第4話 趣味は魔改造 三
第七位階上位
最初はルクス君。
僕が頻繁に装備を使っているが、いい加減にルクス君に完全装着させる事にした。
僕にはプチニコラとかベルツェリーアとかがいるからね。
覗き込んだ装備に宿る魂魄は、やはりあのアシュリアと良く似ていて、慈愛に溢れている。
これなら、大した調節も不要だろう。
少しルクス君に合わせる様に聖属性と愛属性を行使し、ヴァルゴ装備一式の魂魄を接続して一体化、程々にその魂魄と交流して、完了。
これで、ルクス君も僕と同じ様に……とはいかないかもしれないが、結界の応用である阻害結界を出来る様になった事だろう。
差し当たって、ヴァルゴ装備一式にはアシュリアから名前をとり、アシュレイと名付けた。愛称はアーシュかアシュリーだ。
次、サンディア。
月ノ宮の改造である。
早速呼び出したサンディアは、相変わらず元気に剣を振り回している。
「やぁ、サンディア。今日も元気だね」
「〜〜♪」
ニコニコしているサンディアをニコニコしながら撫でる。
すると、ハートの王がポンッと出てきた。
『……ユキ、この吸血鬼に少し休む様に言って欲しいわ……余もいい加減に疲れてきた』
「〜〜? ーー!」
若干しんなりしているハートの王を、サンディアがぴょこぴょこ動いて元気付けている。
……何があったの?
『説明するより見る方が早いわ。月ノ宮を覗いてみなさい』
「ふむ?」
言われた通り、サンディアが保有する月ノ宮の中を覗き込む。
「…………ふむ」
「ーー♪」
一瞬言葉を失った僕に、サンディアはむふーと胸を張って見せた。
月ノ宮の中には、夥しい数の魔物が犇いていた。
全て上位迷宮の魔物だ。中には、エリアボス級も混じっている。流石に巨人や大将等の幻影は使役出来なかった様だ。
だがその総数は……余裕で千を越えているだろう。
……およそ半日でここまでの成果をあげたか。
「……サンディアよしよーし」
「〜〜♡」
サンディアは強いと思っていたが、よもや支配力がこれ程とはね……半日やそこらで一気に大戦力を用意して見せた。
「それじゃあサンディア、数は良いから次は質を上げてみようか」
「ーー!」
『!? ……まだやるのね……良いわ。余も四象王と呼ばれし者の一人、最後まで付き合ってあげるわ』
差し当たって、月ノ宮のコアに接触し、魔力を供給して空間の拡張をした後、様々な形態の魔物が住みやすい様に区画整理を行なった。
仕上げに、月紅宮と名付けて、完了。
そしてサンディアは星隆へ駆けていった。皆そこ好きだよね。
さて、気を取り直して次、ニュイゼ。
彼女に渡した装備の中で、特に強力なのは三個。
神代片刃、無尽砂丘、黄金の月だ。
それぞれ、己の劣化コピーを作れる短刀。血刃や影刃と同じタイプの操作系魔法付与型装備、砂刃。金をオリハルコン化させた魅了型で堅牢な二本の湾刀。
これらの武具と試練の武具の異なる点は、そこに存在する魂の性質だ。
試練の武具は、おそらく試練の魔物の因子を培養して作られた、謂わば試練の魔物の子供、もしくは分身の様な魂を持つ武具であると言える。
一方機神の報酬武具は……もとより何らかのベースとなる魂が存在し、そこに機神の元となった存在の因子を投入して作られた魂を持つ武具と考えられる。
その元となる魂と言うのは……武具の素材である神霊金属か、或いは機神の身体を構成していた神霊金属の魂だろう。
例えるなら、僕が神霊金属でゴーレムを作り、それを操縦したとして、そのゴーレムの魂は僕の因子の影響を受けて多少なりとも変質する。
そう言った形の魂が武具に込められており……つまりは機神の武具に存在する魂は試練の武具程強烈な物では無い。
勿論、因子が強烈であればその影響を受けた魂もそれにならうが、容易く御し切れる程度だ。
ニュイゼに与えた3つの装備は、魅了型の魂魄を持っていた。
ニュイゼは魅了型の魔物なので、その点で言えば相性は良い。
また、控えめな性格と我の強過ぎない魂魄と言う点も、相性が良い。
よって僕がした事は、魂魄との交流とニュイゼとの親和性向上だ。
「それじゃあニュイゼ、アウロラ。沢山狩りして来てね」
「はい! 任せてください!」
『……う……ん……』
……美しさとは、見えざる所でより光る物だ。きっとエルドラドの元になった人は、うまく喋れない間に絶世の美になっていったのだろう。
まぁ、喋らないからと言って考えもしない訳ではない。
その魂には芯があるし、ニュイゼとの相性も良いので、2人でゆっくり成長して欲しい。
そろそろ消耗が危険なレベルに達しそうなので、午前は次で最後とする。
ペルセポネの経過観察だ。
スピネルの瞳と向かい合い、微笑みながら問いを掛ける。
「ペルセポネ、調子はどうかな?」
「…………ペルセポネは……」
相変わらず反応が鈍い中、ペルセポネはゆっくりと答えた。
「……元気」
「それは良かった」
まぁ、反応が鈍い理由は分かっている。
およそ30万の経験とスキルをずっと自力編集しているからだ。
僕はそこら辺少し手を付けて分類しただけなので、ペルセポネとそれを補助する人格達の歪な魂魄は、バアルの魂魄に重複したスキルが沢山あったのと同じ様な物を自力で再編しているのである。
暫くは経過観察を続ける必要があるだろう。
差し当たって、ペルセポネを労い、より元気になって貰って、ペルセポネの経過観察を終えた。
さて、ちょっと休憩っと。




