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悪と呼ばれる存在を友達と呼んではダメですか?  作者: 七篠
【怒る】ドラゴン
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アンノウンによるアンノウン退治

 中国にアンノウンが出現してから1週間後、俺達は学校から一番近い自衛隊の基地に来ていた。


「中国から要請が来た。よってこれより日本から援軍を送る。送るんだが……」

「ちょっとくらいいいじゃないですか。アンノウンと一緒に居るからお前も人類の敵だ~なんて言われたくはないので、こうして手伝おうとしているんじゃないですか」


 そう言いながら俺達は先生の話を聞く。

 転生者が支援として海外に行くときは国の軍関連施設から出発する。

 だから日本の場合は自衛隊基地から出発する事になる。


 と言っても俺達の場合は少し特殊で、飛行に乗っていくのではなく、ドラコの背に乗って突入する。

 何でそんなことするの?っと聞かれるとまぁドラコが行くと聞かないからだ。

 どういう訳かドラコは今回現れた龍型のアンノウンに対して強い危機感を覚えているように感じる。

 ドラコの実力的には大した事がないらしいが、コッペリアが思うに人間を食うから俺もいつか食われるのではないかと心配している可能性が非常に高いそうだ。


 それなのに俺がその人食い龍の元に向かうのはドラコの保護者だからだ。

 ドラコと言うアンノウンは今も世界から見れば脅威でしかない。

 だから日本だけではなく世界に対しても脅威となるつもりはないとアピールするいい機会でもある。


 と言ってもこれは大きな賭けだ。

 俺はきちんと理解しきれていないのだが、外国の人達は清濁併せ呑むっという考え方は理解され辛いらしいらしい。

 いわゆる文化的な価値観の違いと言う奴なのだが、毒を以て毒を制すみたいな考えは嫌われやすいそうだ。

 だからこれから行うアンノウンによるアンノウン退治、と言うのはどんな結果になるのか全く分からない。

 それでも一石を投じるにはいい機会だと思い、この作戦に参加したわけだ。

 と言っても今回戦うのはドラコだけだけど。


 そして俺の護衛役でコッペリアとベル、愛香さんの3人が一緒に行動する。

 愛香さんは完全に俺を守るための盾役であり、コッペリアは好きに動きながら周囲への被害を抑える係、ベルは精神攻撃系の相手が居た時対策だそうだ。

 世界を終わらせる規模の力を持つ存在が3人とか、やりすぎな気もするけど。

 後一応愛香さんは俺の動きの監視と言う役割もある。


「それは分かっているが……本当にそれに乗っていくのか?」

「この方が圧倒的に速いですし、あのアンノウンと戦うのもドラコですから。ドラコの背に乗っていきます」

「本当に周囲に被害は出さないんだろうな?」

「全く出さないと言うのは無理でしょうけど、まぁ頑張ってもらいますよ。なぁドラコ」


 俺がそう聞くとドラコは本来の姿で頷いた。

 もう既にドラコは俺達を乗せて飛ぶ準備はできており、何時でも中国に向かう事が出来る。

 それにドラコには周りの者はできるだけ壊さないようにと念を入れている。

 先生は渋々という感じで頷いた。


「分かった。本当に周りの山や岩を壊さないでくれ。中国にとって重要な観光資源である場所なんだ。頼むから壊さないでくれ」

「それは相手次第ですけど、頼むぞドラコ」

『とーぜん。あんなひょろ長いの食べちゃうよ~』


 直接口を開いて話すのではなく、魔法で俺達に意思を伝えてくれた。

 それにまた驚いた先生や他の生徒達。

 先生は頭を振ってから言った。


「それではドラコが出発した後に我々も出撃する。準備開始!!」

「「「「「は!!」」」」」


 ドラコの飛行速度について行けない、そしてドラコが起こす風に飛行機が耐えられないという理由で俺達が1番先を飛ぶことになる。

 俺達はドラコの頭の上に乗り、中国に向かって出発した。


 ――


 ドラコはシュー達を乗せて気に入らない奴に向かっていく。

 気に入らない奴は結構近い所にいるからシューを食べに来たら嫌なので先に殺しておく。

 シューからあの蛇みたいな奴の話を聞いた。

 あの蛇は天気を操って雷を雨のように落とすそうだが、ドラコだけだったら問題ない。

 ドラコの鱗は魔法だろうが自然現象だろうが、科学的な物だろうが関係なくドラコを守る。

 不安なのはシューが近くまで一緒に来ることだけど……今度こそ油断なくシューを守る。


 そう思いながら飛んでいると、変な雲を見た。

 白い雲の下に黒い雲が浮かんでいて、その暗い雲から雷と雨がザーザー降ってる。

 そしてその中心には空飛ぶ蛇みたいなのがいる。


「あれみたいだな。今回のアンノウン」

『うんあれ。あの蛇倒してくる』


 ドラコはシューに向かって言った。

 するとコッペリアが言う。


「ドラコ。私達はこの辺りで降りるわ。貴方も私達が近くにいるよりは戦いやすいでしょ?」

『うん。どこで降ろせばいい?』

「そのまままっすぐ飛んで行っていいわよ。勝手に下りるから」


 そう言ってコッペリアはシューと人間の女の首を掴んで飛び降りた。

 これで遠慮なく戦えるけど、シューからできるだけ周りを壊すなと言われた。

 よく分からないけど周りを壊すと良くないらしい。

 それにあの空飛ぶ蛇があれ以上よく分からない雨を降らすのも面倒だと思う。

 それなら久しぶりに思いっきり投げよう。

 弱い奴ならあれだけで簡単に死ぬし、死ななくても周りの物を壊さずに済む。


 ドラコは蛇に向かって少しだけ速く飛ぶ。

 蛇はすぐにドラコに気が付いて吠えたが、関係なくうるさい口を掴む。

 無理矢理口を閉じられたが多分この蛇が作った黒い雲から雷がドラコに雨道に落ちてくるがやはり全然痛くない。

 でもピリピリとくすぐったいし、壊しちゃダメって言われてるから早く終わらせよう。

 ドラコは蛇を空に向かって思いっきり投げた。

 そしてすぐに蛇を追う。


 蛇はこの星の周りに浮かんでいるガラクタにぶつかったからか、すでに体中がボロボロだ。

 この程度で傷だらけになるなんてやっぱり弱い。

 蛇は宇宙まで投げられたのは流石に初めてだったのか、戸惑っているように見える。


 でもドラコにとっては初めてじゃない。

 ドラコ達からシューを奪った神々を殺すとき、他のみんながやり辛いと怒られたときに同じことをやった。

 神々を宇宙まで投げた後、今みたいに思いっきりブレスを使う準備をした。

 蛇はあの黒い雲を出す事が出来ないところを見ると、やっぱり地球の中限定の力なんだろう。


 神々も似たような感じだった。

 あいつらが強いのは基本的に地球内限定で、ちょっと宇宙に出ると力が出せない神も少なくなかった。

 しかも宇宙では思うように動けないようで、目の前の蛇と同じようにじたばたしているだけで全然ドラコに近付く事すらできない。

 だから私はゆっくりとブレスを放つ準備をする。

 本当はそんなに時間を使わなくてもすぐに撃てるけど、こうして力の差を教えるのにわざと時間を掛けると相手はちゃんとどれだけ実力差があるのか分からせる事が出来る。


 十分に力が溜まったら、ブレスを放つ。

 超高エネルギーを食らった相手は塵も残さずただ滅びる。

 蛇が何も出来ず消滅したのを確認してからドラコはシューの元に帰る。

 疲れてないけど帰ったらご褒美にお菓子が欲しいな~

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