文化祭準備中
本当にキャバクラ兼ホストクラブなんて大丈夫なのかと思っていたら、通ってしまったらしい。
なので現在俺のクラスはキャバクラ兼ホストクラブとして教室内を魔改造中。
机やイスをどかしてソファーとテーブルを設置、壁にカーテンをかけて教室を暗くして雰囲気を出す。などの作業を進行中。
まぁ教室を暗くするくらいならまぁ普通の学校でも出来るだろうが、このソファーとかどっから持ってきた?
誰が持ってきたのかは分かるけど。
「なぁクロウ。外部協力者として一緒に居るのは分かるが、何でここまでガチなの?」
「それはコンとコッペリアから協力を頼まれたからだね。でもやるからには本気出すさ」
「だから本気出し過ぎなんだよ。どうやってソファーなんて調達してきた。と言うか金大丈夫なのかよ」
「一応大丈夫な範囲内だね。と言うかこの学校自分でお金を出すならいくら出してもいいみたい。つまり完全に自分達で金を出せ、目標売上に到達しようがしまいがかまわないって感じみたい」
「それはそれでどうなんだよ。上限決めないとカオスだろ」
「でもそれやっちゃうと大規模なお化け屋敷とか迷路とか出来なくなるみたいだしね。特に道具を使って空間を広げている系の人達は」
「それって電気代?それともレンタル代?」
「多分両方だね。さて、次はドレスとスーツの用意かな」
「マジでそれ用意すんの?なんか高そうなイメージなんだけど」
「別に大した素材を使う訳じゃないからそんなに高くつかないようにする。言ってしまえばコスプレ用の生地を使えばいいだけだしね。本物のスーツとかが高いのは生地とか、作っている人の手間賃だし、その辺は僕が調整できる」
「そう言えばお前の魔法だか何だかは手間賃はかからないんだっけ?」
「そう。言い方を変えれば完全に機械メイドみたいな感じだから、ぶっちゃけ素材費がかかるだけなんだよ。実在する物だと他にもお金がかかることあるけど」
「ふ~ん。細かいルールがあるんだな。それともう1ついいか?」
「なんだよ」
「何で奥さんがママ役やってるの?これじゃキャバクラじゃなくてクラブじゃん」
流石にキャバクラに行った事がないのであるのかないか知らないが、バーカウンターのようなものまで設置されている。
そこで立っているのが奥さん。
一応先生側として文化祭に参加するそうだ。
「奥さんにもドレス着させるのか?」
「いや、さすがにマザーは先生枠だから分かりやすく着物を着させようと思ってる」
「……先生枠と生徒枠を分けるのは良いけど、あの丈に合う着物ある?」
「生地はもう購入してるからあとは寸法を合わせるだけ。と言っても着物だから多少体系が変化しても問題ないけど」
「あらあら~、そんな事を気にしなくていいわよクロウちゃん。これでも体重管理はしっかりしてるから」
ちょっとだけ怖い雰囲気を出しながら奥さんがやって来た。
奥さんは接客メンバーに接客の仕方を教えていた。
本格的なキャバクラの作法?みたいなものではなく普通にお客さんを満足させるためのマナーを教えている。
それからおつまみで出す料理やジュースなどの衛生管理なども指導してくれている。
「奥さんの方はどう?結構教えること多いでしょ」
「それなりにかしら~?でもみんないい子だし、大切さも分かってくれたから~」
「で、おつまみの方は買ってくるんだっけ?」
「基本的には~。だから冷蔵庫の中はほとんどジュースばっかりね~。もうちょっと凝っちゃう?」
「凝ると言っても……あまり火を使った物を出して場所取られたくないし、実際火を使うと言ってもスルメをあぶるとかそのくらいだろ?凝るとしたら……漬物?」
「やっぱり地味よね~。それなら綺麗なお菓子とか買った方が良そうね~」
「その辺りはあまり力を注がなくていいんだよ。元々飲食店と言ってもそこまで力を入れている訳じゃない。言ってしまえば従業員の接客しだいでいくらでも伸びるし、いくらでも低迷する。抱からマザーは指導の方に力を注いでほしいな」
「分かったわ~クロウちゃん。それじゃもう少しだけ男の子を誘惑するテクニックも教えてあげようかしら~」
「え、そんな事も教えてたの?」
「教えてたわよ~。と言ってもほんの少し胸を強調するポーズをどう自然にするかとか~、ボディータッチされた時にどう軽くいなすか、みたいなのが多いかしら」
「まぁボディータッチされた時の対処法は教えてあげて。絶対触ってくるスケベ連中居るから」
「は~い。怖い男の子達の対処法も教えてあげなきゃね~」
教えてもらっている女子達も意外と興味ありげに話を聞いているので多分大丈夫だろう。
「そうなると後は男子達だが……あれは順調と言って良いのか?」
「あれは順調とは言わないね。このまんまだとホストの方は難しいかもね」
難航しているのは男子の接客チーム。つまりホストメンバー。
何と言うかクラスメイトの女子が客を想定して練習相手をしてくれているのだが……ガツガツしてる男子達に圧倒されており、あまりいい雰囲気とは言えない。
こっちに関してはモテる男が指導しているというのではなく、単に女子生徒達が男子生徒達に受けた接客に関してどう感じたかと言うアンケートを取って改善していくという感じ。
ごめんアンケートって言うのは優しすぎた。苦情と言った方がいい。
「男子達もホスト役でイケメンにでもなった気なのか、ほとんどが失敗してるな……」
「そして活躍しているのは前世の頃にハーレムを築いていた転生者達って言うのも柊お兄さんとしては意外?」
「俺は意外だが、クロウはそう考えてなかったみたいだな」
「そりゃね。言い方を変えれば女性の扱いに慣れていると言うべきだからね。ほらのクラスメイト、女の子が嫌がる行為を避けてる。そして話をするというよりは話を聞いてあげる姿勢でいるからいい雰囲気を作り続けてる。あれなら問題ないね」
「まぁ希望者を集めただけだから実力があるかどうかと聞かれるとな~」
「柊お兄さんは接客しないの?」
「するよ。と言っても基本的には裏方だから基礎だけ学んでおいて、なんかあった時にヘルプに入るって感じかな」
「……僕が朝から晩まで柊お兄さんをご指名しようかな?」
「そう言うのは止めろ。してほしかったら普通の休日にクロウの家に行くからそれで満足しとけ」
「やった。文化祭が終わったらお願いしようかな」
「はいはい、分かりましたよお嬢様」
冗談半分に言いながら俺達の文化祭準備は進んでいく。




