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第8回『登場人物の作り方 ~主要人物編~ 』

第8回:『登場人物の作り方 ~主要人物編~ 』

 今回は物語の登場人物の中でも主軸となる『主要人物』について解説したいと思います。

 なお、この作業も物語の整合性と難易度の観点から、初心者の方は『あらすじ』が出来上がってから作成することをオススメします。第6回で制作した『世界観』とは順番が前後してしまっても問題ありません。


1.主要人物とは

 『主要人物』とは物語の主役である主人公をはじめ、物語の根幹に関わってくる登場人物を指す言葉です。『主要人物』とは一般的な『登場人物』とは何が違うのでしょうか。

 主人公・ヒロイン・ライバル……と言った存在の共通項としては「物語に重要な影響を及ぼす存在」であるということや、「登場機会が多い存在」であるということが挙げられます。しかし、一般的な登場人物と彼らの最も大きな違いは、筆者が与えた運命に抗えるかどうかなのです。

 しっかりとしたプロットを組んだ上で、登場人物を設定し、物語を書き始めた場合、時として「キャラクターが一人歩きを始める」という現象が発生します。これは、『登場人物』という架空の人格が、物語の世界という架空の舞台で自立・自律してしまう場合を指します。

 筆者から自立・自律した『登場人物』は、自らの信念や思考形態に従って、筆者が与えた運命を迎合する場合もあれば、必要に応じて反発することもあるのです。筆者の描く世界の理の中にありながら、筆者の意図をから離れて動くようになった『登場人物』こそ、『その物語の主要人物』と言える存在です。


 このような『主要人物』は筆者の意図を覆して物語を展開するので、読者の注意を惹き付ける極めて魅力的な存在になります。裏を返せば、『一人歩きできない主人公』を核に話を進めていっても、『筆者の予定通り』以上の作品は絶対に生まれません。

 こういった点からも、一人歩きをしてくれる『主要人物』は必須と言えるでしょう。



2.主要人物の作り方

 続いて、物語の主役となる『主要人物』の作り方を説明していきます。

 前回お話ししたとおり、1キャラ当たりの初期設定は4~5行程度ということになりますが、設定しておく必要がある事柄と設定する必要がない事柄を把握していなければ、単文でまとめることは難しいです。必要な事柄と不要な事柄を簡潔にまとめると以下のようになります。


【必ず決める内容】

○役割

○性格

○思考形態

【決めても良い内容】

○外見

○性別

○年齢

【決めなくて良い内容】

○名前

○好み

○趣味

○特別な素質や技能



 これだけだと大雑把すぎてわかりにくいと思うので、1つずつ解説を入れていきたいと思います。

 まず、『必ず決める内容』から入りますが、『役割』に関しては言わずもがなです。そのキャラクターが物語の中でどういった立ち位置を取るのかが決まらなければ、作成はできません。

 続いて、『性格』や『思考形態』ですが、前回でお話ししたとおり、登場人物間のバランスなどを考える際に必要なので、この項目も必須です。『性格』とはそのキャラクターが優しいのか厳しいのか、しっかりしているのか、ドジなのか……といった要素を指します。『思考形態』というのは、そのキャラクターが論理的なのか直感的なのか、客観的なのか主観的なのか……といった要素のことです。

 例えば、泣いている人への対処などを考えた場合、同じ優しい『性格』でも思考形態が違えばその優しさも変わります。主観的で優しい性格なら感情移入をして励ますなどの行動方針になりますが、客観的に優しい性格の場合、感情移入はせずに第三者視点の情報で慰めるという態度になるのです。

 

 次に、この段階で『決めても良い内容』に入ります。『外見(体格や顔付き、髪や目の色)』は特に最初から決めておく必要はない要素なのですが、民族紛争や外見による差別がある場合や、外傷・心的外傷などによる外貌の変化があった場合など物語に関わってくる要素になり得る場合は初期段階で決めておく必要があります。

 『性別』や『年齢』も上記の条件に当てはまる場合は決めておく必要がありますが、それ以外の場合は特に決める必要はありません。


 最後に『決めなくて良い内容』になります。最初から決めなくて良い物の筆頭に上がるのがキャラクターの『名前』です。前述した通り、一人歩きを始める前の登場人物は物語の一部でしかありません。その段階の彼らに個体名を与える作業というのは、実はかなり労力の無駄遣いです。

 最初から名前がぽっと浮かんだ場合を除いては決める必要性は低いと思われます。また、名前を決めておかないことによるメリットとして、ある程度、物語の主軸が出来た段階で、名前の中に伏線を仕込める点です。

 『好み』や『趣味』なども決める必要がない要素になります。これらが物語に深く関わってくると言うことは極めて稀ですし、どちらかというとギャグパートで持ってくることが多いので、後付けした方が旨味が増すと考えられます。

 『特殊な素質や技能』に関しても、必要に応じて登場人物に割り振っていった方が無難なので、初期設定の段階で決めてしまうのは早計です。


 初期段階で決めるべき内容と決めなくて良い内容を把握していただけたら、『主要人物』を役割毎に分類して作っていきましょう。


3.主要人物の役割

3-1.『主人公(ヒーロー)

 物語の主役である『主人公』を別称として『ヒーロー』とも呼びます。よく聞くものとして、男性の主人公だからヒーロー、女性の主人公だからヒロインと説明している本もあったりしますが、そういう区別ではないと考えた方が作品の幅が広がります。

 そもそも、『ヒーロー』というのは『英雄』という意味ですから、何かしらの英雄的な行い(必ずしも善良な行為とは限らない)をした人を示す言葉です。

 そう言った意味から、主役・相方の関係で『主人公(ヒーロー)』なのです。


 さて、本題に入りましょう。

 『主人公』の描き方としては、大きく二分されると考えられます。一つは、そもそも特殊な力や技能を有している『最初から強い主人公』場合。もう一つは、事件に巻き込まれることで才能を開花させる『最初は弱い主人公』場合です。

 前者の方は常に人気がある設定で、『他とは異なる力』を駆使して戦う主人公というものは大方の読者に気に入られます。一方、後者の方はその成長過程において読者の支持を得ていくタイプとなるので、書き始めは地味で目立たない印象を受けてしまいますが、強さを獲得する過程の努力で読者の共感を得やすいというメリットがあります。

 もちろん、『そもそも特殊な能力を有していて、事件に巻き込まれて能力を開花させる』という『最初からそこそこ強いけど更に強くなる主人公』と言った複合パターンも有りです。但し、この場合は強さのインフレが起きてしまう可能性があるので、『メンタル的な強さ』を上げたり、『技術的な成長』により高度な技が使えるようになるなど、本質的な強さを上げない選択肢を取ることが重要です。


 主人公の性格にはこれと言って制限はありません。勇敢な性格でも、冷静な性格でも、臆病者でも大丈夫です。もちろん、下衆な性格の主人公でも問題ありません。思考形態に関しても、積極的でも、消極的でも、英雄的でも構わないです。

 主人公の性格は、かつては自ら事件に飛び込んでいく『野次馬根性』の強い主人公が好まれましたが、最近では被害者として物語に関わっていく『人畜無害』系の主人公も増えてきました。どちらもメリットデメリットはそれぞれある設定なので、物語にあわせて選択していくことをオススメします。

 性格が決まったら、行動原理や思考形態に関して細かく決める必要があります。

 物語はあくまでも主人公を中心に回っていくので、主人公の性格や行動原理・思考形態がすぐにブレてしまうと、物語がぎくしゃくとして、読者からは不満があがります。


 主人公の外見・性別・年齢も特に制約はありませんが、外見に関しては可も無く不可も無くに毛が生えた程度のものを推奨します。美形過ぎたり不細工すぎたりすると、話を進めるのが困難になる場合がでてきますので、書き慣れるまではオススメできません。

 また、年齢に関しては筆者自身の年齢より低くするか、自分が読んでもらいたい読者層の年齢に合わせるのが無難です。

 理由は2つあります。1つは、年齢というのは過去に経験した物は理解できても、これから先の年齢でどういった物の考え方をするのかということは、あくまで空想上の産物になってしまって現実性に欠けるという点。

 もう1つは、読み手が一番感情移入しやすい年齢は、やはり読み手自身の年齢だということです。

 10代の読者が多いライトノベル業界で、主人公が40代で格好いい『いぶし銀』親父だったとしても、その格好良さを理解しろというのはなかなか酷な話です。

 そう言った点から、主人公の年齢は筆者以下or読者層に合わせることをオススメします。

 

 

3-2.『相方(ヒロイン)

 主人公を最も側で支える存在を『相方(ヒロイン)』と呼びます。女主人公の場合、男が『相方(ヒロイン)』となる場合もあります。

 『相方(ヒロイン)』の描き方としては、やはり大きく二分することができ、『主人公をサポートする』ヒロインの場合と『主人公の足手まとい』になるヒロインの場合があります。大概の作品では両方の資質を持ち合わせることが多いのですが、序盤はどちらか一方に大きく偏らせておいて、徐々にもう片方の側面を出していくことで、『相方(ヒロイン)』の成長を描くことができるでしょう。


 ヒロインの性格にも、これと言った制限はありません。しかし、主人公と性格がかぶってしまうと、お互いのキャラが立たなくなってしまい、物語の展開が鈍ります。

 なので、主人公と同じような結論を出す性格だったとしても、その結論に至るまでの過程が主人公とは異なるように設定していくことが大切です。


 ヒロインの外見・性別・年齢にもこれといった制限はありませんが、性別に関しては主人公と対になるように設定しておくと物語が円滑に進みやすいです。

 また、年齢に関しては物語の展開や、主人公との関係性から決めることをオススメします。

 

3-3.『仲間(パートナー)

 主人公と共に物語を動かしていく主要人物を『仲間(パートナー)』と呼んでいます。これは公式的な呼び方ではありませんし、人によっては主人公・準主役以外は脇役とする場合もあるので、自分なりの呼び方がある場合はそちらの準じて下さい。

 個人的には『仲間』とは『登場機会』が多く、『主人公達の行動に与える影響度合い』が強い脇役であると考えています。

 また『仲間』は時として物語の『重要人物(キーマン)』を兼ねている場合があります。


 仲間の性格としては、やはり、主人公・ヒロインとかぶらないことを前提にした方が良いと思います。主人公が冷静な場合は仲間に無鉄砲な性格の人物がいなければ物語が進まなくなりますし、主人公が無鉄砲な場合は仲間が冷静に押しとどめなければいけません。

 そして、仲間という立場は、主人公・ヒロインと比較すると登場機会が少ない立場でもあるので、個性は少し強めに設定することをオススメします。仲間の印象が読者にしっかりと伝わっていない場合、主人公の矛となり盾となった時に読者から「誰だ、こいつ?」と言われてしまいます。


 仲間の外見・性別・年齢などはこういった物はいけないという組み合わせは少ないですが、後々の伏線になる場合を除いて、主人公やヒロインに似ているということは避けた方が良いです。

 また、外見は主人公やヒロインより多少デフォルメしたり、美化することをオススメします。理由としては、前述したとおり、登場機会が少なくなるので、インパクトを与える必要があるからです。


3-4.『対立者(ライバル)

 物語としての敵対者ではなく、主人公と対になる存在として『対立者(ライバル)』は存在します。

 『対立者(ライバル)』の立ち位置は、味方サイドにいることもあれば、敵対者サイドにいることも考えられます。

 味方サイドにいるライバルは、主人公と腕を競い合う好敵手としての場合、主人公より実績がある場合、主人公を一方的にライバル視している場合などが考えられます。

 敵対者サイドにいるライバルは、原則的に、初回遭遇時に主人公と互角または圧倒するような強さを持っていることが多いです。

 また、ライバルは『重要人物(キーマン)』を兼ねることもあります。


 ライバルの性格としては、主人公と対になる場合と主人公とほとんど同じような場合が挙げられます。

 主人公と対の性格の場合は、それ故に主人公と反発することが多く、主人公と同じような性格の場合は、同じような性格でありながら境遇の違いから対立してるということを上手く描く必要があるでしょう。

 また、敵対者サイドにいるライバルは原則的に「主人公より魅力的」に書く必要があります。ライバルという存在はいわば『主人公の鏡』であり「乗り越えるべき障害」ですから、現状の主人公よりも高みにいる必要がある存在なのです。

 そのためにも、ライバルのプロットは主人公並、もしくは主人公以上にしっかりと仕上げる必要があります。


 ライバルの外見・性別・年齢に関しても制約は少ないですが、一般的には『影のある美形』が好まれるようです。性別に関しては主人公と同性の場合が多数を占め、年齢も同年代の場合が目立ちます。

 これは、『主人公の鏡』であるという前提に基づいているためだと思われます。


3-5.『重要人物(キーマン)

 主人公達を筆者が定めた運命の方向へ誘導していく役割を内包した主要人物が『重要人物(キーマン)』です。

 面白い物語を書いている場合、主人公とヒロインは一人歩きを始めている場合が多く、なかなか、筆者が思ったとおりには動いてくれません。そこで登場するのが『重要人物(キーマン)』です。

 彼らは主人公達が逆らえないような立場にいる者(王や師匠など)だったり、主人公達に依頼をする立場であったりと、様々な立場にありますが、主人公達の弱みにつけ込んで彼らの行動を制約するという筆者からの意図を受けた存在になります。

 また、『仲間(パートナー)』や『対立者(ライバル)』自身が弱みとなることで物語を誘導することもあるので、彼らも『重要人物(キーマン)』の立場を兼ねていると考えられます。


 キーマンに関する設定で決められる事項はありません。

 自分の描いている主人公やヒロインがどういった状況で流されやすいのかを見極め、彼らに最も適したキーマンを当てるのが筆者の腕の見せ所になります。

【例】

女に弱い→依頼者が美女

金に意地汚い→高額の報酬を提示

心根が優しい→泣き落とし


3-6.『敵対者(ラスボス)

 敵対者サイドにおいて、最後まで主人公達の前に立ちふさがる者を敵対者(ラスボス)と呼びます。

 勇者と魔王の話ならば魔王がラスボスに当たりますが、制度やしきたりを敵対者として選んだ場合、それを執行しようとするものがラスボスの立ち位置に入ります。

 

 ラスボスの性格を決める場合、まずはとにかく一本槍を貫くように設定することをオススメします。

 例えば、悪に走らせるなら、「昔は良いやつだったんだが仲間に裏切られて~」みたいな伏線はいりません。とにかく存在悪としてひたすら追求して下さい。制度やしきたりの守護者として立ちはだかるのであれば、それ以外の『例外』を一切認めないタイプにしましょう。

 なぜ、こんなにも極端な選択をするかというと、初学者が陥りやすい傾向なのですが、ラスボスの行動指針が全く統一されていないと言うことが多々あります。

 人間を憎んでいるという魔王という設定で王城に攻め入りながら死者が少なかったり、勇者を殺そうとしていたはずが「力不足」などと言って見逃したり……そんな中途半端な存在が敵方のトップクラスであるラスボスになれるわけがありません。

 魔王として王城に攻め込んだら皆殺し。勇者が弱いなら助けが来ない限り殲滅。それが魔王たる在り方です。

 こういった理由から、まずは1つ何かを貫くようにキャラ設定をする必要があります。ラスボスに魅力を与えたい場合はこういった下地を作ってからその上に色々乗せていくようにしましょう。


 外見・性別・年齢などに関しても特に制限はありませんが、比較的よくあるパターンとしては、主人公より年齢が高いラスボスは特定の信念にこだわりすぎている場合、主人公より年齢が低いラスボスは世界の理に納得ができていない場合が散見されます。

 

4.終わりに

 『登場人物の作り方 ~主要人物編~ 』をお読みいただきありがとうございます。

 今回は前回に引き続き登場人物に関する内容でしたが、中でも『主要人物』に関する項目をピックアップして執筆させていただきました。

 こちらも第7回分と合わせまして、もう少し詳細に書き直すかもしれません。

 

 また、次回から『プロットの作り方』を抜けて『小説の書き方』に関する項目へと移っていきたいと思います。

 もちろん、追加投稿という形で『プロット編』も書き足してはいくつもりなのですが、平行して『執筆編』も書いていきたいな~という筆者の甘えです。申し訳ない。

 ではでは、相変わらずの亀更新ですが、またお会いしましょう。 

 

 

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