それもそうか。それじゃ案内してもらおうかな」

「……こちらです」


 なんだか少し騙しているような居心地の悪さを感じたが、連れて行くと言った以上連れて行かない訳にはいかない。

 なので連れて行ったのだが……やはり看板が悪いよね。

 だって思いっきりキャバクラ兼ホストクラブって書いてあるんだもん。

 加奈ちゃんはよく分かっていなさそうだが、ご両親はやはり少し不安気味だ。


「柊君。ここがその、君のクラスのお店?」

「あ~はい。ちょっとためらった理由がこれです」

「それもそうよね……ちなみにお酒とか出してないわよね?」

「出せませんよ。俺達未成年なので。だから出しているのはジュースとおつまみのお菓子とかです。クラスのみんなも女子はドレス、男子はスーツを着て接客しているだけですから」

「それなら……大丈夫かしら?」


 少し悩んでいるが仕方ないよね……どう考えても全年齢対象とは言い難い雰囲気だもの。


「お兄ちゃんのお店、行かないの?」


 加奈ちゃんはまだこういう店を知らないからか、普通に入ろうとしている。

 どうするかとご両親と目配せをすると、さすがに学生の出し物なのだから大丈夫だろうっという感じで頷いた。

 なので俺は加奈ちゃん家族を連れて店に入った。


「いらっしゃ――あれ?柊君じゃない。交代はもう少し先のはずだけど?」

「知り合いが来てな、4名座れるところあるか?」

「空いてるよ。あ、お客さんとして入るならご指名する?今なら愛香ちゃんもコッペリアちゃんもいるよ」


 明らかにどちらかを指名してみろっという感じだが、俺は加奈ちゃんに聞く。


「加奈ちゃんは一緒に居てほしい子いる?」

「え~っと、愛香お姉ちゃんとコッペリアお姉ちゃんに会いたい」

「2人ともって大丈夫か?」

「うん行ける行ける。愛香さん!コッペリアさん指名入ったよ!お席に案内して!」


 そう言うと愛香さんとコッペリアが俺よりも加奈ちゃんが居る事に驚きながらもこちらに来てくれた。


「ご指名ありがとうございます。愛華です」

「コッペリアです。加奈ちゃん久しぶりね」

「お姉ちゃん達久しぶり!」

「ええ。それではお席にご案内します」


 加奈ちゃんのご両親は少し戸惑いながらもコッペリア達に連れられて席に座る。


「加奈ちゃん何が飲みたい?」

「リンゴジュース!」

「ご両親はいかがしますか」

「それじゃ……緑茶で」

「私はウーロン茶でお願いします」

「シュウはどうする?」

「加奈ちゃんと同じリンゴジュースにするからボトルで持ってきてくれ。あとつまみはミックスナッツとポテチ……加奈ちゃん何味のポテチが良い?」

「コンソメ!」

「コンソメのポテチで」

「分かりました。リンゴジュースボトルと緑茶、ウーロン茶、ミックスナッツ、コンソメのポテトチップスお願いします」


 愛香さんがウエイターにそう頼んだ。

 その間に加奈ちゃんがどうだったか聞いてみる。


「で、加奈ちゃんはどうだ?小学校楽しいか?」

「うん!新しい友達出来たよ。カンナちゃんも仲良くしてる」

「そうか。楽しいならいいな」

「お兄ちゃんは楽しい?」

「楽しくやってるさ。毎日友達と一緒に居るんだ、楽しくない訳がない」

「そっか。お兄ちゃんも楽しいんだね」


 紙コップと一緒にジュースやおつまみが持ってこられ、あばらく加奈ちゃん家族と楽しく過ごす。

 加奈ちゃんのご両親たちも女子がドレスを着て男子達はスーツを着ておしゃべりしているだけ。

 だからホッとしたのか楽しく過ごす。


「あ!時間!!」

「ん?どうしたの加奈ちゃん」

「もうすぐ友達と一緒に文化祭に行く時間なの!!」

「そうか。それじゃまた今度だな」

「うん!お父さんお母さん行こ!」

「いやでもお会計が――」

「俺が奢るって言ったので行っていいですよ」

「でもやっぱり本当におごってもらう訳にはいかないよ」

「本当に大丈夫ですから。加奈ちゃんと一緒に行ってあげてください」

「……本当に良いのかい?」

「本当に大丈夫です。ほら、早く行かないと加奈ちゃんが行っちゃいますよ」

「今度夕飯食べに来て欲しいな」

「ありがとうございます。その時はごちそうになります」


 こうして加奈ちゃんと久しぶりにあって良い気分になった。

 ちなみに奢った値段に関してだが、やっぱ思っていたよりは金かかんなかったわ。

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