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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十三節 鈴守神事の攻略

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第29話 甘やかしたり見守ったり

第七位階上位

 



「わ、わわ! コレほんとに貰っても良いんですかぁ!?」

「うん。でも転売はだめだよ?」

「え? ……い、いゃぁ、そんな事しませんよぉ〜?」



 そう言いつつ、レイナことクリアは持っていたロボット掃除機の箱を2つ床に戻した。


 クリアはもう引っ越すのかと言うくらい家電を掻き集めてるが、置く場所はあるのだろうか?


 取り敢えず、僕ぬいぐるみを渡しておく。



「これあげる」

「え? ……えぇと……」

「あげる」

「はぃぃ」



 遠慮しなくて良いんだよ?


 クリアは掃除機の上に僕ぬいぐるみを乗せ、自分用に割り当てられた個室倉庫に戻って行った。



 取り敢えず、恐怖の僕そっくり人形がある部屋は封鎖したので、誰かに見られる心配はない。


 僕は僕ぬいぐるみを配るべく、倉庫の中を彷徨く。



 次のターゲットは、ミサキ。


 ぬいぐるみをこそこそ運搬しているミサキに付いていく。


 到着したミサキの小部屋には、色んなぬいぐるみと最新のちょっと小さめな冷蔵庫と大量の缶詰めがあった。


 ミサキはぬいぐるみを並べてご満悦である。



「ふふ」

「ミサキ」

「っ!? …………」



 僕が声を掛けると、ミサキはビシッと石化した。


 まぁ、ぬいぐるみ欲しいみたいだし僕ぬいぐるみも欲しいよね?


 僕はささっとぬいぐるみ達を動かし、ぬいぐるみ達の中心に僕ぬいぐるみを設置した。

 題名が『森の仲間達』から『百獣の王僕』に変わった。



「じゃあね」

「あ、え、何で……」



 さぁ次だ。





 ケイがトレーニング器具を選んでいたり、チアキがアウトドア用のインバーダー発電機を吟味していたり、マヤが僕ぬいぐるみを3個持ってたのをスルーしたり、アヤが僕ぬいぐるみを5個持ってたのをスルーしたり、と色々あったが、概ね問題は無い。


 そんなこんなで分配が進む中、僕は1人森の小道に入る。


 毎年の事だ。



 しばらく進むと、少し開けた高台に出た。


 見下ろす町は未だ祭りの光が灯り、その喧騒は聞こえなくとも賑やかな気配が伝わって来る。


 そんな高台のベンチに、影が1つ。


 満ちた月の光に照らされて、ぼーっと空を見上げる美少女。竜胆祐美。


 僕はその隣に腰掛ける。当然、ユミは僕に気付いた。



「……鈴守くん?」

「……」

「……ユキ」

「何かな?」

「……何でもない」



 えへへと笑うユミ。


 しばらく2人でぼーっと月を見上げていると、ユミの手がにじにじと僕の手に近付く。

 僕はそれを捕まえて、指を絡ませる。


 僕の鋭敏な感覚は、ドキドキと高鳴るユミの心音を捉えた。


 ユミはしばらくむにむにと口を開いたり閉じたりし、僕の方をチラチラ見た後、空の月をじっと見詰めて口を開いた。



「……今日は……月が綺麗だね」



 僕はユミの手を解き、立ち上がる。


 そのままユミの正面に回ると、その赤らんだ頬を両手でホールドし、潤んだ瞳と視線を合わせる。


 そして一言、呟いた。



「……綺麗なのは、月だけ……?」



 おおよそ一週間お疲れ様。





 じっくりユミのガス抜きをした所で、倉庫に戻った。


 そろそろ皆も物色し終わってる頃なので、ちょっとした見回りだ。


 何気に高級な葉巻とかワインとかあるからね、特に男の子はそう言うのに憧れる様で、タケルは勿論の事タクまでもお酒持っていこうとした事がある。


 そんな訳で見回りをすると、4件の問題を発見。解決した。



 先ず、戦場の兄の方。


 彼は見た目25とかそれくらいのお兄さんに見えるが、実際は19で未成年だ。

 そんなコウキくんの倉庫には、ウォッカと柑橘系ジュースが……。


 問い詰めた所、もう直ぐ二十歳だからそれまでとっておくとの事。


 まぁ、見逃してやろう。



 続いて、セイト。


 彼の倉庫で見つかったのは、羅宇煙管。

 かなり長めの竹製羅宇の煙管だ。


 彼の言い分に曰く、ちょっと興味があって、も、勿論吸わないよ! との事。


 葉っぱがないので見逃してやった。



 次、オウリことマガネ。


 包丁。


 誰を刺すのか聞いた所、ちょうど料理を始めてみようと思っていた様で、自分用の調理器具が欲しかったとの事。

 刺す云々は冗談か何かと思われた様である。


 てっきりセイト関連かと思ったが、まぁそんな感じでも無かったので、多分大丈夫だ。



 最後、マヤ。


 彼女は、割とお菓子が好きな様で、倉庫で食べ切れないくらいのお菓子の山を築いていた。


 その中にあった強めのボンボン菓子を全部回収した。

 バレないと思ったと供述している。


 まぁ、度数の極低い物は見逃しているので、存分に大人の気分を味わって欲しい。



 そんなこんなで見回りを終え、最後に僕人形が安置された部屋に行く。



 棺桶の様な木箱に腰掛け、一息つく。



「はぁ……今年は疲れたなぁ」



 何が疲れたって、まぁアナザーで僕が勝手に疲れた訳だが。


 ともあれ、これにてやるべき事は全て完了。

 明日の片付けもお祭り同様僕の出る幕は無いし、子供組もやる事はない。


 のんびり気を抜きたい所だが……アナザーの方ではマレビト招致がある。


 ……まぁ、明日の事は明日の僕に任せよう。


 既に準備は万全だし、問題は無い筈だ。



 目下の問題は……この僕人形だ。



 改めて、それを覗き込む。



「んー……本当に良く出来てる」



 顔の造形と言い肌や髪の艶、質感と言い、今にも目を開いて起き上がりそうだ。


 まるで僕が作ったユキ人形の様である。


 これがアナザーだったら、アルカナムとかを利用して僕人形として運用する様な代物である。



「……」



 僕は何とはなしに手を翳し、口を開いた。



「……アルカナム」



 なーんちゃってね。

 取り敢えずいい加減眠いし、この人形の処遇は決めた。


 この部屋に封印しておこう。


 なに、倉庫の部屋一つ埋まったくらいで、鈴守の倉庫にはまだまだ空きがあるから問題なかろう。



「ふぁ……」



 軽くあくびをしながら、僕は倉庫を後にした。



 今日はゆっくり休んで、明日復活したら……タク達の装備作って、配下達の装備作って、未解明のアイテムの研究して……わぁ、いっぱい出来る事があるぅ……。



 布団に入るや否や、僕は泥に沈む様に意識を手放した。



 

 



 未だ日も登りきらない早朝。


 いそいそと、一人の少女が倉庫へ向かう。


 東川和美だ。



 カズミは倉庫の前に来ると、はたと動きを止めた。



「……あれ? 鍵閉めた筈なのに……」



 半開きになった扉を見て、カズミは首を傾げた。


 だが、ここは鈴守のお膝元。盗みを働く様な不届き者はおらず、万一いたとしても直ぐに捕まり罰を受ける。


 カズミは誰かが倉庫に用があり、扉を閉め忘れたのだろうと判断した様で、気にせず半開きの扉を開いた。



 朝の風が吹き込み、カサリと小さな音が鳴る。



「? 紙が」



 風は強くないとは言え、紙は吹けば飛ぶ程に小さい。

 もし大事な物だったら飛んでいってしまっては事だ。と、カズミは人並み外れた瞬発力で素早く紙を拾い上げる。



「えー……御祝賀・・・だぶりゅ・・・・だぶりゅ・・・・? んん?」



 書かれた文面から、単なるお祝いを記した紙キレと判断した様で、カズミは持っていたゴミ袋に紙を放り込んだ。



「さぁーて、目録作らなきゃ。今日も頑張るぞー!」



 ぐっと握り拳を突き上げ、倉庫に入る。


 目録を捲り、ぬいぐるみが沢山入っていた空っぽの・・・・大きな木箱・・・・・や、それぞれの個室の中を見て周り、特に無くなった物や増えた物などが無い事を確認して、カズミのお仕事は終わった。


 これが終われば後は自由時間。


 カズミは軽やかな足取りで、倉庫を後にした。



◇◆◇



第十三節:第三項、悪夢と目覚めと日常と ——完



・鈴守神事の攻略 完

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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