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悪と呼ばれる存在を友達と呼んではダメですか?  作者: 七篠
【完璧】な天使
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コミュ力高くね?

「ふふ。私が柊様と同じクラスの同級生と言うのは何とも心地いい響きですね」


 そうコンは言いながら俺に向かって言う。

 コンの席は俺の斜め後ろであり、コッペリアの隣だ。

 ここなら俺だけではなくコッペリアも対応してもらえるのでこの席順になった。

 いや、コッペリアに頼るなよ。


「コンが満足してるんならいいが、コンも参加すんの?俺の奪い合い」

「もちろんです!!完璧な私が柊様の完璧な妻として一生柊様に仕える事を約束しましょう!!」

「多分そういうの古いし、仕えるって言うのは俺の性にも合わないから無しで」

「そんな~」


 コンはそう言いながら落ち込んだ。

 そしてコッペリアに改めて聞く。


「なぁコッペリア。コンって昔っからこんな感じだったっけ?」

「私は違うと思うけど、マザーが言うには大昔はこんな感じだったらしいわよ」

「大昔ってどれくらいだよ」

「神話の時代」

「……イメージ出来るような、出来ないような……」


 とにかく途方もないくらい大昔の事なのだろう。


「まぁいいや。とりあえずコンもおとなしく授業受けておけよ。学生の義務って奴だ」

「はい。柊様から頂いた役割、全うさせていただきます」


 これでおとなしくしてくれるのならいいんだけどな~。


 ――


 1週間後。

 俺の前にはありえない光景が広がっていた。


「コンさん。この魔法をより効率的に使う方法を教えて欲しいんですが」

「どの魔法ですか?ああ治癒系の魔法ですか。そうですね……この術式は外しても効果は変わりませんのでこれを外すのはどうでしょう?」

「ね~コン。ここ教えて~、次の授業出席番号順で当てる先生だからここの解き方教えてよ~」

「ああ、その応用問題ですね。その問題はこの公式を当てはめた後に……」

「ちょっとコンちゃん!部活の練習相手になってくれない?私達のレベルに合わせて!!」

「分かりました。練習相手には何時ごろにお伺いすればいいでしょうか?」


 ヨーロッパで脅威を振るっていたアンノウンと言う話はどこに行ったのやら、完璧超人様はあっという間にクラスの中心人物になってしまった。

 あえて例えるのであれば完璧系主人公。勉強も運動も人付き合いも出来る完璧超人だ!!


「あいつ、あそこまでコミュ力高かったの?と言うか何でみんないつの間にか普通に受け入れてんの?」

「これは……本当に意外ですね」

「そう?あいつはやろうと思えば簡単に人間を支配できるだの実力はあるわよ。何せ生きてる時間がマザーとそう変わらないくらいだもの。人間くらいあっという間に精神支配できるわよ」

「コッペリア。その説明はマジで怖い。あとマジで精神支配されてんの?」

「ただの言い方よ。魔法とかは使ってないけど、話術は使ってる。簡単に言えば詐欺師みたいなものね。言葉巧みに印象をよくしてるだけよ」


 それはそれで十分凄いんだけどな。

 驚く俺と愛香さんをよそにコッペリアは淡々と言う。

 いや、完璧と色々言ってきたが、ここまで短い時間でクラスに溶け込むとは思わなかった。


「コッペリア。そのような言い方はしないでいただきたい。確かに話術は使っていますが一般的な物だけです」


 俺達が話しているとコンが入ってきた。


「あらコン。あなたの事だからこの学校の人間を全員信者にするつもりだとばっかり思っていたわ」

「一度は考えましたが柊様が望んでいる学生生活はそう言うものではないでしょう。なのでそう言う事は一切していません」

「本当かしら?私達の中で最も信者がいて、それなのに満足していないじゃない」

「当然です。私の信者は柊様の信者でもあるのです。増やす事もですが、減らさない事も重要でしょう」

「あら、減らさないと言う点では私の所は優秀よ。だって完全に管理しているのだから」

「おやおや、機械が壊れてしまえばあっという間に絶滅してしまう管理がですか?これは驚きました。コッペリアもユーモア、ジョークが言えるようになったのですね」

「誉め言葉として受け取らせてもらうわ」


 皮肉の殴り合いと言う物を見た気がする陰険バトル。

 やっぱり変わってないところはあるな。


「はいはい。何もしてないならそれでいい。で何か問題があったりはしないか?」

「現状問題ありません。私も人間が最初から嫌いだったわけではありません。嫌いなのは柊様を殺したあの世界の人間なので」

「でもヨーロッパの人達は殺さなかったんだろ」

「それは今後柊様と生活できなくなることを予想していたからです。そうでなければ絶滅させています」

「全滅ってまた過激な……」

「柊君。好きな人を殺されて過激にならない人はいないよ」

「先に死んだ人に言う資格なし」

「それだけ我々はあの世界の人間を憎んでいるんですよ」


 何か俺以外の人達に総攻撃されたんですけど……


「なぁドラコ。みんな過激だよな?」

「え?みんな普通だよ。ドラコは大陸滅ぼしたもん」

「……そうでしたね」


 1番大規模な破壊活動やってたのがドラコでした。

 しっかしまぁ本当に俺の友達たちはコミュ力あるよな。

 みんなアンノウンだって言う事はぶっちゃけバレてるし、それなのに人間と馴染んでいる。

 俺が人間と仲良くしてほしいという気持ちを組んでくれているのもあるんだろうが、それでも俺の想像を超える速度でいつの間にかいるのが自然になっていた。


 ベル、コッペリア、奥さんに関してはアンノウンであることを悟らせないように学校にいたので、ある程度打ち解けていたからかもしれないが、ドラコとクロウ、コンに関しては全く違う。

 ドラコは今じゃマスコット扱いだし、クロウは俺に話しかけてくる外部関係者、コンは今のようにクラスで頼られる存在になっている。

 何と言うか……アンノウンだとバレた時はてっきりみんなから攻撃される未来しか俺には見えていなかったから、本当に意外だ。

 そして本当にありがたいと思っている。


「シュウ?その顔どうしたの?」

「その顔ってどんな顔だよ」

「なんかニヤニヤしてたわ。気持ち悪い」

「気持ち悪いは酷くねぇか!?」


 馴染んでいるならいいか。

 俺はそう考える事にした。

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