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悪と呼ばれる存在を友達と呼んではダメですか?  作者: 七篠
【完璧】な天使
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衣装合わせ

 文化祭の準備もかなり進み、内装だけではなく接客に関してもだいぶ上達してきた。

 男子達も女子達から遠慮ない暴言に耐え、泣きながら女の子が嫌がる行為をしなくなってきた。

 そして今日は男子女子の衣装合わせ。

 つまり男子はホストの服を、女子はドレスを試着する。

 女子のドレス姿が見れるとなって男子達からオーラみたいなのを噴出しながら狂喜乱舞。大盛り上がりすぎてそこまでか?っと思ってしまう。


「お前何でそんなテンション低いんだよ!!」

「おや、お前らがテンション高すぎるんだよ。いつもクラスの女子は見慣れてるじゃん」

「分かってないな~お前」

「普段女子達が着ないドレス姿だぞ。レア度めっちゃ高いぞ!!」

「それにうちのクラスには愛香さんがいる!」

「コッペリアさんもいる!!」

「コンさんもいる!!」

「「「「「あの3人のドレス姿を先に拝めるんだからいいじゃないか!!」」」」」


 クラス男子達にそう言われてしまった。

 まぁ確かに滅多に見れない姿と言う意味ではレア度は高いが、普段から顔やスタイルが良いのは知ってるからな……

 ドレス姿というだけでそんなに印象が変わるだろうか?


 ちなみに当初の予定ではドレスはクロウがそのまま作る予定だったが、ここはクラスの女子達が頑張る事になった。

 流石に全部クロウに任せるのは申し訳ないという事で裁縫が出来る女子達が頑張った。

 ちなみにここで活躍したのが何とコッペリア。

 機械関係に強いのは知っていたが、ミシンなどの取り扱いも得意だとは思わなかった。

 これによりドレス製作はコッペリアがリーダーを務めて製作開始。しかも機械のように正確無比なのだから失敗なくすべてうまくいったと聞く。


 なのでクラスの女子の意見を聞きながらデザインし、製作したのでコッペリアのファッションショーみたいな感じにもなっている。

 女子達もコッペリア作のドレスを嬉々として着替えに行っていたし、おそらく満足の作りなのだろう。


「待たせたわね男子共!ドレス女子様のお通りよ!!」


 そう教室の扉を開きながら女子達が入ってきた。

 男子達は普段とは違うドレス姿の女子達に大歓声を上げる。

 俺もドレス姿だと結構印象変わるんだな~っと思いながら拍手を送る。

 しかしいくら待っても愛香さん、コッペリア、コンの3人が姿を現さない。

 何でだろうと思っていると、ドレスを着た女子が自信満々に言う。


「それじゃ男子共!!大本命の登場よ!!どうぞ!!」


 そう言って姿を現したのは愛香さん、コッペリア、コンの3人だった。

 3人を見た男子達はさっき以上の大興奮であり、大盛り上がりだ。

 だが堂々と歩くコッペリアとコンと違い、愛香さんだけは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。

 そして3人は俺の前に立って聞いてくる。


「どうシュウ。ちょっとは見とれてくれたかしら」

「柊様。私はどうでしょう」


 コッペリアはこんを基調とした落ち着いた色のドレスであり、特徴は胸から首までを黒いレースで目を凝らせば素肌が見えるくらいに隠している。

 そしてまるで自慢でもするように太股ふとももから長いスリットが入っており、美脚をこれでもかと主張させている。


 コンの方は赤いドレスで、体のラインを強調するようにぴったりとしたタイプのドレスでノースリーブだ。

 スカートは膝辺りまでの短めの丈であり、体全体のバランスの良さを強調しているように感じる。


「2人とも似合ってるじゃん」

「当然でしょ。似合うように私が設計、デザインしたんだから」

「どうでしょう柊様。欲情していただけましたか?」

「全然」

「く!変わらずガードが堅い……」

「で、愛香さんの方は大丈夫なのか?スゲー恥ずかしがってるんだけど」

「す、すみません。前世では普通のドレスなら着た事があるんですが、今回みたいに露出が多いドレスは初めてでして……」


 露出が多いと言ってもコッペリアやコンに比べたらまだまだなのだが、それでも結構恥ずかしがっている。

 愛香さんのドレスは真っ白なドレスでどのドレスと比べても最も露出が少ない。

 どちらかというとセクシー系というよりも可愛い系であり、スカートの裾の部分がフリフリしており、広がっている。

 おそらくキャバ嬢と言っても愛香さんの売りである清純さのような物を失わないようにだろう。


「でも似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます……」


 やっぱりまだ恥ずかしいのか顔が真っ赤なままだ。

 それじゃ次は男子かな~っと思っていると、他のクラスの女子達が俺に文句を言う。


「ちょっとー、愛香さん達にそれだけ~?」

「みんな気合入ってたのに一言だけって言うのは酷くない?」

「もうちょっと感想あげなよ」

「そうだそうだー!!恋する乙女をもっと褒めろー!!」


 ただ非難しているというよりはもう少し感想を言えって感じだろうか?

 ただ服装が変わっただけだしな……


「う~ん。やっぱ思いつかん」

「えー、なんでよ。コッペリアさん達本当に綺麗じゃない。もっと感想ないの?」

「そうだよ。愛香さんだって恥ずかしいって言いながらも柊君が可愛いって言ってくれるかもってかなり説得したんだからね」

「でもな~、愛香さんとコッペリア達が綺麗だったり可愛かったりするのはいつもの事だろ?服装が変わったくらいで変わるもんでもないしな……」

「それってどういう意味?」

「内容次第ではぶっ飛ばすけど」

「どうって、そのまんまの意味だよ。あいつらは何着たって美人だし可愛い。たとえあいつらがそこら辺の古着を着てたって綺麗とか可愛いとか言うぞ」

「……どう判断する?」

「どうって……これ柊君の中では最上位って事じゃない?柊君もう少し聞かせて。柊君の中で愛香ちゃん達ってどれくらい可愛い?」

「身内贔屓(ひいき)に聞こえるかもしれないが、あいつらよりも良い女を俺は知らないぞ」


 俺がそう女子達の前で言うとコッペリアは自慢げに、コンは興奮気味に、愛香さんはうずくまっていた。


「なんだよ。傷付けるような事は言ってないはずだよな?」

「あ~何というか、ごちそうさまでした」

「……俺そんな惚気たような事言ったか?」

「自覚なしか。ほらそこの持てない男子共!柊君を見習え!!ガツガツいかないでこんな感じで普通に特別扱いしろ!!」

「「「「「難易度高すぎます!!」」」」」


 一体何を言っているのか理解しきれない。

 よく分からないので俺はホスト用の服を試着しに更衣室に向かった。

 そして他の男子達と見比べたらやっぱり顔がな……

 周りは色んなイケメンばかりなので顔では太刀打ちする事が出来ない。

 どこかの不良に憧れた男子がコスプレしているような感じしかしない。


 でもまぁそれでも他の女子からは及第点をいただいた。

 コッペリアはすぐに俺とのツーショットを他の女子に頼み、コンは鼻血を出してドレスを汚さないように回避し、愛香さんは多分さっきとは違う意味で顔を真っ赤にしている。


「なぁ何で第二ボタンまで開けないとダメなの?」

「雰囲気作りよ。柊君毎日筋トレと体力作りしてるからやっぱりもうちょっと筋肉出そうよ」

「出そうよって言われても、みんなほど筋肉ないぞ」

「実を言うと柊君って意外とモテてるんだよ」

「え、マジ?俺知らない」

「だって気付かれる前に勝手に負けてるんだもん。愛香さん達に」


 あ~つまりあれか?

 俺の周りにいる愛香さん達トップメンバーが本気で恋してるから手を出しにくいと?


「特に先輩達から人気だよ~。守ってあげたくなるって」

「それ子供に思う感じじゃない?男としては情けない理由なんだが」

「それでもモテてるんだからいいでしょ。それに柊君紳士だからね~。この学校だと肉食系ばっかりでガツガツしすぎてダメなのよ。だから一歩引いて女の子を立ててくれる男の子はこの学校ではモテるよ」

「マジか。で、他の男子達は?」

「脳みそと下半身直結してる連中が多すぎて無し。エッチな事にオープンな人か、ガツガツしてる男子を逆に食ってやるって感じの女子が食べてるね」

「なんか怖いな~」

「まぁそう言う先輩達は柊君の事なよなよしてて好みじゃないって言ってたから、狙いに来ることはないから安心して。それに強力なボディーガードもいるし」

「ボディーガードって……」


 牽制くらいはしてくるかな~なんて思ってたけど、本気でやりそうだよな。

 あいつらの場合。


「で、きつかったりしない?」

「ピッタリでちょうどいいよ。問題ない」

「それじゃ試着はオッケーね。それじゃ文化祭の稼ぎかしらとして頑張ってよ」

「は?何でそんなこと言うんだ?他にもイケメンはいっぱいいるだろ」

「さぁ~ねぇ~。文化祭当日になれば分かるわ」


 全く理解できな事を言われながら試着は終わった。

 何とな~く、文化祭が嫌~な感じがするのは気のせいだと信じたい。

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